広隆寺(こうりゅうじ)
(KouryuuJi) 京都通メンバ
所在地:京都市右京区太秦蜂岡町 
   卍地図情報卍

真言宗御室派の寺院

山号:蜂岡山

本尊:聖徳太子像

創建:603年(皇紀1263)推古天皇11年

創建:秦河勝

中興の祖:道昌

通称:蜂岡寺、太秦の太子堂、秦公寺

国宝 建築物:1棟(桂宮院本堂)、その他の重要文化財:1棟(講堂)
国宝 美術工芸品:仏像17躯・古文書2件、その他の重要文化財:仏像31躯・絵画4件・工芸品1件

 広隆寺(こうりゅうじ)は、四天王寺などとともに聖徳太子建立七大寺の一つ

 太秦一帯に住んでいた帰化人系の氏族である秦氏の氏寺
 平安京遷都以前から存在した京都最古の寺院

 国宝第一号に指定された、右手を頬に軽く当てて思索のポーズを示す弥勒菩薩「木造弥勒菩薩半跏思惟像」が
霊宝殿に安置されている


 弥勒菩薩像は、秦氏聖徳太子から譲り受けたものとされ、聖徳太子ゆかりの寺院としても知られる

 「蜂岡寺(はちおかでら)」「太秦(うずまさ)の太子堂」「秦公寺(はたのきみてら)」などとも称される

 3月の馬酔木(あしび)、6月上旬から睡蓮桔梗(ききょう)など花の名所

 京都三大奇祭の一つである牛祭が、10月12日(開催年は不定期)に行われる

【広隆寺の歴史・経緯】


【広隆寺の伽藍】


 <楼門>
 <上宮王院
 <講堂(こうどう)1棟(重要文化財)>
 <桂宮院本堂(けいきゅういんほんどう)1棟(国宝)>
 <太秦殿(うずまさでん)>
 <弁天島経塚>


【広隆寺の寺宝】

 17躯の仏像と2件の古文書が国宝に、
 その他に4件の絵画、31躯の仏像、1件の工芸品が重要文化財に指定されている

 仏像・彫刻

 <木造 弥勒菩薩半跏像(みろくぼさつはんかぞう)1躯(国宝
 広隆寺に2体ある弥勒菩薩半跏像のうちの通称「宝冠弥勒」の像
 右手を頬に軽く当て、思索のポーズを示す弥勒菩薩
 霊宝殿の中央に安置されている
 「国宝第1号」に指定され、日本に所在する仏教彫刻のうち最も著名なものの一つ
 像高は約123cm
 アカマツ材の一木造
 作風などから朝鮮半島からの渡来像といわれ、7世紀頃に作られたものといわれる
 韓国ソウルの国立中央博物館にある金銅弥勒菩薩半跏像と様式がよく似ている
 下腹部等にわずかに金箔の痕跡が残り、当初は金銅仏に近い外観であったことが推定される

 ドイツの哲学者カール・ヤスパースが、下記のようにこの像を絶賛した
 「これまで古代ギリシャの神々の彫像や、ローマ時代の優れた彫刻を多くさん見てきた
 しかし、今日まで何十年もの哲学者としての生涯の中で、これほど人間実存の本当の平和な姿を表した芸術作品を見たことがない
 この仏像は人間の持つ心の平和の理想を、真に余すところなく最高度に表している

 飛鳥時代の作
 1879年(皇紀2539)明治12年12月28日 重要文化財に指定される
 1951年(皇紀2611)昭和26年6月9日 国宝(指定番号1)に指定される


 <木造 弥勒菩薩半跏像(みろくぼさつはんかぞう)1躯(国宝)>
 広隆寺に2体ある弥勒菩薩半跏像のうちの通称「泣き弥勒」の像
 一見、沈うつな表情で右手を頬に当てた様子が泣いているかのように見える顔立ちから称される
 霊宝殿に安置されている
 宝冠弥勒と同様のポーズをとり、像高はやや小さい
 飛鳥時代仏教彫刻の典型であるクスノキ材で作られている
 1879年(皇紀2539)明治12年12月28日 重要文化財に指定される
 1952年(皇紀2612)昭和27年11月2日 国宝(指定番号1)に指定される

