菅原道真(すがわらのみちざね)(Sugawarano Michizane)

菅原道真(すがわらのみちざね)は、平安時代前期の貴族、学者、漢詩人、政治家

生年:845年(皇紀1505)承和12年6月25日
没年:903年(皇紀1563)延喜3年2月25日
享年:59

官位:従二位・右大臣、贈正一位・太政大臣

北野天満宮の祭神
天満天神・学問の神さん

菅家(かんけ・かんか)、菅公(かんこう)

 菅原道真(すがわらのみちざね)は、平安時代前期の貴族、学者、漢詩人、政治家

 才能があり、宇多天皇の信任を受けて、藤原氏に対するけん制役にもなり政治の要職に起用される

 宇多天皇から醍醐天皇に譲位された後も右大臣にまでなるが、政敵の藤原時平の策略で、
大宰権帥に左遷され、その地で無念のうちに死去する

 その後、朝廷関係者の怪死や、都での天変地異が続き、道真の祟りとされ、天満天神として祀られる

 その後、北野天満宮が創建され、学問の神さんとされる

【菅原道真の歴史・経緯】


【菅原道真の和歌】

 「古今和歌集」に2首が採録されるほか、「北野の御歌」として採られているものを含めると35首が勅撰和歌集に入集する

 <拾遺和歌集>
 「東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな」
 道真が、左遷されることになり、自宅で彼の愛した庭の紅梅に別れを惜しんで詠んだといわれる
 その梅の木は、後に大宰府まで飛んで行ったという「飛梅伝説」がある

 <古今和歌集
 「秋風の 吹き上げに立てる 白菊は 花かあらぬか 浪のよするか」
 「このたびは 幣(ぬさ)も取り敢へず 手向山(たむけやま) もみぢの錦 神のまにまに」(小倉百人一首にも)

 <新古今和歌集
 「海ならず 湛へる水の 底までに 清き心は 月ぞ照らさむ」(大鏡にも)

 <編纂「新撰万葉集」2巻>
 日本紀略に、893年(皇紀1553)寛平5年に、宇多天皇の和歌とそれを漢詩に翻案したものを対にして編纂して
宇多天皇に奉ったとある

 <詩文集「菅家文草(かんかぶんそう)」全12巻>
 900年(皇紀1560)昌泰3年
 自らの詩、散文を集めた

 <共同編纂「日本三代実録」>
 左遷直後の901年(皇紀1561)延喜元年8月に完成
 六国史の一つとされる

 <詩文集「菅家後集(かんかこうしゅう)」>
 903年(皇紀1563)延喜3年頃
 大宰府での作品を集めたもの

 <編著「類聚国史(るいじゅうこくし)」>

【菅原家】

 菅原道真の子供は、男女多数いる
 子孫もまた学者の家として長く続く

 <正室 島田宣来子>
 島田忠臣の娘

 <長男 菅原高視>
 中央貴族として残る
 菅家7流の祖となり、現在の姓で有元(有本)・広戸・福光・植月・原田・高取(鷹取)・江見・中島となる

 <五男 菅原淳茂>

 <菅原孝標(すがわらのたかすえ)>
 菅原高視の曾孫(道真五世)

 <菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)>
 菅原孝標の娘(道真六世)
 「更級日記(さらしなにっき)」の作者

 その他
 柳生宗厳、前田利家、大隈重信、菅直人なども子孫といわれる

【菅原道真の生誕地の地】

 菅原道真の誕生の地とされているところが数ヶ所あり、産湯に使われた井土などがある

 <菅大臣神社
 菅原道真が誕生した地で、産湯に使われたといわれる天満宮誕浴の井がある
 幼少の頃には、学問に励んだといわれ、天満宮降誕之地の石碑が立つ

 <菅原院天満宮神社
 菅原道真が誕生したときに産湯として使われた井戸「菅公初湯井(かんこううぶゆのい)」がある
 天満宮御遺愛の石燈籠がある

 <吉祥院天満宮
 菅原道真の誕生の地で、菅原道真が亡くなってから31年目に、最初に創建された最初の天満宮
 菅原道真のへその緒を埋めた「胞衣塚」や、参朝の時に顔を写した「鑑の井」などがある

【菅原道真のゆかりの地】

 <北野天満宮
 右京七条の多治比文子が、「北野馬場に祠を建てよ」という菅原道真の託宣を受け、
 藤原師輔(ふじわらのもろすけ)により北野馬場に社殿が寄進される
 一条天皇の勅命により、菅原道真を祭るお祭「北野祭」が行われ、「北野天満宮」の勅号を賜る
 菅原道真の生涯と、死後の災いなどの様子が描かれる絵巻「北野天神縁起」(国宝)がある

 <北菅大臣神社
 菅家(菅原氏)の邸宅跡で、菅家廊下(かんけろうか)といわれた学問所の跡地で、
菅原道真の書斎があったところで、後に「紅梅殿」と称されたところ

 <長岡天満宮
 菅原道真が大宰府に左遷される時に、この地に立ち寄って「我が魂長くこの地にとどまるべし」と名残りを惜しんだといわれる
 菅原道真の没後、家臣たちが聖廟を創建し、菅原道真自作の木像をお祀りしたのが由来

 <長尾天満宮
 菅公衣裳塚・歌碑がある
 菅原道真が、生前墳墓の地に望んでいたところ
 死後、菅原道真の衣服と遺物が大宰府から持ち帰られ埋められてお墓とされたといわれる

