京黒紋付染は、婚礼のときに着る黒留袖や、葬儀のときに着る喪服などの礼服などで
紋章が染め抜かれ、黒色に染められる伝統技術
気品ある深みのある黒色が特色
家紋は、家の象徴であり、家系や人の氏を示すもので、正確に紋章を描くことが必要とされる
京黒紋付染は、伝統技術により、正確で、紋章の図形の美しさが特徴
明治時代には、国民の礼服が黒紋付羽織袴となり、
黒紋服は、冠婚葬祭の祝儀・不祝儀の儀式用として、
黒地の模様染は、婚礼衣装を始めとしての需要が高まる
京黒紋付染技法には、黒引染(くろひきぞめ)と黒浸染(くろしんせん)の2種類がある
生地は絹織物で、白生地を引っ張り木枠にかけ、蒸気で幅出しされる
反物のまま、紋章の部分が染まらないように、糊を置いて防染めし、浸染めか引染めされる
<黒浸染>
紅や藍で下染めをしてから、黒染料に浸す技法
喪服など無地の場合は、黒浸染で染められる
<黒引染>
紅や藍で下染めをしてから、刷毛により黒染料を塗り染める技法
三度黒(さんどぐろ)と、黒染料(くろせんりょう)の2つの技法がある
三度黒は、植物性染料と媒染染料(ばいせんせんりょう)を、それぞれ2回以上塗られる
紋章上絵は、最後の工程で描かれる
黒留袖など模様のある場合は、黒引染で染められる
平安時代
墨を生地に付着させる墨染技法が行われていた
室町時代
武士の間で、「びんろうじ染」の黒紋付が愛用される
藍などで下染し「びんろうじ」という植物染料で染められる
染料に含まれるタンニン質と鉄の媒染が、絹地を強くし、刀を通しにくい護身用としても用いられた
江戸時代
「京雀(1665年(皇紀2325)寛文5年刊行」や、「紋屋茶染屋口伝書(1666年(皇紀2326)寛文6年刊行)」には
紋糊置きや、黒染、紋章上絵、紋場洗いの技術・技法が確立し、
京黒紋付染の職人集団が、京都にいたことが記されている
明治時代
イギリスの染色技術を習得し、フランスやドイツの化学合成染料が導入される
労力と手間のかかる「びんろうじ染」に代わって、黒浸染と黒引染が確立する