能面(のうめん)(Noh men)

能面(のうめん)は、能楽で使われるお面

「面(おもて)」と称され、老人・女性の役、鬼神・天狗・亡霊など特殊な性格をもった役などに用いられる

約80種類ある

檜(ヒノキ)の素材を、鑿(のみ)や各種の彫刻刀で打ち上げる

漆塗り、目・歯の金工、髪・髭の植毛など各種の技法を必要とする

京都市の伝統産業の一つ

 (写真は京都伝統産業ミュージアムにて撮影)

【能面の歴史・経緯】


【能面】

 <能面(のうめん)>
 種類は300ほどあるが、能舞台で使われる能面は約80種類ある

 老人・女性の役、鬼神・天狗・亡霊など特殊な性格をもった役などに用いられる
 現在に生きている男性の役には能面は使われず、直面(ひためん)(素顔)で演じられる

 能面には、役ごとの専用のお面はなく、演目によって用いることができるお面の種類が決められている
 どの面を使うかの選択は、シテに任されている


 <種類>
 人の人相面は、老体面(尉面)・女体面(女面)・男体面(男面)
 それぞれ、穏やかな表情な常相面と、非日常的なすさまじい表情の奇相面がある

 鬼や天狗などの異相面にも、尉面・女面・男面で分けられる

 動物などの畜類面

 天神さん・明王・如来などの仏体面


 (写真は京都伝統産業ミュージアムにて撮影)

【能面の製作工程】

 <面打ち(製作)>
 能面を制作することを「打つ」と称され、各工程で各種の技法を必要とする

 現在では、新たな創作はあまり行われず、室町時代の「本面」を忠実に模作すること主流

 本面を傷つけないよう慎重に型紙が作られる


 <素材>
 檜(ヒノキ)
 木目が比較的そろっていて、彫りやすく、寿命も長い

 <木取>
 よく乾いた檜(ヒノキ)を、鑿(のみ)と木槌で割る
 木の樹皮側が面裏、中心側が表側になるような「板目」で木取りされる

 古い面では、年輪に垂直に木取りをする「柾目」もあった


 <荒彫>
 鋸(のこ)で、面の輪郭以外の部分を切り取り、表面の輪郭を削りながら整える

 <中彫>
 表を、徐々に細かい顔形を彫り進める

 面裏を大まかに削り、型紙を当てながら、凹凸を削り出す


 <木地仕上>
 彫刻刀で目・鼻・口の形を整え、目鼻口の穴を開け、紐穴を開ける

 面裏も彫刻を整える


 <面裏の漆塗>
 面裏に漆塗りされ、耐水性・耐久性を持たせる

 温度・湿度を細かく調節しながら漆を乾かす


 <彩色(さいしき)>
 表には、ヤニ止めのため、木地上に和紙を貼る
 その上から、牡蠣の貝殻から作られている胡粉を膠で溶いたもので下地塗りをする
 乾いてから、サンドペーパで丹念に磨かれる

 胡粉下地の上に、顔料を入れて色を調整した胡粉を塗り、肌合いを出す
 その上に、上地を塗り重ねる
 落ち着いた色調を出すため、すすを用いた液で古色が施される
 乾いてから、サンドペーパで丹念に磨かれる

 口には朱、目には墨を入れ、眉、髪、毛描などの着色を行う
 唇は、朱墨や紅で表情が作られる


 <金具入>
 目や歯に、鍛金や鍍金によって成形した金具を入れる

 <植毛>
 翁面・尉面では、毛を木地に植え付けて髪・眉・髭などが作られる
 毛は、馬のたてがみや尾の白毛が用いられる

 尉面では、髪が結われる

【能面ゆかりの地】

 <鍬山神社
 合祀されている誉田八幡が、能面を持って天岡山(面降山)に降臨されたという故事がある
 猿楽の源流の一つである丹波猿楽(矢田猿楽)が行われる


 <祇園祭山鉾 鈴鹿山
 御神体(人形)は、巡行中には、1683年(皇紀2343)天和3年と1718年(皇紀2378)享保3年の作の能面がつけられる


 <最勝院
 住職が彫った能面があり「能面の寺」とも称される

【その他】

 <面(おもて)をかける>
 能楽師が、お面を着用すること
 お面は、極めて丁重に取り扱われ、お面をかける作法がある


 <能面での感情表現>
 顔をやや上に向けることを「テラス」と称し、笑っているようにも見える

 顔をやや伏せることを「クモラス」と称し、泣いているようにも見える


 <井伊直弼
 能面作りにも没頭したといわれる

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