京うちわは、宮中でも用いられ、極めて優美な絵画が画かれてきた
京うちわは、地紙の中に多くの細い竹骨をもつ「朝鮮うちわ」の流れを汲む
うちわ面(地紙面)と把手(取っ手)が別に作られる方法で、「挿柄」の構造になっている
京うちわは、竹の産地であった伏見深草の名産品だった
<京うちわ(みやこうちわ)>
細い竹ひごをならべて両面に紙を貼り柄を差し込んだうちわ
上部の骨(細い竹ひご)の用いられる数により等級が変わる
50本並べた5立て、主に下級品
60本並べた6立て、主に中級品
80本並べた8立て、主に上級品
100本並べた10立て、主に飾りうちわ
丸型、角型、長柄型、羽子板型、扇型、千鳥型、キャラクタの形をしたものなどがある
<すかしうちわ>
絵柄の部分にのみ紙を貼り、素通しの部分を残したもの
肌にあたる風からではなく、目で見ることで涼しさを感じるもの
日本のうちわには、中国月扇、朝鮮団扇、南方系葉扇の3系統がある
<地方のうちわ>
平柄うちわ
太い竹を必要な長さに切り、6〜9分の幅に割り、先端を細かく裂いて作ったうちわ
主に丸亀で作られる
丸竹柄うちわ
細い竹の両端を切り、先端を細かく割って作ったうちわ
主に千葉で作られる
<御所うちわ>
柄に豪華な蒔絵を施したり、狩野派や土佐派の絵師が絵を描いたもの
<軍扇(ぐんせん)>
戦国武将が用いた
<軍配(ぐんばい)>
大相撲の行司が用いた
<祭団扇>
<柿渋団扇(かきしぶうちわ)>
台所の火起こし
<火消団扇>
江戸時代に町火消しが用いた
<羽団扇>
天狗が持っているうちわ
<透かし団扇>
夏のハエ、蚊除けに用いられた
<うちわ骨加工>
胴切−割竹−巾揃え−厚さ揃え−きざみ−もみ−へぐ
上端にきざみをいれたものを竹の繊維にそって左右交互にもみ割りし、必要な部分を薄くへぐ
<うちわ紙加飾>
手描き、木版、染め、はり絵など
<裏張り加工>
仮張−裏張−めぐり
仮張では、細竹の短い方の断面辺に糊付けされ薄い紙を張る
<仕上げ加工>
合わせ−念付け−元板付け−なり廻し−へりとり
合わせで、細竹の両面にうちわ紙が貼られ、念付けで、念ベラを用いてうちわ骨に筋が付けられる
元板付けで、柄を差す部分(中心)に布か厚手の紙が貼られ、なり廻しで、うちわの形に成型される
へりとりで、一定の形に切られ、周囲に薄い紙が貼られる
最後に柄をつけるとうちわが完成する