京くみひも(きょうくみひも)は、数十本の糸を組上げて一本の紐に仕立てたもの
奈良時代に中国 唐から伝えられ、
平安時代初期から、神具・仏具、皇室や貴族では、羽織の紐・帯締(おびじめ)などや
茶道の袋物、書道の留め具、武士の鎧兜の大部分・刀の下げ緒(さげお)にも用いられてきた
くみひもの美しさから、天皇や貴族・寺社・武士などに独占され、上質の「くみひも」を作るために、
惜しみなく人や時間をかけることができ、技が磨かれ美しさが築きあげられてきた
正倉院御物(しょうそういんぎょぶつ)(聖武天皇、光明皇后ゆかりの品)の中にも、京くみひもがある
くみひもは、丸台や角台・高台などを使って数十本の糸を組み上げて、同じ手順を丹念に繰り返すことから作り出される
糸の交差する部分をへらなどで打ち込んで締める糸割、糸合わせ、経尺などの準備工程、
組工程・房付け・湯のしなどの工程がある
基本的な組み方だけでも約40種類もあるといわれる
平安時代初期から、神具・仏具・法衣・経巻・装束・神宝などに用いられてきた
皇室や貴族では、羽織の紐・帯締(おびじめ)・絵巻物・鏡・几帳(きちょう)・御簾(みす)などの調度や楽器などに
武士では、鎧兜の大部分・刀の下げ緒(さげお)
茶道の袋物の紐、書道の留具、京人形、扇子、髪飾りなどに用いられてきた
<大鎧(おおよろい)>
大鎧(おおよろい)は、平安時代に登場した甲冑
大鎧の大部分は、「小札(こざね)」と称される小さな金属札を綴り合わせて作られる
小札の綴り合わせを「縅(おどし)」と称し、小札の1枚1枚を、「縅糸(おどしいと)」と称される
くみひもによって綴り合わせられている
縅糸は、美しく、縅には細部にまで意匠が凝らされて、配色や柄によって名前が付けられていた
大鎧の胴・兜・袖などに、約300mものくみひもが用いられる