北山杉(きたやますぎ)(KitayamaSugi)

京都府の木(昭和41年制定)

特産地:京都市北区

地域ブランド
地域団体商標「北山杉」(京都市森林組合・京北森林組合・美山町森林組合・日吉町森林組合・八木町森林組合が共同で取得)
地域団体商標「北山丸太」(京都北山丸太生産協同組合・京北銘木生産協同組合が共同で取得)

 北山杉(きたやますぎ)は、木立が天に向かって真っすぐに伸び、その姿が「伸びゆく京都府」の象徴となっている

 木肌の美しい磨き丸太として名高い「北山丸太」となる

 京都市北部、高雄から清滝川に沿って2kmほど上流に入った山々で、600年の伝統の技術により育成されている

 高雄は、年間を通して気温が低く、真夏でも清滝川のさわやかな谷風が吹き、冬は冷たい北山時雨が続くことが、
北山杉が育つ好条件になっている

 お茶室数寄屋造の床柱や、歴史的建造物によく使われている

【北山杉の歴史・経緯】


【北山杉の用途】

 北山丸太は、数奇屋建築や床柱など、木の肌の光沢や絞り(模様)を楽しむもの

 構造材ではなく、意匠材(インテリア素材)とされる特殊な素材

 年輪の目がつまっているほど、磨きをかけたあとの木肌がつややになるといわれる


【北山杉・北山丸太の生育・製造】

 <穂摘み・挿し穂>
 5月初め頃、選び抜いた優れた北山杉の品種の親木から穂木が穂摘みされる
 穂摘みされた長さ30cmほどの穂木を苗床に挿木する

 <植林>
 挿し穂から2年後の3月頃
 発根の良い苗が、山に植林される

 <下草刈り>
 北山杉の植林後6~7年間
 毎年6~8月頃に、植林地の下草刈りが行われる

 <枝打ち>
 植林後6~7年後の4~7月以外の時期に最初の枝打ちが行われる
 その後、4年毎に枝打ちが繰り返し行われる
 下の枝から順次切り落とすことにより、幹の成長を止め、切り口と末口の太さの差を少なくする技法
 北山丸太の特徴で、良質の北山丸太をつくるための特に重要で高度な作業とされる
 成長期の4~7月以外の時期に、はしごを杉の幹に架けて枝まで登り、鋭利に砥いだ鎌か鉈(なた)で
枝の付け根を幹に沿って打ち落とし、打ち跡が幹より出ていないことが重要とされる

 <絞巻(人造絞丸太の場合)>
 伐採の2~3年前の4~7月以外の時期に行われる
 生育中の幹に、2~3年の太りを利用して、プラスチック製の箸状の当て木を針金等で巻き付け、
当て木を食い込ませて、木肌に凸凹の絞り模様をつける

 <枝締め>
 伐採する前の年の11~3月頃、枝を適度に打ち落として太りを抑える
 木肌が引き締まり、表面の干割れを抑え、色艶・光沢を良くする効果がある

 <伐採>
 植林から約30年後の9~11月頃
 伐採後、約1ヶ月はそのままにして、葉枯らし乾燥が行われる

 <皮剥ぎ・背割り>
 搬出された丸太の樹皮を剥く
 一方を芯まで丸のこで切れ目(背割り)を入れて、表面の干割れを防ぐ

 <天日乾燥>
 背割りを入れた丸太を、天日にさらして乾燥させる
 表面の色が白くなったら、室内に取り込み、風の通るところでゆっくりと1~3週間ほど乾燥させる

 <人工乾燥>
 天日乾燥の後、機械による人工乾燥が行われる

 <磨き作業>
 乾燥させた北山丸太の表面を、さらに光沢を引き出すため、たわし状のもので磨く
 かつては、菩提の滝で採取した砂を使って、女性たちが磨いていた

 <完成>
 北山杉の植林から約30年

【北山杉・北山丸太の生産地域】

 北山丸太の生産地域によって「地山丸太」「丹波物」と区別されて称される

 <地山丸太>
 江戸時代から明治時代にかけての、北区中川を中心とした山林3,000haの地域と、
 昭和時代初期に拡大した、小野郷・大森・高雄地区も含められる
 合計面積5,000haの地域
 そのうち95%が山林で、農業生産はごく一部に限られた純山村地域
 全山林のうち、磨丸太類の林分は1/3ほどで、アカマツ林が半分、残りはヒノキ・スギ用材林