 <木造 不空羂索観音立像(ふくうけんさくかんのんりゅうぞう)1躯(国宝)>
 講堂に安置されていたもので、現在は霊宝殿に安置されている
 平安時代初期の作
 1901年(皇紀2561)明治34年8月2日 重要文化財に指定される
 1952年(皇紀2612)昭和27年11月2日 国宝(指定番号1)に指定される

 <木造 阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)1躯(国宝)>
 講堂の本尊の阿弥陀如来/A>
 像高2.6m
 承和年間(834年〜848年)の作
 1901年(皇紀2561)明治34年8月2日 重要文化財に指定される
 1952年(皇紀2612)昭和27年3月29日 
国宝に指定される

 <木造 千手観音立像(せんじゅかんのんりゅうぞう)1躯(国宝)>
 講堂に安置されていたもので、現在は霊宝殿に安置されている
 平安時代初期の作
 1904年(皇紀2564)明治37年2月18日 重要文化財に指定される
 1953年(皇紀2613)昭和28年3月31日 国宝に指定される

 <木造 十二神将立像(しんしょうりゅうぞう)12躯(国宝
 霊宝殿に安置されている
 1064年(皇紀1724)康平7年
 三条仏所の仏師 長勢の作といわれる
 1901年(皇紀2561)明治34年3月27日 重要文化財に指定される
 1953年(皇紀2613)昭和28年3月31日 国宝に指定される


 <木造 聖徳太子半跏像(しょうとくたいしはんかぞう)1躯(重要文化財)
 広隆寺の本堂に当たる上宮王院の厨子内に安置されている本尊
 この像には「1120年(皇紀1780)元永3年」の制作の銘があり、
聖徳太子秦氏仏像を賜った時の年齢である33歳時の像で、
下着姿の像の上に実物の着物を着せて安置されている
 鎌倉時代の作
 1917年(皇紀2577)大正6年4月5日 重要文化財に指定される

 <木造 阿弥陀如来立像 1躯(重要文化財)>
 平安時代の作
 1902年(皇紀2562)明治35年4月17日 重要文化財に指定される

 <木造 虚空蔵菩薩坐像(こくうぼさつざぞう)1躯(重要文化財)>
 講堂に安置されていたもの
 平安時代道昌の作といわれる
 1904年(皇紀2564)明治37年2月18日 重要文化財に指定される

 <木造 地蔵菩薩坐像(じぞうぼさつざぞう)1躯(重要文化財)>
 講堂に安置されていたもの
 平安時代道昌の作といわれる
 1904年(皇紀2564)明治37年2月18日 重要文化財に指定される

 <木造 地蔵菩薩立像(じぞうぼさつりゅうぞう)1躯(重要文化財)>
 「埋木地蔵」と称される
 平安時代の作
 1901年(皇紀2561)明治34年8月2日 重要文化財に指定される

 <木造 聖観音立像(しょうかんのんりゅうぞう)1躯(重要文化財)>
 平安時代の作
 1903年(皇紀2563)明治36年4月15日 重要文化財に指定される

 <木造 千手観音坐像(せんじゅかんのんざぞう)1躯(重要文化財)>
 像内に寛弘九年四月十四日開眼の墨書の銘がある
 1012年(皇紀1672)寛弘9年4月14日の作
 1918年(皇紀2578)大正7年4月8日 重要文化財に指定される

 <木造 如意輪観音半跏像(にょいりんかんのんはんかぞう)1躯(重要文化財)>
 桂宮院本堂に祀られている
 平安時代の作
 1955年(皇紀2615)昭和30年2月2日 重要文化財に指定される

 <木造 大日如来坐像(だいにちにょらいざぞう)1躯(重要文化財)>
 像高95.5cm
 平安時代の作
 1917年(皇紀2577)大正6年4月5日 重要文化財に指定される

 <木造 大日如来坐像(だいにちにょらいざぞう)1躯(重要文化財)>
 像高74.5cm
 平安時代の作
 1927年(皇紀2587)昭和2年7月2日 重要文化財に指定される

