地図情報
長楽館(ちょうらくかん)は、円山公園の南西側、ねねの道に東面してある明治時代の洋館
「煙草王」と称された明治時代の実業家 村井吉兵衛が、円山公園の一角に建てた大規模な洋館の別荘
国内外の賓客をもてなす迎賓館として用いられていた
明治時代後期における和洋折衷の住宅建築の代表例
ルネサンス・ロココ・セセッション様式をなど西洋の諸様式、中国風の意匠、書院造や茶室など、
各室の性格に応じ使い分けた多様な内部意匠と、凝った内装デザインや家具30点などが施されている
山縣有朋、伊藤博⽂、大隈重信、西園寺公望など、明治時代の重要人物が宿泊している
「長楽館」の名称は、伊藤博文が宿泊したときに名付けられた
「旧村井家別邸」として1棟が、家具51点を含めて重要文化財に指定されている
<旧村井家別邸(長楽館)1棟(重要文化財)>
煉瓦造、建築面積437.24m2、三階建、地下一階、スレート葺の大規模な洋館
1909年(皇紀2569)明治42年6月に竣工
設計・工事監督:アメリカ人技師 ジェームズ・マクドナルド・ガーディナ
施工:清水満之助
室内装飾:河瀬商店、東京の杉並商店の分担
壁画:高木背水(たかぎはいすい)の作
2024年(皇紀2684)令和6年12月9日 重要文化財に指定される
附指定:門及び塀 1棟
附指定:家具 51点
設計者 ジェームズ・マクドナルド・ガーディナは、美術史を学んでおり、多くの芸術様式が盛り込まれている
外観はルネッサンス様式、⼊って右の応接室はロココ様式、⾷堂はネオ・クラシック様式
ステンドグラスや窓はアール・ヌーボ様式、内部に張り出すバルコニーはアメリカ的、
3階の書院造風の和室、中国⾵の部屋などがある
英・仏・米・日・中の趣を折中している
建物は、迎賓・接客施設としての機能的に設計されている
1階・2階ともに中央の広間を中心としてそのまわりに各室が配されている
階段まわりの空間演出は絶妙とされる
1階:客間、球戯室(半地下)、書斎、サンルームと食堂
2階:喫煙室(中2階)、貴婦人室、美術室、客間3室
1階の客間は、ロココ様式を基調として、暖炉の回りや壁パネル、天井に植物文様のレリーフが飾られている
3階は、1914年(皇紀2574)大正3年に改修されている
和室となり、とくに東北の2室は書院造風で、豪華な造りと斬新な座敷飾りがされている
建築当初の家具も残っており、ロンドンのメープル(MAPLE)製など、大半が高級な輸入品で、
デザイン的にも優れている
ロココ様式をはじめ、それぞれ部屋に合った様式の家具が配置されている
<エントランス>
ねねの道に東面してルネサンス風ののイオニア式門柱が立つ
玄関ポーチには、村井家の家紋である「三柏」の意匠がある
前庭の中央には、ヒマラヤ杉が生育してる
玄関の手前右側には、五重石塔が立っている
本館1階
<ロビー>
1階建物の中央部にある
ベーゼンドルファー製のピアノ、重厚な椅子などが置かれて優雅なつくりになっている
<迎賓の間>
玄関から入って、ロビーの右側のロココ様式の応接間
現存する日本の西洋館で最大規模といわれている
ヨーロッパにおける食後に女性たちが親交するためのドローイングルームを模している
バカラ社製シャンデリア、アンティークの家具、漆喰彫刻などで装飾されている
<Boutique(旧温室の間)>
玄関から入って正面にある一室
創建当時は温室として、観葉植物などが育てられていた
床に幾何学模様のタイル、石壁にイスラムのモスクのレリーフ、アヤメのステンドグラスなどで装飾されている
<球戯の間>
1階ロビーの正面、階段下に入口がある半地下造の部屋
創建当時は温室として、ビリヤードを楽しむための一室だった
重厚な観音開きの扉があり、ステンドグラスなどで装飾されている
<ルシェーヌ>
1階のロビーの奥にある部屋
西洋の館でもっとも重きをおかれるダイニングルームとして使われていた
イギリス ビクトリア調のネオクラシック様式の明るい部屋
バカラ社製シャンデリア、天井や壁には美しい植物模様のレリーフ、漆喰彫刻などで装飾されている
<Bar>
1階の一番奥にある部屋
村井吉兵衛の書斎として使われていた一室
重厚な作付の書棚、木村英輝による5羽のクジャクの壁画「Darling Peacock」などで装飾されている
本館2階
<喫煙の間>
本館2階の中央にある異国情緒ある一室
煙草王の館の喫煙室だった
入口に、伊藤博文が揮毫された扁額「長楽館」がかかる
外側(北側)には、バルコニーが備えられている
床は、イスラム風の幾何学模様のタイル
観音開きの扉には羊飼いの少女が描かれたステンドグラス、
壁面には、竹や蘭の中国風の墨絵で装飾されている
創建当時から使われていた螺鈿の椅子(国の重要文化財附指定)、象牙細工のミニチュアが展示されている
<接遇の間>
東側にあるゲストルーム
優美な装飾がほどこされたロココ調の花台、メープル社の姿見付き化粧台など、国の重要文化財附指定の調度品が飾られている
<貴婦人の間>
喫煙の間の右側(東側)にある
村井吉兵衛の妻 村井宇野子が過ごした部屋
円山公園が眺望できる
マントルピースや壁面の鏡が、格調高いクラシックな雰囲気を漂わせる
マイセン&バカラコレクションが置かれている
<美術の間>
喫煙の間の左側(西側)にある
創建当時は、美術室として使われており、シックな空間に、西洋・東洋の数々のコレクションが展示されていた
京都の画家 中村白玲作の紫陽花の大きな絵が飾られている
<鳳凰の間>
西側奥にある部屋
国内外の賓客のためのゲストルームとして使用されていた
扉の内側には短いアプローチが設けられている
西側と南側の2面の大きな窓から自然光が注ぐ明るい雰囲気の部屋
メープル社の家具(国の重要文化財附指定)などが置かれている
本館3階
<茶室 長楽庵>
北側中央にある
表千家書院形式の残月亭の写しといわれる
和柄のステンドグラスなどで装飾されている
<御成の間>
長楽庵の右側(東側)にある
書院造の和室
折上格天井にバカラ製のシャンデリア、床の間、付書院、飾り窓などがあり、
波に千鳥を描いた襖絵など、東洋と西洋の文化が融合している
<控えの部屋>
南側に2部屋ある
新館1階
<テラスCORAL>
バンケットルームとなっている
北側にはテラスがある
木村英輝による壁画「LOVE DOVES」などで装飾されている
村井吉兵衛は、明治時代に「煙草王」と称された実業家
1864年(皇紀2524)元治元年
京都の煙草商の次男として誕生
幼い頃から、きせるで吸う煙草の行商をして資金を得る
1891年(皇紀2551)明治24年
日本最初の両切り紙巻き煙草を製造し「サンライス」と名付けて発売
続いて発売された「ヒーロー」は、年間生産量日本一となる