 アカマツ林が多く、連年、山焼き(もやき)がされ再造林を繰り返して、
一般用材や薪炭材など多面的な林地利用が行われてきており、北山丸太の生産は貴重なものとなっている


 <丹波物>
 昭和時代後期以降に拡大した北桑田郡京北町、船井郡八木町、日吉町等から産出したもの
 面積は約3万ha
 もともとは一般用材林地域、薪炭林地域であった地域
 磨丸太需要の急拡大に対応して、人工絞丸太原木の生産地として確立してきた

【北山杉の伝統技法】

 北山杉から木肌の美しい美しい磨き丸太を生産するために伝統的な技法が用いられる

 <一代限り高林仕立>
 皆伐高林作業のことで、25〜40年生ぐらいで一斉に伐倒し、末口直径9〜16cmの床柱が生産される


 <垂木台杉仕立>
 「北山のシンボル」とも称される
 一つの株から数十本、多いと百本以上の幹を育て、一つの株が一つの森のように育成していく方法
 植林の回数を減らして、収穫のサイクルを早め、ち密な木材を作ることができるようになった

 森林の狭さを補うために北山人が編み出した恒続的な造林方法
 北山は、急な斜面で、植林や育林は大変困難なところで、苗木もとても貴重なものだったことから
 京都北部の積雪地帯で伏条更新をする天然の杉の木をみて考案されたといわれる
 伏条更新(ふくじょうこうしん): 下の枝が雪に埋もれ地面に接すると、その枝が根付いて成長していく

 数奇屋建築用に用途を限定して造林される
 第二次大戦後、防火建築法により垂木の需要が急減したため、台杉仕立は大幅に減少した


 <枝打ち>
 植林後6~7年後の4~7月以外の時期に最初の枝打ちが行われる
 その後、4年毎に枝打ちが繰り返し行われる

 下の枝から順次切り落とすことにより、幹の成長を止め、切り口と末口の太さの差を少なくする技法
 北山丸太の特徴で、良質の北山丸太をつくるための特に重要で高度な作業とされる
 成長期の4~7月以外の時期に、はしごを杉の幹に架けて枝まで登り、鋭利に砥いだ鎌か鉈(なた)で
枝の付け根を幹に沿って打ち落とし、打ち跡が幹より出ていないことが重要とされる

【北山台杉】

 北山台杉は、北山杉の一つ
 手の平を広げたような形の「取り木」と称される「台」があり、そこから「立ち木」と称される枝が垂直に伸びている
 「立ち木」の穂先部に「樹冠」を残し大部分の枝は落とされる

 北山高雄地方の、急峻な山で森林が狭いという厳しい自然条件の中で、
効率よく杉の磨き丸太材を生産する方法として生みだされたもの
 室町時代中期に製造され始めたといわれる

 優雅でしなやかな姿が観賞用に適しており、
日本庭園や茶庭、ゴルフ場や公共施設などにも多く観賞用として用いられるようになる

 <シロスギ>
 観賞用として最も用いられる北山台杉
 挿し木によって栽培され、他の品種と交配することのない純粋種
 樹皮に独特のしなやかさがあり、葉も長めでやわらかく繊細な感じを受ける

【北山杉資料館(現在は閉館)】

 所在地:京都市北区小野下ノ町   地図情報

 京都市の北西部、周山街道沿いにある資料館

 北山杉の歴史や製造工程などが紹介され、丸太磨き作業の実演されている

 北山杉を使った花筒や一輪ざしの手作り教室も開催されている

 <アクセス>
 JRバス 北山グリーンガーデン前 すぐ

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