お茶席や、お祝いの席、おもてなしの席では、必ず上菓子が用いられる
上菓子は、専門職人「菓子匠」「御菓子司」などにより、繊細な感覚と確かな技術で作られる
素材は厳選され、あく抜きなどをしながら味を引き出す高度な技術が要求される
炊く、蒸す、まぜる、練るなどの作業の一つ一つもおろそかにされることがない
出来上がりには、季節感や、お菓子が食べられる場のコンセプトが表現される
献上菓子や茶の湯で用いられる特別なお菓子
<貝合せ>
薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)と餡(あん)で作られる雛祭には欠かせない上菓子
<きつね面>
2月の初午大祭や節分のときにの茶の湯で用いられる
<葛饅頭>
くず粉を用いて作った透明の生地で、美しく染められた餡(あん)を包んだ茶の湯で用いられる
<金平糖>
表面に角状の突起による凹凸を持っており、皇室の引き出物として利用されていた
<桜餅>
薄い桜色に染めた餅に、塩漬けで香る桜の葉を巻いた上菓子
<清浄歓喜団>
金袋に似た形で、上部の8つの結びは、八葉の蓮華が表されている上菓子
<どら焼>
東寺の弘法大師ゆかりの上菓子
<はなびら餅>
ごぼうと白味噌餡と紅色の菱餅を、白餅か求肥で包んだ上菓子
<引千切>
餅と餡で作られる雛祭には欠かせない上菓子
<法螺貝餅>
味噌餡と牛蒡(ごぼう)がクレープのような皮に包まれた聖護院門跡の上菓子
<落雁>
茶の湯や供物に用いられる上菓子で、薄茶用の干菓子
<こなし>
白こし餡(手亡豆の餡)と薄力粉をまぜて蒸したものに砂糖水を加えて練りあげたもの
色をつけてさまざまな形に加工する
梅の蕾を模った「未開紅」、紅葉に仕立てた「竜田川」など、くず菓子の餡(あん)などに用いられる
<きんとん>
蒸した山芋などを裏ごしして砂糖と炊いたものを、裏ごし器でそぼろ状にしたもの
色々な色に染めて餡(あん)を包んで季節が表現される
<求肥(ぎゅうひ)>
もち米を水で練ってゆがき、火の上で砂糖を加えて練ったもの
夏の菓子「鮎」、「調布」などに使われる
<葛(くず)>
本くず粉に水を加えたものをこして湯せんをしながら溶かして固めたもの
透明感があり、夏に涼しさを感じさせる素材に用いられる
<薯蕷(じょうよ)>
山芋をすりおろして砂糖と上用粉を加えて蒸したもの
「織部まんじゅう」など薯蕷(上用)まんじゅうの皮に用いられる