狩野派(かのうは)(KanouHa)

室町時代からの御用絵師の流派の一つ

始祖:狩野正信

 狩野派(かのうは)は、日本美術史上最大かつ最長の代表的な、御用絵師の流派

 室町時代後期、将軍 足利義政に重用された狩野正信を祖とする

 京都に工房を組織して共同作業によって多数の需要に対応し、幕府の絵画制作をほぼ独占していた

 江戸時代に入ってからは、活動の中心を江戸に移す

 江戸幕府から、狩野探幽が、御所二条城などの障壁画を命じられ、絢爛豪華な障壁画を残している
 多くの門人が、各藩の御抱絵師や町絵師ともなり、幅広い指向を持ち、広い層で支持されてきた
 が、幕府と密接な関係を持って隆興してきたため、明治維新以後は、規模、影響力ともに衰えていった

【代表的な狩野派の画家】

室町時代桃山時代

 狩野正信(初代宗家)
 狩野元信(第2代)
 狩野宗信(第3代)
 狩野松栄(第4代)
 狩野内膳
 狩野永徳(第5代)
 狩野長信
 狩野光信(第6代)
 狩野孝信
 狩野山楽
 狩野了慶

江戸時代

 狩野貞信(第7代)
 狩野山雪
 狩野探幽
 狩野尚信
 狩野安信(第8代)
 久隅守景
 英一蝶
 狩野時信
 狩野主信(第9代)
 狩野憲信(第10代)
 狩野英信(第11代)

<幕末・明治時代>

 狩野雅信
 狩野芳崖
 橋本雅邦

【代表的な作品】

 <桂離宮
 中書院と新御殿の水墨主体の障壁画は、幕府御用絵師だった狩野探幽一門によるもの

 <南禅院
 御霊殿の襖絵は、狩野養朴の筆

 <清水寺
 涅槃図
 江戸時代中期の京狩野派の絵師 山口雪渓が描いたもの
 縦4m、横3.5m
 2005年(皇紀2665)平成17年
 修復が行われ、涅槃会において約140年ぶりに公開される

 <詩仙堂
 石川丈山は、中国の漢晋唐宋の各時代から詩人を36人選び、狩野探幽、狩野尚信に彼らの肖像を描かせ、詩仙の間の四方の壁に掲げた
 これが「詩仙堂」の名前の由来となる

 <聚光院
 花鳥図16面(国宝)
 「室中」の間の障壁画
 狩野永徳が24歳のときの作
 松・竹・梅におし鶏、丹頂鶴、セキレイなどが描かれた花鳥図
 行体で自由奔放に描かれている

 琴棋書画図(きんきしょがず)8面(国宝)
 「檀那の間」(上の間)の障壁画
 狩野永徳の作
 中国の士大夫(科挙出身の高級官僚)に必須とされた琴、棋(囲碁・将棋)、書、画に没頭する姿が描かれる
 楷体で謹厳に描かれている

 瀟湘八景図(しょうしょうはっけいず)8面(国宝)
 「礼の間」(下の間)の障壁画
 狩野永徳の父 狩野松栄の作
 文人墨客が好む景勝地 瀟水と湘水の合流する洞庭湖周辺の8つの風景が描かれる

 竹虎遊猿図6面(国宝)
 「衣鉢の間」(檀那の間の北側)の障壁画
 狩野松栄の作

 <正伝寺
 本堂の襖絵 淡彩山水図障壁画(重要文化財
 中国の風景を描いた狩野山楽の傑作

 <退蔵院
 元信の庭(国の名勝国の史跡
 西側を主庭とする枯山水庭園
 「都林泉名勝図会」には、狩野元信(かのうもとのぶ)の作と記されている

 <大覚寺
 宸殿(しんでん)(重要文化財)の襖絵
 狩野山楽の筆とされる「牡丹図」(重要文化財)と「紅白梅図」(重要文化財)
 正寝殿(せいしょうでん)(客殿)(重要文化財)の障壁画
 桃山時代書院造建築で、障壁画は狩野山楽狩野探幽らの作

 <大仙院
 客殿の障屏画(重要文化財)
 狩野之信の四季耕作図
 狩野元信の花鳥図

 <知恩院
 大方丈(おおほうじょう)、小方丈(こほうじょう)(重要文化財)
 内部は、狩野派の障壁画で飾られている

 <南禅寺
 大方丈(国宝)に、狩野元信狩野永徳らの障壁画がある
 小方丈(国宝)には、狩野探幽の障壁画「水呑の虎」がある
 大方丈御昼の間の金碧障壁画は、群仙図とともに主題とされた「二十四孝図(陸績図(りくせきず)」(重要文化財)
 三門(重要文化財)の天井画の天人と鳳凰の図は、狩野探幽の作品

 <西本願寺
 対面所下段の間の障壁画「松鶴図
 狩野了慶の作
 狩野了慶は、狩野光信に学び、西本願寺の障壁画制作の中心的役割を果たす
 <瀑布山水図(ばくふさんんすいず)>
 簡素にまとめられた黒書院の障壁画
 狩野探幽の55歳の作

 <二条城
 二の丸御殿(国宝)
 内部には、狩野探幽、狩野尚信、狩野興以による障壁画や襖絵が描かれ、絢爛豪華である

 <毘沙門堂(びしゃもんどう)(山科区)
 宸殿
 後西天皇の旧殿が下賜されたもの
 狩野益信筆の障壁画116面の山水画がある

 <法然院
 方丈の襖絵(重要文化財)
 狩野光信の作

 <妙心寺
 <法堂(はっとう)(重要文化財)の内部の鏡天井>
 狩野探幽による「雲龍図(八方にらみの龍)」が描かれている
 <大方丈(重要文化財)の障壁画>
 南側3室は狩野探幽、北側3室は狩野洞雲の作
 <春光院>
 南蛮寺(なんばんじ)の鐘(重要文化財)と狩野永岳の方丈襖絵がある
 <文王呂尚(ぶんのうりょしょう)><商山四皓図(しょうざんしこうず)(重要文化財)>
 狩野派の祖となった狩野山楽の作品
 <大方丈障壁画(重要文化財)>
 狩野派の作品

 <実相院
 江戸狩野の絵師たちによる襖絵や障壁画が多く所蔵されている

 <霊雲院
 書院の障壁画、合計49幅
 紙本水墨淡彩山水花鳥図、琴棋書画図(重要文化財)
 狩野元信が、大休宗休禅師に参禅した余暇に描いたといわれる

 <無鄰菴洋館>
 金碧花鳥図障壁図が飾られている


【京都検定 第1回3級】

59.二条城の二の丸御殿に残る絢爛豪華な障壁画は何派の作品か?

 京都検定3級の道  左矢印前の問題に戻る左矢印  ・ 右矢印次の問題に進む右矢印

【京都検定 第7回3級】

【京都検定 第15回3級】

【京都検定 第21回3級】

【京都検定 第1回2級】

【京都検定 第3回2級】

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【京都検定 第5回2級】

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【京都検定 第19回1級】


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