妙心寺(みょうしんじ)(MyoushinnJi)

所在地:京都市右京区花園妙心寺町   卍地図情報卍

臨済宗妙心寺派の大本山の寺院

山号:正法山(しょうぼうざん)

本尊:釈迦如来

開基:花園上皇

開山:無相大師 関山慧玄(かんざんえげん)

中興の祖:雪江宗深(せっこうそうしん)

俗称:妙心寺の算盤面(そろばんづら)  右矢印次の寺面へ右矢印

 妙心寺(みょうしんじ)は、花園近くにある臨済宗妙心寺派の大本山の寺院

 日本にある約6000ヶ寺の臨済宗寺院のうち、約3400ヶ寺が妙心寺派の寺院
 徹底した組織運営を行い、臨済宗きっての巨大教団を形成したことから「妙心寺の算盤面(そろばんづら)」と称される

 近世に再建された三門、仏殿、法堂(はっとう)などの中心伽藍の周囲には、46の塔頭が東、北、西を取り囲むように
建ち並び、一大寺院群が形成されている

 修行を重んじる厳しい禅風を特色とし、大徳寺とともに寺格 林下(りんか)の代表寺院

 秋は紅葉の名所

【妙心寺の歴史・経緯】


【妙心寺の伽藍】

 妙心寺の境内全域が、国の史跡に指定されている

 庭園は、国の史跡国の名勝に指定されている

 <三門(さんもん)(重要文化財)>
 境内で唯一の朱塗りの建物
 正面の柱間の5間のうち中央の3間が通路になっている「五間三戸」の二重門(2階建の門)
 階下の左右に山廊を付した唐様建築
 上層には、須弥壇があり、円通大士観音と脇侍に善財童子・月蓋長者、十六羅漢像などが安置される
 天井の彩色絵は、狩野権左衛門の筆
 須弥壇上には来迎図、須弥壇前には、飛龍図、左右両側に天女、一番外側に楽器などが色鮮やかに描かれている
 楽器は勝手に鳴り出さないように、くみひもで結ばれた絵になっている
 上層正面は桟唐戸になっている
 6月18日に観音懺法会、7月15日に山門施餓鬼会が行われる
 1599年(皇紀2259)慶長4年の建立
 東福寺三門、大徳寺三門に次いで古いもの

 <仏殿(重要文化財)>
 1827年(皇紀2487)文政10年に再建
 創建当時は、法堂も兼ねていた
 入母屋造・本瓦葺で、一重裳階(もこし)付きの建物
 廊下で北側の法堂と繋がっている
 須弥壇には本尊の釈迦如来像が祀られている
 脇侍(わきじ)は、迦葉と阿南

 <法堂(はっとう)(重要文化財)
 1656年(皇紀2316)明暦2年
 開山 関山慧玄国師300年遠諱を記念して建立される
 それまで仏殿と法堂とが兼用されていたが分けられる
 入母屋造で、一重裳階(もこし)付き、山内で最も大きな建物
 法堂は、住持が法を説く場であり、普段は何も祀られていないが、
 禅宗様式の須弥壇があり、法要のときには、その仏祖が祀られる
 内部の鏡天井には「雲龍図(八方にらみの龍)」が描かれている
 狩野探幽が55歳のとき、8年の歳月をかけて描かれたといわれる
 直径12m、龍の目は円相の中心に描かれていおり、立つ位置・見る角度によって、龍の表情や動きが変化するように見える

 <浴室(重要文化財)
 「明智風呂」と称される
 一重切妻造、本瓦葺
 浴室内中央に蒸し風呂形式の浴槽と洗場があり、簀子板敷(すのこいたじき)の隙間から蒸気を出す
 正面に出入口と調節窓をもつ
 浴槽の南側に休憩室が設けられている
 入り口正面には位牌棚があり、その中央に、狩野宗信の筆の跋陀婆羅尊者(ばっだばらそんじゃ)が掲げられている
 1587年(皇紀2247)天正15年
 明智光秀の叔父で、塔頭の太嶺院(廃寺)の開基 密宗和尚(みつそうおしょう)が、明智光秀の菩提を弔うために創建される
 1656年(皇紀2316)明暦2年に改築される

 <勅使門(重要文化財)>
 1610年(皇紀2270)慶長15年の建立

 <大方丈(おおほうじょう)(重要文化財)>
 承応3年(1654年)の建立
 入母屋造・単層檜皮葺
 本尊の阿弥陀三尊は、もと石清水八幡宮の奥の院に祀ってあったもの
 障壁画の南側3室は狩野探幽、北側3室は狩野洞雲の作