 <木造 薬師如来立像(やくしにょらいりゅうぞう)1躯(重要文化財)>
 平安時代の作
 秘仏で、11月22日のみ開扉される
 1901年(皇紀2561)明治34年8月2日 重要文化財に指定される

 <木造 多聞天立像(たもんてんりゅうぞう)1躯(重要文化財)>
 平安時代の作
 1938年(皇紀2598)昭和13年8月26日 重要文化財に指定される

 <木造 毘沙門天立像(びしゃもんてんりゅう)1躯(重要文化財)>
 平安時代の作
 1902年(皇紀2562)明治35年4月17日 重要文化財に指定される

 <木造 持国天立像1躯(重要文化財)>
 平安時代の作
 1901年(皇紀2561)明治34年8月2日 重要文化財に指定される

 <木造 広目天立像1躯(重要文化財)>
 平安時代の作
 1901年(皇紀2561)明治34年8月2日 重要文化財に指定される

 <木造 増長天立像1躯(重要文化財)>
 平安時代の作
 1901年(皇紀2561)明治34年8月2日 重要文化財に指定される

 <木造 日光月光菩薩立像 2躯(重要文化財)>
 日光菩薩と月光菩薩の立像
 平安時代の作
 1917年(皇紀2577)大正6年4月5日 重要文化財に指定される

 <木造 五髻文殊菩薩坐像1躯(重要文化財)>
 平安時代の作
 膝裏に文安二年修復(1445年(皇紀2105)文安2年)の銘がある
 1927年(皇紀2587)昭和2年7月2日 重要文化財に指定される

 <木造 不動明王坐像(ふどうみょうおうざぞう)1躯(重要文化財)>
 平安時代の作
 1917年(皇紀2577)大正6年4月5日 重要文化財に指定される

 <木造 菩薩立像(ぼさつりゅうぞう)1躯(重要文化財)>
 平安時代の作
 1918年(皇紀2578)大正7年4月8日 重要文化財に指定される

 <木造 吉祥天立像(きちじょうてんりゅうじょう)1躯(重要文化財)>
 像高164.6cm
 右手は伸ばし下に降ろして、手の平を正面に向けて与願印を表す
 左手は肘を折って上げて、手の平に宝珠を乗せる
 寒い冬のような服装
 10代の少女のような姿
 平安時代の作
 1902年(皇紀2562)明治35年4月17日 重要文化財に指定される

 <木造 吉祥天立像(きちじょうてんりゅうじょう)1躯(重要文化財)>
 像高184.5cm
 同様に、右手は与願印を表し、左手に宝珠を持ち、二重の天衣が掛かかっている
 30から40代の女性のような姿
 平安時代の作
 1917年(皇紀2577)大正6年4月5日 重要文化財に指定される

 <木造 吉祥天立像(きちじょうてんりゅうじょう)1躯(重要文化財)>
 像高168.0cm
 同様に、右手は与願印を表し、左手は手首から先が欠損している
 20代の女性のような姿
 平安時代の作
 1917年(皇紀2577)大正6年4月5日 重要文化財に指定される

 <木造 吉祥天立像(きちじょうてんりゅうじょう)1躯(重要文化財)>
 像高142.2cm
 同様に、右手は与願印を表し、左手は手首から先が欠損している
 衣の文様は、他の吉祥天と異なり、翻波式の文様をしている  40から50代の女性のような姿
 平安時代の作
 1917年(皇紀2577)大正6年4月5日 重要文化財に指定される

 <木造 吉祥天立像(きちじょうてんりゅうじょう)1躯(重要文化財)>
 像高106.8cm
 右手に宝珠を乗せている珍しい姿
 平安時代の作
 1938年(皇紀2598)昭和13年8月26日 重要文化財に指定される

 <木造 蔵王権現立像(ざおうごんげんりゅうぞう)1躯(重要文化財)>
 像高100.4cm
 平安時代の作
 1938年(皇紀2598)昭和13年8月26日 重要文化財に指定される

 <木造 蔵王権現立像(ざおうごんげんりゅうぞう)1躯(重要文化財)>
 像高96.4cm
 平安時代の作
 1938年(皇紀2598)昭和13年8月26日 重要文化財に指定される

