地図情報
龍吟庵(りょうぎんあん)は、東福寺の東北にある塔頭
東福寺の庫裏から洗玉澗渓谷(せんぎょくかん渓谷)に架かる偃月橋(えんげつきょう)を渡った正面に建つ
東福寺第三世 大明国師(だいみんこくし)無関普門の住居跡で、東福寺の塔頭のなかでも第一におかれている
方丈1棟が国宝に、表門・庫裏が重要文化財に指定されている
<方丈(ほうじょう)(国宝)>
正面玄関を上るとすぐ左手側に建つ
室町時代初期の建立
現存する方丈としては最古の禅宗方丈建築
外観は正面では各室とも蔀戸を吊り、両側面に板扉が設けられるなど、
他の方丈に類例がない古式の建具が用いられている
中央前面の間(室中)が正面三間であるのに背面が四間となり、正面が板壁になっており仏壇がなく、
背面の一室は眠蔵であったといわれ古式の方丈形式
前面に蔀戸が用いられ、側面にも扉を開くなど書院造に寝殿造風の意匠がみられる
部屋の柱間中央の入口は、両開き板唐戸に、一本溝に4枚の障子が立てられいる子持障子となっている
両端の柱間には、格子に板を裏貼りした蔀戸を、上部はつり上げ、下部は差込みの板扉が付いている
方丈東西の妻側は、妻戸がはめらた寝殿造
入母屋造屋根の妻部分は、木連格子(狐格子)の書院造
南列3室、北列3室の6室に分かれ、南列中央の間が広くされている
正面の扁額「龍吟庵」は、足利義満の筆
扁額の裏面に「嘉慶元年」(1387年(皇紀2047)元中4年/嘉慶元年)の銘がある
桁行16.5m、梁間12.9m、一重、入母屋造、柿葺(こけらぶき)
正面は七間(約12.7m)、梁間は五間(約9m)
附指定:玄関1棟・棟札3枚
1387年(皇紀2047)元中4年/嘉慶元年の創建
1953年(皇紀2613)昭和28年3月31日 重要文化財に指定される
数度の修理を経て間仕切りなども大きく変更されていた
1958年(皇紀2618)昭和33年からの解体修理で当初の形に復原された
1963年(皇紀2623)昭和38年7月1日 国宝に指定される
<表門(おもてもん)(重要文化財)>
桃山時代の建築
桁行一間、梁間一間、一重、切妻造、妻入、こけら葺
1553年(皇紀2213)天文22年3月31日 重要文化財に指定される
<庫裏(くり)(重要文化財)>
重厚感ある桃山時代の建築
桁行10.0m、梁間11.0m、一重、切妻造、妻入、銅板葺、下屋・廊下を含む
1603年(皇紀2263)慶長8年の建立
1553年(皇紀2213)天文22年3月31日 重要文化財に指定される
<開山堂>
方丈の背面に建つ
大明国師 無関普門座像が安置されている
正面の扁額「霊光」は、足利義満の筆
<清光苑(龍吟庭)>
方丈が、東西南の3ヶ所から枯山水庭園で囲まれている
1964年(皇紀2624)昭和39年
重森三玲の作庭
方丈正面の南庭「無の庭」は、白砂敷の枯山水庭園
一面白砂敷だけで、草木・石などは一つも置かれていない
西側の竹垣には、稲妻模様が描かれており、西庭のイメージに続くよう考慮されているといわれる
方丈西庭「龍の庭」は、「龍吟」をイメージした約70坪の庭園
龍が、大海中から黒雲に乗って昇天する様子を石組で表現されている
中央部に、龍の頭の石と、角二本の石が組まれ、胴の各石が、海中に円形を描くように置かれている
白と黒の二色の砂により入り組んだ砂紋が描かれ、海波と黒雲の間から龍が顔を出しているように見える
方丈東庭「不離の庭」は、珍しい赤砂の枯山水庭園
龍吟庵の開基の無関普門が、幼少の頃、熱病にかかって山中に捨てられた時、
二頭の犬が、狼の襲撃から無関普門の身を守ったという故事にもとづく
中央の長い石が、横たわる無関普門
両脇の白石と黒石が二頭の犬、周りの石が狼を表しているといわれる
モダンな赤砂は、鞍馬石
竹垣には、竹の枝がついている
<木造 大明国師坐像 1躯(重要文化財)>
東福寺第三世 大明国師 無関普門の座像
開山堂の曲ろくに安置されている
檜材の寄木造、玉眼入り、彩色の等身大
無関普門の現存唯一の彫像
1285年(皇紀1945)弘安8年の作
1968年(皇紀2628)昭和43年4月25日 重要文化財に指定される
像修理のときに、像内から納入品が発見された
附指定:像内納入品
・木製五輪塔(水輪水晶製)1基
(内に金製舎利容器を納める)
・緑瑠璃舎利壺 1口
・錦袋 2枚分
・版本諸尊図像陀羅尼(九重守)1巻
(弘安八年二月十五日信聖刊記)
・紙本墨書六尊種子 1神
・古写経断片 4片
・香木 1片
・銅環 1箇
・銀箔 3枚分
・木箱 1合
・木製五輪塔 1基
・紙本墨書国師像内仏舎利之記 1帖
(寛政元年の奥書がある)
<銅無関禅師骨蔵器(どうむかんぜんしこつぞうき)1合(重要文化財)>
鋳銅製被蓋造りの丈の低い円筒状の骨蔵器
1291年(皇紀1951)正応4年12月12日
側面に、正応四年十二月十二日 無関禅師霊骨云々の銘がある
1961年(皇紀2621)昭和36年
龍吟庵の庫裏の北側から発見された
大明国師 無関普門のお墓(石造 無縫塔)の下の石室内に納められていたもの
禅宗の高僧の骨蔵器にふさわしく何の飾り気もない簡素なもの
1968年(皇紀2628)昭和43年4月25日 重要文化財に指定される
<石櫃(いしびつ)1合(重要文化財)>
銅無関禅師骨蔵器の外容器に使われていた
花崗岩製
1291年(皇紀1951)正応4年のもの
1791年(皇紀2451)寛政3年
大明国師 無関普門の五百遠忌のときに、境内から移築された記録がある
1961年(皇紀2621)昭和36年7月
銅無関禅師骨蔵器が発見された塔の下を発掘調査したときに出土したもの
1968年(皇紀2628)昭和43年4月25日 重要文化財に指定される
附指定:銅骨蔵器 1合
附指定:錫外筒 1合
(寛政二年大明国師五百遠忌の銘がある)
附指定:石櫃 1合
附指定:金銅経筒 1合
(永仁弐年三月十五日行願の銘がある)
附指定:須恵器合子 2合
(竜吟庵無関禅師墓納置)