 <庫裏(くり)(重要文化財)>
 1528年(皇紀2188)享禄元年の建立
 1653年(皇紀2313)承応2年9月の改築
 桁行き15.4m、梁行き18mの簡素で雄大な建築物
 正面は切妻造りの妻面
 平面は土間、大庫裏、小庫裏に分かれている

 <鐘楼>
 法堂の北西には、黄鐘調鐘(おうじきちょうしょう)(国宝)が吊られていた
 仏殿の南西にも鐘楼がある

 <開山堂(かいさんどう)(重要文化財)>
 「微笑庵(びしょうあん)」と称され、山内で最も神聖なところ
 正面奥の昭堂に、開山の無相大師 関山慧玄(かんざんえげん)の木造像が安置されている
 1537年(皇紀2197)天文6年
 東福寺より移築されたもの
 室町時代初期の建造で、山内の現存最古の建造物

 平唐門
 開山堂前に南面して建つ
 1409年(皇紀2069)応永16年
 後小松天皇より御所の門を賜ったもの

 手前の灯篭は、「妙心寺型」と称される珍しいもの



【妙心寺の塔頭

 妙心寺の塔頭は48ヶ院ある(山内塔頭38ヶ院、境外塔頭10ヶ院)

 山内塔頭

 <雲祥院>

 <海福院
 戦国武将 福島正則が、福島家の菩提寺として創建する
 賤ケ岳七本槍の一番槍がある

 <玉鳳院(重要文化財)>
 関山慧玄像を祀る開山堂(別名「微笑庵」)(重要文化財)は、室町時代の建物
 庭園は、国の史跡国の名勝に指定されている

 <金牛院>
 <玉龍院>

 <桂春院
 庭園は、国の史跡国の名勝に指定されており、杉苔と躑躅(ツツジ)の植え込みが見どころ

 <光国院>
 <雑華院>
 <慈雲院>
 <寿聖院>
 <如是院>

 <春光院
 南蛮寺の鐘(重要文化財)と狩野永岳の方丈襖絵が所有される

 <衡梅院>

 <聖沢院>
 摩利支天画像(重要文化財)を所蔵する

 <大雄院
 <大心院>

 <退蔵院
 日本の初期水墨画の代表作である如拙筆の国宝「瓢鮎図」(ひょうねんず)を所有する
 枯山水庭園の「元信の庭」は、国の史跡国の名勝に指定されている
 余香苑という昭和に造られた庭もあり、装飾として獅子おどし、水琴窟が設けられている

 <大通院>

 <大法院
 信濃松代藩主 真田信之(さなだのぶゆき)の孫 長姫(千種有能(ちぐさありよし)の妻)が、
祖父の遺命により菩提所として創建する

 <大龍院>
 <智勝院>
 <長慶院>

 <長興院
 織田信長の家臣 滝川一益、津田秀政ゆかりの寺院

 <通玄院>

 <天球院
 1631年(皇紀2291)寛永8年、池田輝政の妹天球院が創建
 狩野山楽狩野山雪らが描いた方丈障壁画152面(重要文化財)

 <天祥院>
 <天授院>

 <東海庵
 東海一連の庭
 書院庭園が国の史跡国の名勝に指定されている
 方丈前庭は、築地塀で囲まれた一画に白砂を敷き詰め、帚目を付けただけの簡素な庭
 書院南庭は、白砂に7個の石を並べた抽象的な庭

 <東林院
 細川氏綱の創建
 沙羅双樹の寺

 <徳雲院>
 <蟠桃院>
 <福寿院>
 <養源院>
 <養徳院

 <龍泉庵
 妙心寺四派の一つ、龍泉派の本庵
 長谷川等伯の「枯木猿猴図」がある

 <隣華院
 方丈襖絵「水墨山水図」長谷川等伯の筆(重要文化財)
 狩野永岳筆の襖絵を所有

 <麟祥院
 徳川三代将軍 徳川家光が、乳母の春日局の追悼のため創立した

 <霊雲院
 枯山水庭園は、国の史跡国の名勝に指定されている
 国際禅交流友好協会の事務局が霊雲院に置かれている

 境外塔頭
 <慧照院(右京区花園坤南町)>
 <龍華院(右京区花園坤南町)>
 <春浦院(右京区花園坤南町)>
 <金台寺(北区等持院西町)>
 <仙寿院(右京区竜安寺衣笠下町)>
 <多福院(右京区竜安寺衣笠下町)>
 <龍安寺(右京区竜安寺御陵ノ下町)>
 <霊光院(右京区竜安寺御陵ノ下町)>
 <大珠院(右京区竜安寺御陵ノ下町)>
 <西源院(右京区竜安寺御陵ノ下町)>



