京すだれ(きょうすだれ)

京すだれ(きょうすだれ)は、竹や葦などを編んで、部屋の中や外を分ける仕切り、エクステリアやインテリアとして用いられる

座敷簾(ざしきすだれ)・外掛簾(そとがけすだれ)・茶席簾(ちゃせきすだれ)・御翠簾(おみす)などがある

京都市の伝統産業の一つ

 (写真は京都伝統産業ミュージアムにて撮影)

【京すだれの歴史・経緯】


【すだれの種類】

 <外掛簾(そとがけすだれ)>
 家の軒先に掛け、外部から家の内部が見えないよう、強い外光を避けるために用いられる
 上下に桟竹(さんたけ)がつけられる
 材料:磨き葭、蒲芯、代萩、天津葭など

 <座敷簾(ざしきすだれ)>
 京町家など、家の中で用いられ、夏季において襖や障子の役目を果たす
 主に青竹の竹ひごが用いられ、ひご板で抜かれ、丸く滑らかになる
 年月とともに色合いがあめ色に変化していく
 当初より数年経過した淡いあめ色に加工(タキヒゴ加工)されることもある

 明治時代初期に考案された
 現在では、風通しよりも、清涼感を補うインテリアとして用いられている


 <茶席簾(ちゃせきすだれ)>
 お茶席において、茶室内の採光を調節し、間仕切り・インテリアに用いられる
 外掛の茶席簾には、主に皮付葭簾(かわつきよしすだれ)が使われ、素朴な風合いがある
 室内用の茶席簾には、上等磨き葭簾(じょうとうみがきよしすだれ)が使われ、本麻の裂地(麻の縁)をつけることがある

 <御翠簾(おみす)
 神社仏閣や、仏壇の装飾品、お祭の山車などに用いらる
 黄色く染められた真竹の割りヒゴを編んだもの
 すだれの中に縦に中縁(なかべり)や、周囲に本麻や錦の縁(裂地)がつけられる
 上部にはすだれを留める房(ふさ)がつけられる

 <衝立(ついたて)・屏風(びょうぶ)・葭障子(よししょうじ)>
 衝立や屏風・障子に、すだれをはめこんだもの
 主に夏に、間仕切り・目隠し・清涼感を出すインテリアとして用いられる
 京都では、すだれの目を縦にして用いられる(地方では目を横にされる)

【すだれの構成】

 桟竹(さんたけ):すだれの一番上と一番下に付けられる幅広の竹
   竹に反りがでるので、2枚合わせで用いられる

 すだれの本体:竹や葦(あし)などを編んで作られる

 編み糸:丈夫な麻糸が用いられる


 ★すだれの本体
 <上等磨き葭(じょうとうみがきよし)
 琵琶湖周辺の上質の葭(よし)を使用し、皮をむくことで独特の光沢が生まれる

 <磨き蒲芯(みがきがましん)>
 上質の蒲(がま)の薄皮を、1本ずつ小刀で取ったもの
 蒲芯は、良く外光を避けられる
 湿気の多い場所に不向き

 <蒲芯(がましん)>
 節が少なく色に統一感がある
 遮光性・断熱性に優れる

 <御形(ごぎょう)>
 御形は、川辺に、葭(よし)の中に混ざって生えている、とても丈夫な材料
 優しい茶色の素材
 桟竹(さんたけ)は茶色に染められたものや、編み糸も茶色のものが用いられる

 <代萩簾(いはぎ)>
 萩の代用品として用いられるセイダカアワダチ草の茎の部分
 茶褐色で落ち着いた雰囲気があり、節の曲がりなどに味わいがある

 <天津葭簾(てんしんよしすだれ)>
 用途・お好みに合わせて、いろいろな太さが選ばれる

 <皮付葭(かわつきよし)>
 主にお茶席に用いられる
 皮付きの葭が用いられ、素朴な風合いがある

 <青竹の竹ひご>
 主に座敷簾に用いられる
 年月とともに色合いがあめ色に変化していく
 当初より数年経過した淡いあめ色に加工(タキヒゴ加工)されることもある

 <黄色染め>
 黄色に染められた青竹のヒゴ
 主に、赤い糸を使って御翠簾(おみす)として用いられる
 年月とともに色合いがあめ色に変化していく
 当初より数年経過した淡いあめ色に加工(タキヒゴ加工)されることもある

