財団法人 冷泉家時雨亭文庫(れいぜいけしぐれていぶんこ)は、
藤原定家の子孫、和歌の家 冷泉家(上冷泉家)に伝わる古写本・建築・年中行事などの文化遺産を保存し、
冷泉流古今伝授を継承することを目的として設立された団体
冷泉家は、藤原定家の孫 冷泉為相を初代とする歌道の宗家
「時雨亭文庫」の名前の由来は、藤原定家が百人一首を選んだといわれる京都小倉山の山荘「時雨亭」にちなむ
冷泉家の住居は、今出川通烏丸の京都御苑の北側にあり、
現存する唯一の公家屋敷で重要文化財
鎌倉時代初期の1201年(皇紀1861)建仁元年頃より守り抜いてきた蔵書の数々や、
宮廷文化の雅(みやび)など有形・無形の文化財が伝えられる
<冷泉家住宅(重要文化財)>
御文庫
表門
台所蔵
座敷及び台所(1棟)
附:土塀、庭塀、供待及び台所門、立蔀
宅地:1,470.5m2
現存する唯一の公家屋敷
国宝が5件(古文書1件・書跡典籍4件)、その他に重要文化財が48件が指定されている
実点数としては数百点になる
古文書
<明月記(めいげつき)58巻・1幅(国宝)>
鎌倉時代
藤原定家の18歳から74歳までの56年にわたる克明な自筆の日記
冷泉家に残されてきた原本
日次記56巻、1幅と、
本記の抄出記(しゅうしゅつき)といわれる建久九年十二月十日臨時祭記1巻、年未詳断簡1巻からなる
漢文
おうし座で超新星爆発(現在のかに星雲)が起こったことに関する記述があり、
理論上のものだった「超新星爆発」の初の実証例として認められた天文学上の重要な資料
2000年(皇紀2660)平成12年6月27日 国宝に指定される
附指定:補写本 1巻
(1203年(皇紀1863)建仁3年12月記の江戸時代中期の写本)
附指定:旧表紙(十枚)1巻
<紙本墨書 冷泉為広下向記(れいぜいためひろげこうき)5冊(重要文化財)>
室町時代後期の歌人 冷泉為広の自筆本
冷泉為広が、越後・能登・駿河など各地を訪れ、道中や滞在中の様子や時々の和歌などを記した自筆の記録
2015年(皇紀2675)平成27年9月4日 重要文化財に指定される
書跡・典籍
<古今和歌集(こきんわかしゅう)1帖(国宝)>
1226年(皇紀1886)嘉禄2年4月9日
藤原定家により書写された20巻
「嘉禄本古今集」と称される原本
藤原定家は、10回以上「古今和歌集」を書写している
帖の末尾に、嘉禄二年、定家65歳の時に書写した旨の奥書がある
その奥に、藤原定家の子 藤原為家が、その子の冷泉為相にこの本を譲与した旨の奥書がある
本文中には、藤原定家自筆により和歌の書入れ、校合注記、人名や場所等の勘物書入れ、朱点などが稠密に付されている
縦22.9cm X 横14.6cm、紙数157丁
1983年(皇紀2643)昭和58年6月6日 国宝に指定される
附指定:後土御門天皇宸翰消息・後柏原天皇宸翰詠草・後奈良天皇宸翰消息
(室町時代に、この本を冷泉家から借用披見された3代の天皇の礼状)
<後撰和歌集(ごせんわかしゅう) 1帖(国宝)>
1234年(皇紀1894)天福2年3月2日
藤原定家により書写された20巻
「天福本後撰集」と称される原本
帖の末尾に、天福二年三月の藤原定家73歳の時の書写した旨の奥書、
同年四月に藤原行成の筆写本によって校合した旨の校合奥書がある
藤原為家が、その子の冷泉為相にこの本を譲与した旨の譲与奥書がある
本文中には、藤原定家の自筆で和歌追記、作者・詞書等の勘物、異本校合などが書き込まれている
縦22.9cm X 横14.3cm X 紙数202丁
1983年(皇紀2643)昭和58年6月6日 国宝に指定される
<古来風躰抄(こらいふうていしょう)上下(初撰本)2帖(国宝)>
1197年(皇紀1857)建久8年
藤原俊成の全文自筆の歌論書の初撰本の原本
84歳のときの撰述の奥書がある
縦28.9cm X 横20.8cm
紙数:上帖97丁、下帖95丁
1983年(皇紀2643)昭和58年6月6日 国宝に指定される
<歌集 拾遺愚草(しゅういぐそう)上中下3帖(国宝)>
鎌倉時代
藤原定家の自撰自筆本
南北朝時代以前の歌人の自撰・自筆の歌集としては日本で唯一のもの
2003年(皇紀2663)平成15年6月5日 国宝に指定される
附指定:草稿断簡 1幅