【妙心寺の寺宝】

 <黄鐘調鐘(おうじきちょうしょう)(国宝)
 「妙心寺鐘」と称される
 元 浄金剛院(廃寺)にあったもの
 音色が雅楽の黄鐘調(おうじきちょう)に合うといわれる
 徒然草に「およそ鐘のこえは黄鐘調なるべし‥‥浄金剛院の鐘の声のまた黄鐘調なり」と詠われている
 記念銘文のあるものとしては日本最古のもの
 「戊戌(つちのえいぬ)(698年(皇紀1358)文武天皇2年)4月13日に前糟屋評造舂米連広国」の鋳造と記されている
 九州地方で制作されたものといわれる
 法堂の北西の鐘楼にかかっていたもので、現在は法堂に移動されている

 <大燈国師墨蹟(国宝)>
 大燈国師 宗峰妙超が弟子の関山慧玄に「関山」の号を書き与えたもの

 <大燈国師墨蹟(国宝)>
 大燈国師 宗峰妙超が関山慧玄に与えた「印可状」(自分の法を継いだというお墨付き)

 三幅対「達麿・豊干(ぶかん)・布袋図」(重要文化財)は、達麿を中幅として、左幅に布袋尊、右幅に豊干が置かれる
 布袋尊と豊干は、南宗末期の画家である李確が描いた唯一の現存作品

 <文王呂尚(ぶんのうりょしょう)><商山四皓図(しょうざんしこうず)(重要文化財)>
 狩野派の祖となった狩野山楽の作品

 <大方丈障壁画(需要文化財)>
 狩野探幽らの作



【妙心寺の祭事】

 <仏殿般若> 1月16日
 <涅槃会> 2月15日
 <花まつり(釈尊降誕会)> 4月8日
 <方丈懺法> 5月18日
 <山門観音懺法会> 6月18日
 <巡塔諷経> 7月14日
 <山門施餓鬼会> 7月15日
 <経蔵虫払い> 7月24日
 <祠堂斎> 8月3日
 <達磨忌> 10月5日

 <観月茶会>
 中秋の日、退蔵院
 観月の茶会、食事と庭園拝観、邦楽の演奏が行われる

 <法皇忌(半斎)> 11月11日
 <開山忌献粥> 12月12日


【その他】

 <きぬかけの路
 衣笠山の麓に点在する5つの寺院(金閣寺等持院龍安寺、妙心寺、仁和寺)と京都府立堂本印象美術館
立命館大学など、文化・教育施設を結ぶ歴史街道


 <妙心寺派の三龍寺>
 龍安寺龍潭寺・龍興寺(南丹市八木町)

【妙心寺へのアクセス】

 JR山陰本線(嵯峨野線) 花園 徒歩約5分
 市バス・京都バス 妙心寺前 徒歩約3分
 嵐電 妙心寺 徒歩約3分

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【京都検定 第1回3級】

33.妙心寺について、次のことは正しいかどうか?
(ア)妙心寺は、花園上皇が、自らの離宮を禅寺としたのが由来である
(イ)詩文芸術に優れた禅僧を多く輩出したことから、「妙心寺の学問面」といわれた
(ウ)浴室は、明智光秀を追善するために建立されたといわれ、「明智風呂」と称される
(エ)妙心寺の塔頭の東林院は、沙羅双樹のお寺として知られている

 京都検定3級の道  左矢印前の問題に戻る左矢印  ・ 右矢印次の問題に進む右矢印

【京都検定 第4回3級】

【京都検定 第5回3級】

【京都検定 第6回3級】

【京都検定 第10回3級】

【京都検定 第11回3級】

【京都検定 第12回3級】

【京都検定 第15回3級】

【京都検定 第16回3級】

【京都検定 第17回3級】

【京都検定 第20回3級】

【京都検定 第2回2級】

【京都検定 第3回2級】

【京都検定 第6回2級】

【京都検定 第7回2級】

【京都検定 第8回2級】

【京都検定 第9回2級】

【京都検定 第10回2級】

【京都検定 第11回2級】

【京都検定 第12回2級】

【京都検定 第16回2級】

【京都検定 第21回2級】

【京都検定 第3回1級】

【京都検定 第4回1級】

【京都検定 第6回1級】

【京都検定 第8回1級】

【京都検定 第9回1級】

【京都検定 第13回1級】

【京都検定 第16回1級】


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