 <平ひご茶染め>
 竹を平割りにしたものを、茶色に染めたもの

 <竹ひごいぶし>
 竹を細く割って削ったものを燻したもの

 <錆び葭(さびよし)>
 <白唐葭(はくとうよし)>


 ★ひごの編み方
 <表編み>
 すだれのヒゴの1本1本を竹の表面に合わせて編む技法
 簾には、表裏ができる
 竹の表側がもつ光沢が美しくでるのが特徴
 竹ヒゴの性質上、少し中央がふくらむ

 <一本返し編み>
 すだれのヒゴの1本1本を竹ヒゴの表面と裏面とを交互に編む技法
 簾の面に表裏がなく、フラットな仕上がりになる


 ★簾の取り付け方
 <くり穴>
 一番上の幅広の竹(サン竹)に、留め具をひっかけられるように切り込みが入れられる

 <花菱金具>
 一番上の幅広の竹(サン竹)に、穴が開いた留め具となる飾り金具がつけられる

 <紐掛け>
 一番上の幅広の竹(サン竹)の上に、留め具をひっかけられるように紐(ひも)が結ばれる
 主に茶席用で用いられる


 ★簾の巻き上げ金具  <巻上器>
 すだれの一番下から、紐で巻き上げる

 <蛭環 (ひるかん)>
 一番上の幅広の竹に紐でつけられたS字の金具をつけて、すだれを巻き上げて留める

 <S金具>
 一番上の幅広の竹の上部からS字の金具をつけて、すだれを巻き上げて留める


 ★簾の巻き上げ留め
 <房(ふさ)>
 御翠簾(おみす)の上部に付けられる

 <紐(ひも)>


 ★裂地
 縁に付けられる布地
 御翠簾(おみす)のすだれの中にある縁を中縁(なかべり)と称される

 <正絹(しょうけん)>
 絹・シルクで作られた織物
 柄:正倉院・朱珍鳳凰・唐子・段遠州など

 <本麻(ほんあさ)>
 麻で作られた織物
 無地で、麻ならではの素朴な風合いが特徴
 柄:倭錦・木瓜・富田金襴など

 <交織(こうしょく)>
 縦糸と横糸のうち、片方が絹で作られた織物
 光沢がある
 柄:引手柄・菱目・小紋


 ★竹節(たけふし)の模様
 幅に応じた竹節模様になる

 一つ節(幅720mmぐらいまで)
 二つ節(幅960mmぐらいまで)
 節散らし(幅1,800mm以上)

【京すだれの使い道】

 <時代祭時代行列の牛車「檳榔毛唐庇車(びんろうげからひさしぐるま)」>
 蒲葵(びろう)の葉で葺き、簾(すだれ)などの色文装具(いろあやそうぐ)などで飾られている


 <祇園祭山鉾函谷鉾」>
 12日の曳き初めのときだけ用いられる上水引「翠簾(すいれん)」
 左右両端の簾(すだれ)が長めに巻き上げられ、中央は幅広で短く巻き上げられ、簾の縁には緑地に白く帽額紋(木瓜紋)があり、
上縁の神紋の間には源氏蝶の刺繍がある


 <茶室如庵」>
 正面から見える連子窓と下地窓には、普段はすだれがかけられている


 <阪急電車の観光特急電車「京とれいん 雅洛
 1両ごとに季節と植物・テーマが定められており、
 2~5号車の車両中央の窓には、すだれカーテンが、窓の上部には、雪見障子風の日よけが付けられている


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