薫香(くんこう)

薫香(くんこう)は、練り香などを燻らせて(くゆらせて)、よい香りをたてさせるもの

香木や漢薬香料を複雑に調合することで、無限の香りが生まれる

室町時代香道が確立し、日本の伝統的な日本三大芸道の一つとされる

京都市の伝統産業の一つ

 (写真は京都伝統産業ミュージアムにて撮影)

【薫香の歴史・経緯】


【薫香の用途】

 <空間の香り>
 お堂・お茶席・床の間・居間などを香りで演出される
 線香・印香・キャンドル・フレグランスオイルなどが用いられる

 <持ち運ぶ香り>
 いつでもどこでも、やすらぐひと時を過ごすことができる
 香筒・匂い袋などが用いられる

 <着る香り>
 箪笥や衣装箱などに、虫よけ香や衣香を入れ、ほのかな移り香を楽しむことができる
 衣香・虫よけ香などが用いられる

 <送る香り>
 手紙に香りを添え、封を開けた瞬間に上品な香りで心遣いを伝えられる
 文香などが用いられる

 <お供えする香り>
 ご仏前へ香りをお供えする
 焼香、線香などが用いられる

【香木】

 香木は、主に3種類あり、数百年の歳月をかけて香りが熟成される

 甘い香りがしたり、酸っぱい香りがしたりと、奥深い複層的な香りが楽しめる
 香木の香質は、味覚にたとえて、辛(シン)・甘(カン)・酸(サン)・鹹(カン)(しおからい)・苦(ク)の5種類に分類される

 <伽羅(きゃら)>
 ジンチョウゲ科の常緑高木
 ベトナムのごく一部の地域でしか採れない貴重な香木
 樹木の内部に樹脂が蓄積し、数百年の間、土中に埋もれていたもので大変貴重なもの

 <沈香(じんこう)>
 ジンチョウゲ科の常緑高木
 樹木の内部に樹脂が蓄積し、長い年月をかけて香りが形成され熟成される

 <白檀(びゃくだん)>
 ビャクダン科の熱帯性常緑樹
 幹部の芯材を切り出してよく乾燥させて用いられる


 (写真は京都伝統産業ミュージアムにて撮影)

【香料】

 お香の原料は、長い年月をかけ熟成した香木や、薬や食用として使われている天然の漢薬香料が使用される

 漢薬香料を複雑に調合することで、無限の香りが生まれる


 <唐木香(からもっこう)>
 キク科の多年草の根を乾燥させた生薬
 中国原産

 <八角(はっかく)・大茴香(だいういきょ)>
 モクレン科の常緑喬木の実
 中国南部・ベトナム北部原産

 <丁子(ちょうじ)>
 フトモモ科のチョウジノキの花蕾で、辛く刺激の強い香りがある
 インドネシア・ザンジバル原産

 <零陵香(れいりょこ)>
 サクラソウ科モロコシソウの地上部の全草
 中国原産

 <樒(しきみ)>
 マツブサ科の常緑性小高木で、樹皮や葉に独特の強い香りがある
 主に、樹皮や葉を乾燥して粉末にして抹香で使われる

 <桂皮(けいひ)>
 クスノキ科の常緑高木の樹皮でシナモンの強い香りがある
 中国南部・ベトナム・スリランカ・インドネシア原産

 <竜脳(りゅうのう)>
 フタバガキ科の常緑樹の心材の隙間に結晶したもの
 成分は、ほぼ純粋なボルネオールで、強い中枢麻痺作用があり、防虫剤にも用いられる
 スマトラ島・ボルネオ島などの原産

 <藿香(かっこう)>
 シソ科の多年草であるパチョリの葉や茎を乾燥させたもの
 健胃薬にも用いられる
 インドネシア・フィリピン原産

 <鬱金(うこん)>
 ショウガ科の多年草のウコンのの根茎
 黄色素があり、カレーの原料や、染料・健胃薬・止血医薬にも用いられる
 インド・中国南部原産

【薫香の形状】

 用途に応じて、香木や、天然の漢薬香料が加工される

 <抹香(まっこう)>
 粉末状の香
 高級品では、沈香や白檀などの香木を粉末にされる
 一般には、主に、樒(しきみ)の樹皮や葉を乾燥して粉末にされる

 時間を計る目的で使われることもあり、時香盤(香時計)にも用いられる


 <練香(ねりこう)>
 粉末状の抹香を、貝殻などの甲香(こうこう)を蜜や梅肉などで練り固めた香
 「合香(あわせこう)」「薫物(たきもの)」などとも称される

 合わせる香料の数で「三種香」「五種香」とも称される

 平安時代には貴族は、一人一人が自分だけの香りを持ち、その香りもステータスのひとつだったといわれる
 現在では、主に焼香用に用いられる


 <印香(いんこう)>
 粉末の抹香を、型に入れ固めて、型抜きして乾燥させた香
 色や形も楽しめる
 温めて香りを楽しむ


 <線香(せんこう)>
 練香を線状の棒にされたもの
 先端に火をつけて香りを楽しむ

【その他】

 <積層乾燥法>
 昭和時代後期に考案された線香の乾燥方法で、品質向上が図られた
 段ボール板と柔らかいお線香を交互に積み重ね、段ボールのコルゲート部(波形の穴)に空気を通して、
線香を押さえたまま乾かせる技術

 それまで、3週間ほどかかっていた線香の乾燥が3日ほどに短縮され、
 乾燥の中で反り曲がりや、製品が曲がる・折れやすい・カビが発生しやすい・燃焼時間が短いなどの品質が改善された


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