不動明王(ふどうみょうおう)
(Fudou Myouou) 京都通メンバ
明王仏像の一つ

サンスクリット:アチャラナータ

出典:不空羂索神変真言経、大日経、底哩経

別名:大日大聖不動明王(だいにちだいしょうふどうみょうおう)、無動明王(無動尊)

御利益:行者守護、除災招福、戦勝、悪魔退散、家内安全、厄除災難除去、開運吉祥、商売繁盛、交通安全

酉年生まれ十二支守の本尊

 サンスクリットの「アチャラナータ」は、古代インドではシヴァ神の異名
 「アチャラ」は「動かない」、「ナータ」は「守護者」を意味して、「不動の守護者」の意味となる

 弘法大師 空海が中国より密教を伝えた際に、不動明王の図像も伝えられたといわれる

【不動明王の仏像の中での位置付け】

 <教令輪身(きょうりょうりんじん)>
 密教では、「教え」を説明する方法として、「自性輪身」「正法輪身」「教令輪身」の3つの姿で現れるとされ、
 不動明王は、大日如来の教令輪身とした分身である明王の一つ

 教令輪身では、素直に仏法に従わない者を無理矢理にでも導き救済する役割を持ち
すべての障害を打ち砕き、悪魔を降伏するために恐ろしい姿をされている

 自性輪身(じしょうりんじん)は、宇宙の真理、悟りの境地そのものである如来の姿
 正法輪身(しょうぼうりんじん)は、正攻法で説法し慈悲により救いとる菩薩の姿とされる

 明王の中では最低の地位
 明王の最高位の愛染明王と一対に祀れば、すべての苦しみを救いとれるとされ一対で祀られることも多い

【不動明王の像容】

 不動明王は、素直に仏法に従わない者を無理矢理にでもき救済するために、
 目を怒らせた大変恐ろしい姿をしている

 不動明王は、肥満した童子形で、1面2臂で憤怒の形相が基本
 軽装で、法衣は片袖を破って結んで動きやすくしている
 右手には、降魔(ごうま)の三鈷剣(魔を退散させると同時に人々の煩悩を断ち切る)
 左手には、羂索(けんじゃく)(悪を縛り上げ、また煩悩から抜け出せない人々を救い上げるための投縄)
 背には、迦楼羅焔(かるらえん)(三毒を喰らい尽くす伝説の火の鳥の形をした炎)を背負う
 天地眼(右眼を見開き左眼をすがめる)(または、右眼で天、左眼で地を睨む)
 牙上下出(右の牙を上方、左の牙を下方に向けて出す)
 粗岩(磐石(ばんじゃく))の上に座して、
 「一切の人々を救うまではここを動かじ」と決意する姿

 <不動十九観>
 天台僧 安然が、「不動立印儀軌修行次第」により不動明王を想い従うために唱えたもの
 (1)大日如来の化身
 (2)真言中に、ア・ロ・カン・マンの4字がある
 (3)常に火生三昧(かしょうざんまい)に住んでいる
 (4)肥満した童子の姿で、卑しい
 (5)頭頂に七沙髻があり、蓮華をのせている
 (6)左肩に一弁髪を垂らす
 (7)額に水波(すいは)のようなしわがある
 (8)左の目を閉じ右の目を開いている
 (9)下の歯で右上の唇を噛み、左下の唇の外へ出している
 (10)口を硬く閉じている
 (11)右手に三鈷剣を持っている
 (12)左手に羂索を持っている
 (13)行者の残食を食べる
 (14)大磐石の上に安座している
 (15)色が醜く青黒
 (16)奮迅して憤怒している
 (17)光背に迦楼羅炎(かるらえん)がある
 (18)倶力迦羅竜が剣にまとわりついている
 (19)両脇に2童子が侍している

【五大明王】

 五大明王は、不動明王を中心として、左右に2体づつの明王を配した一群

 中央に、不動明王(大日如来
 東方に、降三世明王(ごうさんぜみょうおう)(阿しゅく如来)
 西方に、大威徳明王(だいいとくみょうおう)(阿弥陀如来
 南方に、軍茶利明王(ぐんだりみょうおう)(宝生如来)
 北方に、金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)(不空成就如来)

【不動明王の眷属】

 眷属(けんぞく)とは、仏や菩薩に従うもの

 <不動八大童子>
 不動明王像の眷属には、三十六童子がある
 そのうち、八大童子と称される眷属を従えた形で造像される場合がある

 矜羯羅童子(こんがらどうじ)
 制多迦童子(せいたかどうじ)
 慧光童子(えこうどうじ)
 慧喜童子(えきどうじ)
 阿耨達童子(あのくたどうじ)
 指徳童子(しとくどうじ)
 烏倶婆伽童子(うぐばがどうじ)
 清浄比丘童子(しょうじょうびくどうじ)

