旧浅田家住宅(きゅうあさだけじゅうたく)は、下鴨神社の社家屋敷の遺構
糺の森の整備事業の一環で整備・保存され、鴨社資料館 秀穂舎として活用あれている
江戸時代中期の伝統的な社家建築
現存する社家建築は全国でも数少なく、貴重なもの
敷地:約400坪(約1,322m2)
建物の基礎には加茂石が用いられている
<浅田家住宅>
神棚の間・画室・住居に分けられていた
木造2階建て、延べ約90m2
社寺建築に見られる透かし塀や火頭窓(かとうまど)などが施されている
建物の基礎部分に、庭石などに用いられる高価な加茂石が用いられている
門構えや玄関口に江戸中期に建築されたとみられる名残がある
<華表門(かひょう門)>
表門
鳥居様の形の上に瓦葺の屋根がのっており、神社での鳥居の役割をもつ
下鴨神社の社家に多かった形式
冠木の上に鴨、左右に双葉葵の彫刻が施されている
<脇門(わきもん)>
表門の南側
<石人像 石人文官(せきじん-ぶんかん)>
表門脇に立っている内侍像
高さ125cm X 最大幅35cm
<待合(まちあい)
表門の脇にある
主人に従ってきた随員が、主人の用事が終わるのを待機するところ
<式台(しきだい)>
玄関の土間と床との間に設けられる板敷
<神棚の間(かみだなのま)>
入口を入ったところにある
<次の間>
閼伽棚の間(あかだなのま)とも称される
<応接室>
<座敷>
<茶室>
<歳木(としぎ)>
表門内に置かれている
歳神を招く神籬(ひもろぎ)で、元旦を祝い年神を祀る飾り木にもなった
鬼木(おにぎ)、御新木(おにゅうぎ)とも称される
魔除けの呪物とされた
<御井(みい)>
屋敷内の神々に供える御水をくむための井戸
<手水鉢(ちょうずばち)>
双葉葵が刻まれている
<禊場(みそぎば)>
敷地の北側を流れる泉川の畔にある
手前に、太鼓橋が架けられ、建物と降り口をつないでいる
下鴨神社の神官・氏人の家には、祭神・家の神々が祀られており、祭事と本宮の祭祀に奉仕するために
社家ごとに川畔に禊場が設けられていた
ここでの禊を行い、祭事・祭祀に携わっていた
上賀茂神社の社家 梅辻家住宅(京都市有形文化財)の意匠とも共通する部分があるといわれる
<社家>
ある神社に代々仕える神職の家柄
かつて、下鴨神社には約340軒の社家があり、社家町を形成していた
明治維新により社家制度が廃止される
現在では、鴨脚家と浅田家の2軒の旧宅が残るだけになる
浅田家は、下鴨神社にあった学術研究機関「学問所」に所属し、祭事などを記録する絵所(えどころ)の絵師を務めていた
<学問所>
神社の歴史を研究し、人々に宣教する重要な機関
神職や公家の子弟の教育もしていた
<絵所(えどころ)>
祭事などを記録していた組織
<鴨社資料館 秀穂舎>
旧浅田家住宅は、改修後、資料館として活用される
応接室や座敷など延べ約120m2が保存される
建物自体が史料でもあり、下鴨神社に残る古地図などの史料も公開される