律宗(りっしゅう)は、仏教の宗派の一つ
正式な僧となるには戒律を修めなければならいとし、戒律の研究と実践が重んじられる
南都六宗の一つ(現存:律宗・法相宗・華厳宗の3宗)
他の仏教の宗派は、経典・修行などを重んじるのに対して、律宗では戒律の研究と実践を重んじられる
戒律を探求し理解を深めることで、悟りが開かれるとされる
<律(りつ)>
サンスクリット語vinayaを音訳した毘奈耶 (びなや)の漢訳
比丘 (びく)(僧侶)や比丘尼 (びくに)(尼僧)の守るべき規範や戒めのこと
「戒」は、自発的に規律を守ろうとする心の働き、心得のこと
<律蔵>
僧侶についての規定や禁止条項、戒めなどについて説かれた聖典
インドから中国へ、中国から日本へ伝えられた
<四分律(しぶんりつ)>
インドから中国に伝わって漢訳された5つの律蔵のうちの一つ
4つに分かれて説かれていたことから名付けられた
漢語書:全60巻(初分21巻・第二分16巻・第三分12巻・第四分11巻)
<三聚浄戒(さんじゅじょうかい)>
律宗の教えで重視される大乗仏教の戒律の一つ
摂津義戒(しょうりつぎかい)・摂善法戒(しょうぜんぼうかい)・摂衆生戒(しょうしゅうじょうかい)の3つ
摂津義戒は、戒律を守ることで悪を防ぐ
摂善法戒は、自ら進んで積極的に善を行う
摂衆生戒は、世の人々を教え導くとともに、人々のために尽くすこと
これらの戒律を、普段の日常生活で実践することが大切と説かれている
<受戒>
僧侶の戒律が乱れ、官許を得ていない私度僧も増えたことから、
聖武天皇の勅命によって儀式制度が確立される
僧侶は、戒律を守ることを誓う受戒の儀式を、正式な僧の立会いのもとで行うことによって僧侶の資格が認められた
<天下三戒壇>
天下三戒壇の制が設けられ官僧受戒の場とされた
759年(皇紀1419)天平宝字3年
鑑真大和上により、唐招提寺(現在の律宗の総本山)が創建され、戒壇が開かれる
761年(皇紀1421)天平宝字5年1月
下野 薬師寺と、筑紫 観世音寺に戒壇院が創建される
<宗教儀式>
律宗では、学問的な側面が大きく、宗教儀式は少ない
菩提寺や檀家という制度もなく、律宗寺院には墓地がない
葬儀は、他の宗派の寺院などにおいて行われる
全国に約30寺院ある
<総本山>
唐招提寺(奈良市五条町) 世界文化遺産
<別格大本山>
壬生寺(みぶでら) (中京区) 宝幢三昧寺 新選組
<その他の寺院>
地蔵院 (じぞういん) (右京区) 金目地蔵菩薩
寿徳院 (じゅとくいん) (八幡市) 石清水五律家
善法律寺 (ぜんぽうりつじ) (八幡市) 石清水八幡宮 もみじ寺
法園寺 (ほうおんじ) (八幡市) 石清水五律家
法金剛院 (ほうこんごういん)(右京区) 蓮の寺 京都十三仏第十番霊場 関西花の寺第十三番