椿(つばき)(Camellia)

分類:キク類ツツジ目ツバキ科ツバキ属

様態:常緑高木

学名:Camellia japonica

花期:12月下旬~3月

原産:日本

 椿(つばき)は、キク類ツツジ目ツバキ科の常緑高木

 花期は冬から春にかけてにまたがり、「寒椿」「冬椿」は冬の季語、「花椿」は春の季語

 茶の湯の花として好まれ、多くの園芸品種が作られた

【椿の歴史・経緯】

【椿の特徴】

 椿(つばき)は、日本原産で、古くから庭木として親しまれている

 他家受粉で結実するために変種が生じやすく、古くから品種改良が行われ多くの園芸品種がある
 野生種の樹高の高くなるヤブツバキ系、樹高のやや低いユキツバキ系、、侘助(わびすけ)系などがある

 常緑性の高木で、5~6mで、高いものは20mほどになる
 成長は遅く、寿命は長い

 花の大きさは、13cm以上の極大輪や、4cm以下の極小輪など、種類による

 花の咲き方は完全には平開せず、
 一重咲き・八重咲き・千重咲き・牡丹咲き・獅子咲き・ラッパ咲き・桔梗咲き・平開咲きなど多くの種類がある

 花の模様も、白斑・星斑・雲状斑/吹きかけ絞り・小絞り・縦絞り・紅白絞り/白覆輪・紅覆輪・底白など多種

 花弁が個々に散るのではなく、萼と雌しべだけを木に残して丸ごと落ちる
 「五色八重散椿」など花弁がばらばらに散る園芸品種もある

 雄しべの花糸が下半分くらいくっついている

 子房には毛がない(侘助系には子房に毛があるものもある)

 葉も観賞の対象にされる
 互生で、錦魚葉(金魚葉)・梵天葉・百合葉・孔雀葉・弁天葉などがある
 葉質は厚くて表面につやがあり、濃緑色
 葉柄には、毛が生えない(ユキツバキ系の葉柄には毛がある)

 樹皮は、なめらかで灰白色


【主な椿の名所】

 京都の社寺には銘椿が多い

 「散椿」「五色八重散椿」「日光椿」「月光椿」「侘助椿」「曙」「菱唐糸」などの品種が多い

 滝の千年ツバキ公園 千年椿(京都府指定天然記念物)・ツバキの森・加悦椿文化資料館

 延暦寺 椿堂の左手に聖徳太子ゆかりの椿の木がある
 金閣寺 後水尾天皇の御手植えといわれる胡蝶侘
 華光寺 五色椿 出水の七不思議
 月真院 織田有楽斎が植えた椿
 御香宮神社 小堀遠州ゆかりの「おそらく椿」
 地蔵院 椿寺 「五色八重散椿」
 成就院 「月の庭」の侘助椿
 総見院 豊臣秀吉遺愛の侘助椿の大樹(京都市指定天然記念物
 等持院 織田有楽斎ゆかりの有楽椿
 曇華院 日光椿・月光椿などがある
 平岡八幡宮 白玉椿
 宝鏡寺 珍しい熊谷椿・月光椿・村娘椿
 法然院 三銘椿(五色散椿・貴椿・花笠椿)の「椿の庭」
 妙蓮寺 徳川家康が愛でた妙蓮寺椿
 龍安寺 豊臣秀吉が賞賛した室町時代の侘助椿
 霊鑑寺 後水尾上皇御遺愛の「日光椿」

 梅宮大社 ・    大豊神社 ・    貴船神社    桂春院 ・    高桐院 ・    三千院 ・    寂光院
 酬恩庵 ・    城南宮 ・    退蔵院    椿地蔵    天得院    天龍寺 ・    平岡八幡宮
 平野神社 ・    平安神宮 ・    曼殊院 ・    霊源院    舞鶴自然文化園 ・    浄安寺(久御山町)

随心院

【市の木】

 京都市の木
 八幡市の木

【椿の用途】

 <材木>
 木質は、固く緻密、均質で、木目は余り目立たない
 摩耗に強くて摩り減らないことから、印材や将棋の駒、工芸品、細工品に用いられる

 大木はほとんど伐採されてしまい、建築用にはあまり使われない

 <椿油>
 種子(実)を絞った油
 高級食用油、整髪料など、かつては、灯りなどの燃料油としてもよく用いられた

 <木炭>
 品質が高く、かつては、大名の手焙りに使われた

 <木灰>
 日本酒の醸造には最高の木灰とされている
 アルミニウムを多く含み、かつては、染色用にも用いられた

 <薬用>
 葉のエキスが止血薬になる
 特に朝廷では毒消し(悪魔祓い)として祭事が行われたといわれる

【その他】

 <和名の由来>
 葉も観賞の対象にされてきており、「厚葉樹(あつばき)」「艶葉樹(つやばき)」が訛って「つばき」となったといわれる

 <茶花の女王>
 豊臣秀吉は、茶の湯にツバキを好んで用いたといわれる
 茶道でも大変珍重されており、冬場の炉の季節は茶席が椿一色となることから「茶花の女王」と称される

 <「百椿集」>
 1630年(皇紀2290)寛永7年の安楽庵策伝の著

 <「椿花図譜」>
 1634年(皇紀2294)寛永11年の烏丸光広の著
 619種のツバキが紹介されている

 <武士>
 花は、花弁が個々に散るのではなく丸ごと落ちることから、首が落ちる様子に似ているとされ、武士に嫌われたといわれる
 競馬などにおいても、落馬を連想させるとして、馬の名前には避けられるといわれる

 <化け物>
 年を経たツバキは化けるという伝承が日本各地にある


【京都検定 第1回3級】

36.花の名所について、次のことは正しいかどうか?
(エ)法金剛院は椿の名所である

【京都検定 第10回3級】

【京都検定 第1回2級】

【京都検定 第19回2級】

【京都検定 第3回1級】

【京都検定 第19回1級】

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