 <東向観音寺
 菅原道真が、幼い頃に勉学に励んだところといわれ
 本尊の十一面観音菩薩は、菅原道真の作
 25年に一度の御年祭の年のみ御開帳される秘仏
 菅原道真の母親を祀る伴氏本廟がある

 <水火天満宮
 祟りを恐れた醍醐天皇の勅願により菅原道真の神霊を祀るために創建される
 菅原道真が降り立ったといわれる道真の登天石、菅原道真が来現したといわれる菅公影向松がある

 <道真の登天石
 菅原道真が降り立ったといわれるご神石
 菅原道真の死後、天変地異が相次ぎ、その原因が菅原道真の怨霊とされ、
 醍醐天皇により祈祷の勅命を受けた菅原道真の師だった延暦寺の法性坊尊意僧正が御所に向かう途中、
 鴨川が氾濫しており、天に向かい神剣をかざして祈ると、
 急に鴨川の水位が下がり、二つに分かれた水流の間から出てきた石の上に菅原道真が現われたという故事が残る

 <文子天満宮
 菅原道真の託宣により、日本で最初に祀られた神社
 菅原道真の乳母でもあり巫女でもあった右京七条二坊の多治比文子(たじひのあやこ)が、
「我を北野馬場に祠を建てて祀れ」という菅原道真の託宣を受ける
 しかし、庶民であった多治比文子には果たせず、自宅に小さな祠を建てて祀ったのが、文子天満宮の由来

 <八瀬天満宮
 菅原道真の死後、尊意僧正が、勧請して創建したといわれる
 菅原道真が、師である法性房 尊意阿闍梨を訪ねて、八瀬坂から延暦寺に登る途中、
八瀬天満宮で休息したといわれる石「菅公腰掛石(かんこうこしかけいし)」がある

 <新日吉神宮
 洛陽二十五社天満宮の一つ
 後白河天皇が、菅原道真の飛梅の霊を祀ったといわれる

 <天穂日命神社
 天穂日命は、天孫降臨の前、出雲に行き天日隅宮(あめのひすみのみや)の祭祀を司った神
 菅原道真の祖先の神ともされる

 <青谷梅林
 中天満神社、菅原道真の歌碑がある

 <志明院
 根本中院の本尊 眼力不動明王は、宇多天皇の勅願により、菅原道真による一刀三礼の彫刻といわれる
 秘仏とされ、天皇の即位のときに勅使を迎え開扉され、宝祚延長、万民安穩の祈願が行われた

 <清閑寺
 菅原道真が梅樹で自ら彫ったといわれる十一面千手観音菩薩が安置されている

 <大報恩寺 千本釈迦堂
 木造 千手観音菩薩立像(重要文化財)
 像高1.76m、一木彫成の彩色像で、菅原道真の自刻の像ともいわれる

 <千喜万悦天満宮
 菅原道真が、右大臣に昇進したときの喜びの絵図がある

 <太宰府天満宮(福岡県太宰府市)>
 大宰府で死去され、同地に葬られたといわれる

 <伴氏神社
 菅原道真の母親を祀る北野天満宮の末社

【菅原道真のゆかりの祭事】

 <天神さん
 毎月25日に北野天満宮で行われる縁日
 北野天満宮の祭神である菅原道真の誕生日が6月25日、薨去の2月25日にちなんで、毎月25日が縁日とされる

 <梅花祭
 梅花祭(ばいかさい)は、北野天満宮の祭神である菅原道真の祥月命日に行われる祭典
 菅原道真が、梅の花を愛でたことにちなむ
 梅花祭神事や、上七軒の芸子・舞妓さんらによる野点などが行われる

 <ずいき祭
 北野天満宮の10月の例祭
 北野の神霊(天神様)(菅原道真)を、10月1日〜4日まで西ノ京の御旅所へお迎えして、
その年に収穫された豆穀・蔬菜・果瓜を使った神輿を奉納し五穀豊穣を感謝するお祭

 <御誕辰祭
 御誕辰祭(ごたんしんさい)は、北野天満宮の祭神 菅原道真の誕生の日を祝う神事
 夏越天神(なごしてんじん)ともいわれ、楼門で「大茅の輪くぐり」が行われ、厄除け・無病息災が祈願される

 <油天神山
 油天神山(あぶらてんじんやま)は、祇園祭における山鉾の一つの舁山
 風早町の公家 風早家の屋敷に祀られていた天神(菅原道真)さんが勧請されている
 勧請の日が、丑(うし)の日にあたり「牛天神山(うしてんじんやま)」とも称される

【その他】

 <菅原道真の祟り
 菅原道真が、藤原時平の讒言により無実の罪で配流された大宰府において無念のうちに死去
 その後、京都では落雷などの天災が相次ぎ、菅原道真の怨霊との噂が広まる

 <飛梅伝説>
 道真が左遷されることにあり、自宅で愛した庭の紅梅に別れを惜しんで歌を詠んだといわれ、
その梅の木が、後に大宰府まで飛んで行ったといわれる
 安楽寺(大宰府天満宮)に、その梅の木がある

 <菅家廊下>
 祖父 菅原清公の始めた人材を育成する家塾
 門人を一族に限らず、その出身者が朝廷に一時期100人以上いた時期があるといわれる
 「菅家廊下」の名前は、菅原清公が書斎に続く細殿(廊下)を門人の居室としたことに由来するといわれる


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