提燈(ちょうちん)(提灯)

提燈(ちょうちん)は、細い割竹で円筒のような枠を作り、枠に和紙を貼り、底に蝋燭を立てて光源とする

上下に折りたたむことができる

インテリアや土産物などとしても販売されている

京都では、上・下に取り付ける側(がわ)・提燈本体・仕上げの、それぞれの工程を分業によって製作されてきている

京都市の伝統産業の一つ

 (写真は京都伝統産業ミュージアムにて撮影)

【提燈の歴史・経緯】




【提燈】

 提燈の構造には大きく分けて2種類ある
 竹ひごは、両者とも、丸骨や平骨が使用される


 <地張り提燈>
 竹ひごを一本ずつ輪にして平行に組む
 京都の提燈
 社寺仏閣や花街、料亭など、屋内外でも用いられる
 職人が手作業で作り、丈夫で長持ちする

 <巻骨式提燈>
 竹ひごを螺旋状に巻く
 催事用や装飾用に多い
 岐阜県の「岐阜提燈」に多く見られる


【提燈の種類】

 <大提燈>
 高張型提燈
 俵型の提燈で、長型よりも少し長い形
 大型提燈は太い骨、丈夫な和紙が使用される

 長型提燈
 高張型よりも少し短い形

 丸型提燈
 神社やお寺への奉納提燈として使われることが多い
 看板提燈にも使用される

 駒型提燈
 神社やお寺への奉納提燈として使われることが多い

 卵型提燈・つぼ型・御所型
 卵を逆さに向けたような、胴部分が膨らみ、裾すぼまりの形

 切長型提燈
 提燈部分の肩の部分が直角で、円柱形の形
 神社やお寺への奉納提燈として使われることが多い

 小田原型提燈
 円筒形で、和紙の直径部分よりもやや大きめの木枠がつけられる
 豪華な飾り金具が施されていたり、上質な木枠が使われていることが多い
 神社やお寺への奉納提燈として使われることが多い

 カンス型提燈
 丸型提燈を楕円型に変形した提燈
 ディスプレイや、神社やお寺への奉納提燈として使われることが多い

 和風照明
 球体のランプシェード型
 室内のディスプレイや、和の明かりの雰囲気作りなどに使われる


 <看板装飾提燈>
 大提燈を同様な種類がある

 <神事用提燈>
 大提燈を同様な種類がある

 <仏事用提燈>
 大提燈を同様な種類がある


 <手持ち提燈>
 弓張提燈
   8寸丸弓張・人力型・御用型・江戸張など

 ぶら下げ提燈
 馬乗提燈
 ふところ提燈


 <お盆・葬儀提燈>
 戒名入提燈
   卵型・瓜型・仏前型・桶型など

 門灯・お迎え提燈
   卵型・高張型・絹丸門釣・たまち型・住吉型など

 お供え飾り提燈
   大内型・御殿丸型・壺型・博多長型・住吉型など

 地蔵盆提燈


 <オリジナル提燈>


【提燈の製造工程】

 <竹割り>
 皮付きの竹を、それぞれの提燈に合わせて細く切っていく
 竹の節も丁寧に削ぐ
 竹に細かく切れ目を入れ提燈の骨となる

 <骨切り>
 定規に竹の骨をあてて、提燈用の長さに切る
 1mm違うだけでも全く合わなくなるといわれる

 <骨巻き>
 切った竹の骨を、輪っかにし、和紙で固定する

 <骨ため>
 竹の骨を真円にする

 <骨かけ>
 真円にした竹の骨を提燈の木型にはめ込む

 <糸釣り>
 竹の骨に糸を一本一本かぐらせ、骨と骨を繋いでいく
 提燈の強度が左右されるといわれる

 下から見上げる提燈は、下の方を尻すぼみに作られる
 上と下で同じ膨らみにすると、下が膨れて見えてしまうため


 <紙張り>
 できた骨組に、和紙を糊で貼り付ける

 <字入れ>
 <塗り>

 <仕上げ>
 提燈の上下に上輪・下輪をはめ込む


【提燈ゆかりの祭事】

 <祇園祭
 各山鉾の前後は駒形提灯(連結提灯)で飾られる

 7月10日お迎提燈(おむかえちょうちん)
 神輿洗の神輿を迎えるために、各氏子区内に提燈が立てられ、祇園囃子の音色に合わせて提燈行列が町中を歩く

 7月24日 三条通千本で三条台若中により
 神輿をお迎えする「お迎え提燈行列」、三条会商店街では「丹波八坂太鼓」「よかろう太鼓」
「八坂神社祇園太鼓」のお迎え太鼓の演奏がある


 <亀岡祭
 宵々山(10月23日)、宵宮(10月24日)には、軒下に提燈が灯る山鉾町に町衆による手作りあんどんが設置される


 <伏見稲荷大社 本宮祭(もとみやさい)>
 7月土用入後初の日祝日 稲荷大神のご分霊を祀る全国の崇敬者が総本宮に参拝する大祭
 宵宮には、境内の全域に散在の石灯篭や、数千におよぶ献納提燈に灯を点ずる万灯神事が行われる

 <護王神社 亥子祭
 11月1日 平安時代に、旧暦10月の亥の月亥の日に行われていた宮中の御玄猪(おげんちょ)の儀式を再現した神事
 亥の子餅は、神前に献ぜられた後、提燈行列を伴い蛤御門を通って御所へ献納される

 <平野神社 御鎮座記念祭・奉灯祭>
 9月14日 祭神が奈良から京都へ移されたのを記念して行われる祭事
 800個の提燈が揺らめく中、拝殿で日本舞踊や仕舞、雅楽などの奉納が行われる

 <保津八幡宮 保津の火祭>
 10月21日 五穀豊穣を祈願して行われる
 保津八幡宮と請田神社を、68基の高張提燈を持った行列が往復する

 <晴明神社 晴明祭
 9月秋分 前夜午後7時より、迎え提燈のお練りや、御湯立神楽が奉納される

 <北白川天神宮 還幸祭>
 10月の体育の日の前日の日曜日 御旅所に滞在していた御神霊が氏子地域を神輿に乗って渡御する
 夕暮れに、39個の提燈を灯されたお神輿が、篝火に照らされて130段の石段を登りきり本殿へと向かう

 <東大谷 東大谷万灯会
 8月14日〜16日 夏の東大谷墓地に約1万個の提燈が灯され、お墓参りが行われる
 俳句大提燈が、晩夏(7月)・初秋(8月)の季題により全国から投句された俳句を提燈に書き込み参道に灯される

 <清凉寺 嵯峨お松明式
 3月15日  本堂前で、高張提燈13基が立てられ、その高低で米や株の相場が決まったといわれる


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