在原業平(ありわらのなりひら)
(Ariwarano Narihira) 京都通メンバ
在原業平(ありわらのなりひら)は、平安時代初期の貴族・歌人

生年:825年(皇紀1485)天長2年
没年:880年(皇紀1540)元慶4年5月28日
享年:56

平城天皇の孫

官位:従四位上・蔵人頭・右近衛権中将

六歌仙・三十六歌仙の一人
「伊勢物語」の主人公とされる

別称:在五中将

 在原業平(ありわらのなりひら)は、平城天皇の孫で、平安時代初期の貴族・歌人

 右近衛権中将となるなど武官を歴任し、在原氏の五男であったことで「在五中将」とも称される

 「伊勢物語」の主人公とみなされている

【在原業平の歴史・経緯】

【人物】

 妻は、紀有常の娘

 文徳天皇の皇子で紀氏を母とする惟喬親王(妻の従兄妹)に親しく仕える

 恋愛関係にあったといわれる清和天皇の皇太后 藤原高子(二条后)の引き立てを受けた

 藤原基経の四十の賀(40歳の祝い)に和歌を献じる

 長男 在原棟梁の娘は、祖父譲りの美男で、藤原基経の兄 藤原国経の妻となり、
後には、藤原基経の嫡男 藤原時平の妻になる

 妻の妹を嫁にした藤原敏行とも親交があった

 薬子の変により廃太子させられた叔父 高岳親王などの皇族とも親交があった

 子供の在原棟梁・在原滋春、在原棟梁の子 在原元方なども勅撰集に歌を収める歌人

 鷹狩が好きな桓武天皇の子孫だけあり、兄 行平ともども鷹狩の名手であったといわれる

 <伊勢物語
 在原業平は、「伊勢物語」の主人公の「昔男」と同一視される
 「伊勢物語」では、文徳天皇の第一皇子でありながら母親が藤原氏でなかっため皇位につけなかった惟喬親王との交流や、
清和天皇女御でのち皇太后となった藤原高子(二条后)、
惟喬親王の妹である伊勢斎宮恬子内親王とみなされる高貴な女性たちとの恋などが語られる
 高貴の生まれでありながら反体制的な貴公子というイメージがある

 <日本三代実録>
 「体貌閑麗、放縦不拘(物事にとらわれず奔放なこと)、略無才覚、善作倭歌」と記されている

【歌人】

 在原業平は、新しい和歌を生み出した優れた歌人の一人で、六歌仙・三十六歌仙の一人とされる

 「古今和歌集」に30首、「勅撰和歌集」に86首が入集されている

 「古今和歌集」仮名序に「その心余りて言葉足らず」と評されるように、大胆な発想による詠嘆に特徴があるといわれる

 子供の在原棟梁・在原滋春、在原棟梁の子 在原元方なども勅撰集に歌を収める歌人

 <代表歌>
 「から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ」(古今和歌集
 「かきつはた」の折句歌になっている

 「ちはやぶる 神世もきかず 龍田河 唐紅に水くくるとは」(古今和歌集)(小倉百人一首

 「白玉か 何ぞと人の 問いし時 露と答えて 消えなましものを」(新古今和歌集)(伊勢物語第六段)

 「世の中の 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし」(古今和歌集

 「名にし負はば いざ言問はむ都鳥 我がおもふ人は ありやなしやと」(古今和歌集

 「忘れては 夢かとぞ思ふ思ひきや 雪踏み分けて 君を見むとは」(伊勢物語83段「小野の雪」)(古今和歌集
 出家されて隠棲されてしまった惟喬親王を、雪が降り積もる小野に訪れて詠んだ

【在原業平のゆかりの地】

 在原業平に関連した伝承は日本各地にあり、「業平」という地名も多く存在する

 <在原業平邸址(中京区)>

 <十輪寺
 在原業平が晩年住んだといわれる寺院で、「業平寺」とも称される

 宝篋印塔
 在原業平のお墓とされる

 業平の塩竈跡
 在原業平のかつての恋人であった二条后(藤原高子)が大原野神社に参詣された時に、
塩竈を焼き紫の煙を立ちのぼらせて想いを彼女に送ったといわれる故事がある塩釜
 二条后も、その紫の煙を見て、悲しみの涙にくれたといわれる
 恋愛結婚成就の神さんとされる

 塩竃清祭
 11月23日に、在原業平を偲んで行われる催事
 塩竈から立ち上る紫煙に亡き人を偲ぶ

 <恵美須神社
 岩本稲荷社に在原業平が祀られている

 <長岡天満宮
 菅原道真が、在原業平らと共に、たびたび詩歌管弦を楽しまれたゆかりが深いところ

 <河原院跡
 難波や尼崎から毎月30石の海水を運ばせて、塩焼をさせて、その風情を楽しんだといわれ、
在原業平など、多くの歌人・文人たちの遊興の場でもあったといわれる


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