 <木造 神像 1躯(重要文化財)>
 秦河勝の像といわれる
 平安時代の作
 1909年(皇紀2569)明治42年9月21日 重要文化財に指定される

 <木造 女神坐像 1躯(重要文化財)>
 秦河勝夫人の像といわれる
 平安時代の作
 1918年(皇紀2578)大正7年4月8日 重要文化財に指定される

 <塑造 弥勒菩薩坐像 1躯(重要文化財)>
 奈良時代の作
 1900年(皇紀2560)明治33年4月7日 重要文化財に指定される

 古文書

 <広隆寺縁起資財帳(えんぎしざいちょう)1巻(国宝)>
 平安時代のもの
 1953年(皇紀2613)昭和28年3月31日 国宝に指定される

 <広隆寺資材交替実録帳(しざいこうたいじつろくちょう)1巻(国宝)>
 平安時代のもの
 1953年(皇紀2613)昭和28年3月31日 国宝に指定される

 障壁画・襖絵・絵画

 <絹本著色 三千仏図(さんぜんぶつず)1幅(重要文化財)>
 中央に月光輪中に正坐する過去・現在・未来の三尊を、外院に三千の諸小仏が描かれている
 縦横3mをこえる大幅
 宮中や諸寺院で年中行事として行なわれた懺悔の会式である仏名会(ぶつみようえ)の本尊画像
 鎌倉時代初期の作
 1965年(皇紀2625)昭和40年5月29日 重要文化財に指定される

 <絹本著色 十二天像(てんぞう)12幅(重要文化財)>
 鎌倉時代の作
 1910年(皇紀2570)明治43年4月20日 重要文化財に指定される

 <絹本著色 准胝仏母像(じゅんていぶつもぞう)1幅(重要文化財)>
 鎌倉時代の作
 1910年(皇紀2570)明治43年4月20日 重要文化財に指定される

 <紙本著色 能恵法師絵詞 1巻(重要文化財)>
 鎌倉時代の作
 1897年(皇紀2557)明治30年12月28日 重要文化財に指定される

 工芸品

 <鉄鐘(てつしょう)1口(重要文化財)>
 建保五年七月日秦末時の銘がある
 1217年(皇紀1877)建保5年の秦氏による製作
 1927年(皇紀2587)昭和2年7月21日 重要文化財に指定される

 <聖徳太子京うちわ
 現存する最古のうちわといわれる


【広隆寺の祭事】


 <釿始め(ちょうなはじめ)>
 <釈尊降誕会(花まつり)>
 <牛祭>
 <聖徳太子御火焚祭


【その他】

 <大酒神社式内社)>
 広隆寺境内の桂宮院(けいくういん)に鎮守の社として祀られていた
 神仏分離 廃仏毀釈により、広隆寺境内より東の現在の地に遷された


 <近代京都文学 京都ゆかりの著書
 「広隆寺と絵と宿」 井伏鱒二

 <ミシュラン観光ガイドブック
 フランスのタイヤメーカのミシュラン社が発行する観光ガイドブックにおいて、「弥勒菩薩半跏像」が三つ星の評価を得ている

 <JR東海「そうだ 京都、行こう。」
 1996年(皇紀2656)平成8年の夏のキャンペーンで、
 「仏様に対してこういう言い方もなんですが、きれいだなぁ」 と紹介される

【広隆寺へのアクセス】

 嵐電 嵐山本線 太秦駅 駅前

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【京都検定 第1回3級】

19.国宝第一号に指定された「弥勒菩薩半跏思惟像」を所蔵する寺院はどこか?

 京都検定3級の道  左矢印前の問題に戻る左矢印  ・ 右矢印次の問題に進む右矢印

【京都検定 第7回3級】

【京都検定 第14回3級】

【京都検定 第17回3級】

【京都検定 第22回3級】

【京都検定 第24回3級】

【京都検定 第2回2級】

【京都検定 第3回2級】

【京都検定 第5回2級】

【京都検定 第11回2級】

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【京都検定 第19回2級】

【京都検定 第2回1級】

【京都検定 第3回1級】

【京都検定 第19回1級】

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 (過去問は下段に掲載)

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