大原生しば漬(おおはら なましばづけ)(Oohara NamaShibaduke)

所在地:京都市左京区大原   地図情報

 大原の生しば漬は、千枚漬すぐき菜と並ぶ京の三大漬物のひとつ

 生しば漬は、茄子(ナス)と赤紫蘇(あかしそ)を塩のみで漬け込み、人工発酵でなく、自然の夏の外気温で自然乳酸発酵させた京漬物
 塩漬けした野菜に紫蘇(しそ)風味の調味料で漬けた「しばづけ」とは、全く異なる

 すぐき菜とほぼ同じように、調味料を一切使わない伝統製法が用いられ、
乳酸菌を多く含み、紫蘇に含まれるポリフェノールの働きも摂取できる

 山里である大原は、冬雪深く、寒さの厳しい土地で、主要道路の鯖街道が雪に埋もれると物資の流通も途絶てしまい、
冬の保存食として、各家庭で夏野菜を保存する目的で漬けていたもの

 茄子も、自然生育されている野菜

 朝夕の寒暖差が激しい大原の気候が紫蘇つくりに適しているといわれ、
 生しば漬は、漬物屋が多い京都でも、ほとんど大原だけでしか製造されていない

【生しば漬の特徴】

 <色>
 鮮やかな赤紫色
 茄子の紺色と、紫蘇の色が乳酸発酵によって酸性化する中で反応を起こして赤く染まる(アントシアン反応)
 赤ワインの製造過程とも似ている

 <形状>
 ナスを斜めにスライスし、紫蘇の葉を生のまま漬け込むので、平べったく大きなままの形状
 海苔のように、ご飯にまいて食べれる

 <原料>
 茄子・紫蘇・塩、以外は一切使用されない伝統的な京漬物

 酸っぱい原因は、乳酸発酵によるもの
 乳酸菌の働きにより、整腸作用や抗菌作用、抗がん作用もあるといわれる

 <旬>
 7月〜8月にかけて、1年分が漬け込まれる
 祇園祭の頃に、その年の新漬けの樽出しが始まる
 新漬けは、さっぱりとした生紫蘇の香りも豊かで、乳酸発酵臭もしない

ちりめん赤紫蘇(あかしそ)

 ちりめん赤紫蘇(あかしそ)は、深い赤紫、葉の周辺が縮れたふうに波打つのが特徴

 青しそと違い、食用にされることは少ない
 主に漢方薬として健胃・解毒・鎮咳などに効果があり、乾燥して煎じ薬としても用いられる

 紫蘇の持つ強力な防腐力と味、香気が長期保存できることが分かり、主に梅干など、漬物を漬けるのに用いられてきた

 紫蘇の原産地はヒマラヤ・中国・ビルマで、平安時代初期に日本に伝来してきたといわれ、
山に囲まれた地形のために別の種の花粉が飛来せず、大原のちりめん赤紫蘇、紫蘇の純粋種に近いものといわれる

 大原の山あいの盆地で、朝夕の寒暖差が激しく、朝霞の湿気など大原の気候が赤紫蘇つくりに適しているといわれる

【その他】

 <建礼門院
 平安時代末期
 1185年(皇紀1845)元暦2年/文治元年
 源平の合戦により、壇の浦で平氏は全滅し、唯一生き残った建礼門院平清盛の次女)(高倉天皇の皇后)が、
寂光院に隠棲された
 里人が、建礼門院をお慰めしようと、紫蘇と茄子・胡瓜・茗荷など夏野菜を塩で漬け込んだ漬物を献上したところ、
「柴葉漬ですね」といわれ、とても喜ばれたといわれる
 それ以来、「しば漬」として、大原の各家庭で秘伝の漬け方が伝えられてきた

 <大原のしば漬>
 生しば漬は、主に茄子(ナス)と赤紫蘇(あかしそ)を塩のみで漬け込み自然乳酸発酵させたもの
 キュウリ(胡瓜)やしょうが、京みょうがなど、あらかじめ塩漬けした夏野菜に大原の紫蘇で漬けた「しば漬」もある

【大原へのアクセス】

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