 
 地図情報
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 桂春院(けいしゅんいん)は、JR嵯峨野線 花園駅の北にある臨済宗 大本山 妙心寺東海派の塔頭
 妙心寺境内の東北部にあり、長慶院の南隣、大雄院の北隣にある
 妙心寺では、坐禅修行を第一義とされ、表向き禁止されていた茶室が目立たぬように奥まったところにある
 <方丈(京都府指定文化財)>
 単層、入母屋造、棧瓦葺
 内部中央に仏間と室中の間があり、正面に本尊薬師如来が安置されている
 黄檗宗の僧 天間独立の筆による扁額「桂春院」が掲げられている
 内部の襖絵はすべて狩野山楽の弟子 狩野山雪による水墨画
 室中の間は、山水、枯木に鴉(からす)、芦に泊り船、仏字人物雪の図
 東の間は、芦原に洛雁、雪竹に茅屋の図
 西の間は、老松に滝根笹の図、金碧松三日月
 書院と茶室の間には、狩野山楽の筆による襖絵がある
 1631年(皇紀2291)寛永8年に建立
 <書院(京都府指定文化財)>
 1631年(皇紀2291)寛永8年
 石河貞政が城主を務めていた江州長浜城より茶室 既白庵とともに移設されたもの
 <桂春院庭園(国の名勝・国の史跡)>
 方丈の南・東、書院前庭、露地庭の4つの庭園からなる
 作庭者や年代は不明
 江戸時代初期
 小堀遠州の異母弟 小堀正春に師事した日蓮宗の僧 玉淵坊が、妙心寺の他の塔頭の庭園も作庭したといわれる
 1799年(皇紀2459)寛政11年の発刊「都林泉名所図会」にも記されている
 <清浄の庭>
 方丈北側の壺庭
 西側に井筒がおかれ、西南隅に紀州の巨岩・奇石を立てて枯滝の石組がされている
 白砂の渓流が、滝でひびいて音をたてて流れているように表現されている
 <思惟の庭(しいのにわ)>
 方丈の東庭
 方丈の下の窪地を利用して造られた苔庭
 茶室 既白庵の外露地にもなっており、飛石は「侘の庭」に続いている
 低地には、七尊石、茶の水井戸、蒼竜池が配されている
 左右の築山に十六羅漢石、中央の礎石を坐禅石にみたてた仙境が表現されている
 馬酔木(あしび)や楓などの樹木が植えられ奥山の風景が見られる
 <真如の庭>
 方丈の南庭
 縁先から南に低くなる斜面があり低地に造られている
 北側の崖をツツジの大刈込みで隠して、その下に椿や楓の樹木が植えられている
 一面の杉苔の中に、小さい庭石が七五三風に置かれて、十五夜満月が表現されている
 <侘の庭>
 方丈の北にある書院前庭
 方丈の東庭「思惟の庭」から、飛石づたいに既白庵に通じる露地庭
 苔に覆われた蹲踞が隠れるように置かれている
 露地は、梅軒門と猿戸によって内露地、外露地に分かれ、狭い空間を少しの無駄なく巧みに作られている
 露地の奥は一段低くなっていて七尊石、茶の水井戸、蒼滝池がある
 <庫裏(京都府指定文化財)>
 <表門(京都府指定文化財)>
 <茶室 既白庵(きはくあん)>
 書院の背後の東北隅に隠れたように建てられている
 妙心寺では、坐禅修行を第一義とされ、歌道・香道・能・茶道などの芸術をたしなむことは邪道であるとされ
書院と茶室の間は、二重襖によって仕切られ、露地庭の蹲踞も土蔵の壁に接して、
樹木などで遮られていて目立たないようになっており、修行を終えた老僧たちの間で静かに行われていた
 1631年(皇紀2291)寛永8年
 石河貞政が城主を務めていた江州 長浜城から書院ともに移築した茶室
 東部は切妻造として出庇をつけた柿葺(こけらぶき)
 内露地からみると、深い庇のうちの右上の刀掛けがあり、にじり口の上には連子窓がある
 桂南和尚の筆による既白の額がかかげられている
 茶室の内部は、茶道口が西側南寄りにあって、風炉先窓、二重の釣棚がある
 三畳に中柱を立て、台目切の炉がある深三畳台目切席
 床の右には、縁なしの襖二枚があって、襖をあけると書院へ出られる狭い板廊下になっている
 天井は、床前が長片天井で、点前畳上は網代の落天井、にじり口の上は竹の掛込天井となっている
 茶人 藤村庸軒(ふじむらようけん)が愛好したといわれる
 <くろがねもち>
 桂春院裏庭にある
 モチノキ科のクロガネモチ
 <墓地>
 石河貞政のお墓
 石川光政夫妻のお墓
 <無明慧性墨蹟((むみょうえしょうぼくせき)1幅(重要文化財)>
 中国 南宋時代のもの
 <薬師如来像>
 方丈の本尊「薬師如来像」
 <方丈襖絵>
 狩野山雪の筆
 紙本金地着色「三日月図」4面(京都市指定文化財)
 仏壇背後の壁に貼り付けられていたものを襖に改装したもの
 月は、金属板で模られ張り付けられている
 室中に、紙本金地着色「雪中山水図」12面
 西の間に、紙本墨画「松山水図」8面 
 東の間に、紙本墨画「芦に雁図」8面
 奥の間に、「山水図」7面
 <法雲閑極墨蹟>
 <古林清茂墨蹟>
 <大燈国師墨蹟>
 <寂室元光墨蹟>
 <高麗高木井戸茶碗>
 <安南絞手水指>
 <千利休茶杓>
 <千宗旦茶杓>
 <藤村庸軒茶杓>