弥勒菩薩(みろくぼさつ)(Miroku Bosatsu)

弥勒菩薩(みろくぼさつ)は、仏像における菩薩の一つ

サンスクリット名:マイトレーヤ

別名:慈氏菩薩

 弥勒菩薩(みろくぼさつ)は、仏像における菩薩の一つ

 弥勒菩薩は、未来に釈迦の後継者の如来となることを約束されている最高位の菩薩

 菩薩とは、まだ悟りの境地にはない修行中の仏
 現在は、仏教の世界の真ん中にある須弥山(しゅみせん)の上空にある兜率天(とそつてん)という天界で修行をしている最中
 56億7000万年後に菩薩から如来になれるとされる

 釈迦如来の後継者を「仏嗣」と称し、「仏嗣弥勒」「未来仏」「慈氏菩薩」「当来仏」などと称される

 弥勒菩薩のサンスクリット名は「マイトレーヤ」といわれ「慈しみ」の意味をもつ
 釈迦の救済から漏れてしまった人々を、将来、救ってくださる仏さまとして信仰される

【弥勒菩薩】

 古墳時代
 584年(皇紀1244)敏達天皇13年
 大陸から朝鮮半島を経て、弥勒菩薩像が百済から献上されて日本へ伝来したといわれる

 平安時代
 仏法の力が衰えて世界が混乱するという末法思想が流行したときに、弥勒信仰も大人気となる


 <経典>
 弥勒三部経に記されている
  「仏説弥勒大成仏経(成仏経)」
  「仏説弥勒下生成仏経(下生経)」
  「仏説観弥勒菩薩上生兜率天経(上生経)」
 六部経としては、上記三経と
  「弥勒大成仏経(鳩摩羅什訳)」
  「弥勒下生成仏経(義浄訳)」
  「弥勒来時経」

 「弥勒下生経」の下生とは、覚者となって現世に降りて来る事を言い、6万年間教えを説くとされる
 上生とは天界に生を受けることをいう

 弥勒菩薩が修行をしている兜率天に往生しようと願う「上生信仰」も生まれた

 「阿含経」にも登場している

 「弥勒」の語源が「慈しみ」を語源としているため「慈氏菩薩(じしぼさつ)」「慈尊」とも記される

 浄土宗系の「無量寿経」には、
 阿弥陀如来の本願を後世の苦悩の衆生に説き聞かせるようにと釈迦如来から弥勒菩薩に付嘱されている


 <姿(像容)>
 仏像としては菩薩像如来像の両方が存在し、時代によって形式が異なっている

 飛鳥時代
 椅子に腰を掛けて座り、左足を下ろして足を組み、右手をかるく頬にあてて瞑想する半跏思惟像のものが多い
 どうしたら釈迦の救いから漏れた人々を救えるのだろうかと弥勒が思索にふけっている様子を表わしたもの

 奈良時代以降
 半跏思惟像は製作されず、如来像が作られるようになる

 平安時代以降
 華厳宗の学僧高弁 明慧などにより、再度、弥勒菩薩像が造像される
 仏舎利(お釈迦様の遺骨が入った壺のある宝塔や五輪塔など)を持っている

 蓮華や水瓶を持つ立像や、
 禅定印(ぜんじょういん)を結んだ手の上に宝塔をのせる結跏趺坐像(けっかふざぞう)など
 いろいろなタイプの弥勒菩薩の像が造られている

 観音菩薩とは、頭に小さな化仏がいないことで区別できる
 文殊菩薩普賢菩薩とは、獅子や象に乗っていないことで区別できる


 <弥勒如来>
 未来に釈迦の後継者の如来となったときの未来仏


 <真言>
 オン マイタレイヤ ソワカ

【弥勒菩薩ゆかりの地】

 <広隆寺
 木造 弥勒菩薩半跏像(国宝登録第1号)
 広隆寺に2体ある弥勒菩薩半跏像のうちの通称「宝冠弥勒」の像
 右手を頬に軽く当て、思索のポーズを示す弥勒菩薩像

 木造 弥勒菩薩半跏像(国宝)
 広隆寺に2体ある弥勒菩薩半跏像のうちの通称「泣き弥勒」の像

 塑造 弥勒菩薩坐像(重要文化財)


 <醍醐寺
 絹本著色 弥勒菩薩像(重要文化財)

 <醍醐寺三宝院
 <木造 弥勒菩薩坐像(重要文化財)>
 快慶の作


 <延暦寺
 大講堂の本尊に胎蔵界の大日如来の右脇侍に十一面観音菩薩、左脇侍に弥勒菩薩が祀られている

 <笠置寺
 本尊の弥勒磨崖仏

 <鞍馬寺
 弥勒堂に弥勒菩薩が祀られている

 <萬福寺
 天王殿に弥勒菩薩の化身とされる布袋尊が祀られている

 <善導寺
 釈迦三尊石仏として、両脇上に弥勒菩薩と五髻の文殊菩薩がいる珍しいもの

 <禅華院
 石仏 弥勒菩薩坐像が安置されている

【その他】

 <菩薩五十二位>
 菩薩が仏の悟りを得ようと努力する段階が52あるとされる
 最高位の悟りは「妙覚(みょうかく)」「無上覚(むじょうかく)」と称される

 弥勒菩薩は、51段目の「等覚(とうかく)」の悟りを得ている最高位の菩薩
 あと一段上って仏の悟りを開くまでには、56億7000万年かかると、多くの経典に記されている

 手足が腐るほど修行した達磨大師は、30段ほど
 中国の天台(てんだい)は、9段目までといわれる

 最高ランクに位置する弥勒菩薩でさえ、覚者と成るまでに輪廻転生を繰り返し無限に近い歳月を要する
 覚者と成るための条件である戒律を無視したり、出家を守らず在家僧侶が多いのは、成仏への無限な難易度のためといわれる

 <龍華三会の説法>
 弥勒菩薩は、釈迦と同じ龍華樹の下において覚りを開き、282億人(初会96億、二会94億、三会92億)の衆生に
三度説法(弥勒の三会)をして人々を救うと、釈迦如来から預言されているといわれる説法

 <親鸞聖人
 阿弥陀如来の本願に救われた人は、この世では弥勒菩薩と同格になり、死ねば弥勒菩薩より先に仏の悟りを開けると説き、
弥勒菩薩を引き合いに出されて、阿弥陀如来の本願の偉大さを教えた

 <下生信仰>
 「弥勒下生経」の下生とは、覚者となって現世に降りて来る事を言い、6万年間教えを説くとされる
 弥勒如来の下生が、56億7千万年の遠い未来ではなく、近い将来であるから、それに備えなければならないという信仰
 終末論、救世主待望論により、弥勒如来の下生に合わせて現世を変革しなければならないとされる
 戦国時代に流行した信仰

 <上生信仰>
 上生とは天界に生を受けることをいう
 弥勒菩薩が修行をしている兜率天に往生しようと願う、浄土信仰に近い信仰

 <布袋尊
 七福神の一人
 中国では、弥勒菩薩の化身とされ、肥満形で造像される

 <50円切手の弥勒菩薩像>
 中宮寺の木造 菩薩半跏像が図案化されている

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