 <不動三尊像>
 八大童子のうち、不動明王の右に矜羯羅童子、左に制多迦童子の2童子を両脇に従えた三尊
 絵画や彫像に表わされることが多い

 矜羯羅童子は、童顔で、合掌して一心に不動明王を見上げる姿
 制多迦童子は、金剛杵(こんごうしょ)と金剛棒を持ち、いたずら小僧のような姿

【不動明王の歴史・経緯】

【日本の三不動】

 <青不動
 青蓮院将軍塚 青龍殿
 絹本着色 不動明王二童子像(国宝)

 <黄不動>
 園城寺(三井寺)
 絹本着色不動明王像(国宝)

 <赤不動>
 高野山 明王院
 絹本着色不動明王二童子像(重要文化財)

【不動明王の御真言】

 「明王」とは、「明呪(みょうじゅ)(真言)を保持するもの」という意味があり
 如来の真言(しんごん)の絶大な効力を具体的に示す存在

 <大呪>
 不動明王火界咒(ふどうみょうおうかかいのじゅ)

 のうまく さらばたたぎゃていびゃく さらばぼっけいびゃく
 さらばたたらた せんだまかろしゃだ けんぎゃきぎゃき
 さらばびぎなん うんたらた かんまん

 <中呪>
 不動明王慈救咒(ふどうみょうおうじぐのじゅ)

 のうまく さんまんだ ばさらだ せんだんまかろしゃだ
 そはたや うんたらた かんまん

 <小呪>
 不動明王一字咒(ふどうみょうおういちじのじゅ)

 のうまく さんまんだ ばさらだんかん

【不動明王のご利益】

 不動明王には、大威力があって難を除き、魔を降伏し、すべての人にわけ隔てなく利益を与える
 念ずる人の願いによって、どんなご利益でも授けられるといわれる
 大願を成就せしめるため、不動明王の前でお護摩が焚かれる

 人の死後、最初に(初七日に)不動明王の導きを受けるといわれる

【不動明王が祀られている主な寺院】

 <岩屋寺
 本尊 不動明王:大石良雄の念持仏といわれる

 <観音寺
 木造 不動明王立像(炎髪不動明王)(重要文化財)

 <北向山不動院
 秘仏の本尊
 興教大師が、仏師康助に作らせたもの

 <広隆寺
 木造不動明王座像(重要文化財)
 平安時代の作

 <三千院
 木造不動明王立像(重要文化財)

 <聖護院
 木造不動明王立像(重要文化財)>
 平安時代の創建当時のもの

 <正寿院
 不動明王坐像(重要文化財)
 快慶の作といわれる

 <浄瑠璃寺
 不動明王および二童子像(重要文化財)

 <神童寺
 木造 不動明王立像(重要文化財)
 肉身が後補とみられる顔料で白く彩色が施されていて「波切白不動」と称される

 <善願寺
 榧の木不動尊像(かやのきふどうそんぞう)
 「小町榧(こまちがや)」と称される生の榧(かや)の神木に彫られた珍しいもの

 <積善院
 木造 不動明王立像(重要文化財)

 <般船院>
 木造不動明王座像(重要文化財)
 平安時代の作

 <醍醐寺
 木造 不動明王坐像(重要文化財)
 快慶の作

 <東寺講堂>
 木造不動明王坐像(国宝)
 五大明王が安置されている
 平安時代の作

 <東寺大師堂>
 木造不動明王坐像(国宝)
 平安時代の作

 <東寺蓮花門(国宝)>
 空海が、東寺から高野山へ向かうとき、お堂から出てきた不動明王の足跡にレンゲが咲いたことから名付けられた


 <同聚院東福寺塔頭
 木造じゅうまん不動明王坐像(重要文化財)
 平安時代の作

 <不動堂明王院
 平安時代初期
 弘法大師 空海が、霊石に自ら彫刻し、石棺におさめて、地中の井戸深くに安置された不動明王
 および、「空海の三体不動尊」と称される弘法大師 空海の一刀三礼といわれる不動尊

 <遍照寺
 木造不動明王座像(重要文化財)
 平安時代の作

 <放生院
 不動明王像(重要文化財)

 <法住寺
 身代不動明王(みがわりふどうみょうおう)
 平安時代慈覚大師 円仁の作といわれる
 後白河上皇の信仰も篤く、木曾義仲の焼き討ちのときには、後白河上皇の身代わりとなったといわれる
 大石良雄が、身代わり不動に仇討ちの祈願をしたといわれる

 <曼殊院
 不動明王像(国宝)

 <明王院 不動寺
 弘法大師 空海の作の石像の本尊

 <妙法院
 木造不動明王立像(重要文化財)

 <浪切不動寺
 弘法大師の作といわれる

 <蓮光院
 本尊 不動明王坐像(重要文化財)

【ゆかりの寺院】

 <清浄華院
 不動信仰の絵巻物「泣不動縁起」を所蔵する

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