大嘗祭(だいじょうさい)

日程:11月の二の卯の日の夜から翌日(辰の日)の早朝

場所:大嘗宮(だいじょうきゅう)(朝堂院の前庭に造営される)

別称:おほにへまつり、おほなめまつり

 大嘗祭(だいじょうさい)は、天皇陛下が皇位継承によって行われる宮中祭祀(皇室行事)の一つ

 新天皇陛下が即位された後に、大嘗宮において、新穀などご神饌物を神々に供え、新天皇陛下もその御下がりを食べられる

 国家国民のためい、その安寧、五穀豊穣を皇祖 天照大御神、天神地祇に感謝し祈念される
 毎年11月二の卯の日に行われている新嘗祭に代わり、皇位継承に伴う一代に一度限りの重要な儀式とされる

 即位の礼から大嘗祭の一連の儀式を「御大礼」「御大典」と称される

 京都御所では、昭和天皇が最後に御大礼が行われている

【大嘗祭の歴史・経緯】

【大嘗宮】

 <大嘗宮(だいじょうきゅう)>
 大嘗祭を行う祭祀の場所
 各御代の大嘗祭のごとに造営され、斎行された後は破却、奉焼される

 毎年の新嘗祭は、宮中祭祀を行っている新嘉殿(しんかでん)で行われている


 大嘗宮は、朝堂院の前庭に造営される

 宮地の広さは、東西21丈4尺(約65m)、南北15丈(約46m)
 真ん中で分けて、東を悠紀院、西を主基院とされる

 本祭の約10日前に、材木や茅、諸材料が、朝堂院の前庭に運ばれる
 7日前に、地鎮祭が行われ、殿舎が造営される
 3日前には、竣工される

 現在では、建築様式や用材調達などの変化で、5日間では造営できなくなり数カ月かけて造営されている
 令和の大嘗祭から、初めて資材が再利用されることになった


 <悠紀殿(ゆきでん)・主基殿(すきでん)>
 大嘗宮の中心をなす殿舎で、東に悠紀殿、西に主基殿が建てられる
 「悠紀殿の儀」「主基殿の儀」と、同様の祭祀を2度繰り返して行われる
 黒木造、切妻屋根、茅葺き、畳表張り、千木は悠紀殿が内削ぎ、主基殿が外削ぎ

 殿内には、中央に八重畳を重ねて敷き、その上に御衾(おんふすま)をかけ、御単(おんひとえ)が置かれ、
御櫛、御檜扇を入れた打払筥が置くかれる(寝座)
 その東隣に御座がおかれ、伊勢神宮の方向に向けられている
 御座と向かい合って神の食薦(けこも)を敷き「神座」とされる

 令和の大嘗祭では、屋根は板葺きにされた


 <廻立殿(かいりゅうでん)>
 悠紀殿、主基殿の北側に建てられる
 祭祀に先立ち、天皇陛下が沐浴を行うところ
 黒木造、切妻屋根、茅葺き、床は竹簀と蓆

 殿内は、東西二間に仕切られており、西の部分を「御所」、東の部分を「御湯殿」と称される

 大正以降は皇后も祭祀に列するようになったため三間に仕切るようになり、
 中央の部分が御所、西の部分が御湯殿となり、東の部分では皇后が斎服を着用する場となる
 令和の大嘗祭では、屋根は板葺きにされた


 <雨儀御廊下(うぎおろうか)>
 儀式に際して、天皇陛下が行き来される屋根付きの廊下


 <頓宮(とんぐう)>
 廻立殿のさらに北側に建てられる
 天皇陛下はまずここに入られ、そこから廊下を通り廻立殿に入られる


 <帳殿(ちょうでん)>
 悠紀殿、主基殿の外陣のそばにあり、祭祀が行われている間、皇后が控えておられる
 切妻屋根、板葺き


 <小忌幄舎(おみあくしゃ)>
 悠紀殿、主基殿の外陣のそばにある
 祭祀が行われている間、男性皇族が控えておられる
 切妻屋根、板葺き


 <殿外小忌幄舎(でんがいおみあくしゃ)>
 鳥居の奥に建てられる
 祭祀が行われている間、女性皇族が控えておられる
 切妻屋根、板葺き


 <膳屋(かしわや)>
 神饌を調理するための建物で、悠紀殿、主基殿それぞれに建てられる


 <神門(しんもん)>
 大嘗宮の東西南北に鳥居が建てられる
 黒木造

 <楽舎(がくしゃ)>
 奏楽を行う楽師が控える建物
 切妻屋根、板葺き

 <風俗歌国栖古風幄(ふぞくうたくずのいにしえぶりのあく)>
 悠紀・主基のそれぞれの地方および国栖の歌を奏する建物

 <庭燎舎(ていりょうしゃ)>
 各神門を照らす庭火を焚くための建物
 中央部の穴に薪が入れられる

 <斎庫(さいこ)>
 悠紀・主基のそれぞれの地方から採れた新米が収納される建物

 <幄舎(あくしゃ)>
 皇族以外の参列者が控えられる建物

 <外周垣(がいしゅうがき)>
 大嘗宮の外側を囲む垣根

 <柴垣(しばがき)>
 外周垣の内側に設けられる垣根
 鳥居型の神門が出入口となる

 <黒木灯籠(くろきとうろう)>
 大嘗宮を照らす灯籠
 黒木(樹皮が付いた木)で造られる

 <椎の和恵(しいのわえ)>
 葉が付いたスダジイの小枝が膳屋や柴垣に取り付けられている
 「和恵差(わえさし)」とも称される

【大嘗祭のご神饌】

 大嘗祭・新嘗祭では、国家国民の安寧と五穀豊穣の感謝祈念のために、
ご神饌(ごしんせん)が皇祖 天照大御神、天神地祇にお供えされる


 主な神饌は、
 お米と粟を蒸した御飯(強飯)と、炊いた御粥(現在でいう御飯)
 白酒・黒酒
 鯛・鮑・鮭・烏賊などを調理した鮮物と、干鯛・干鯵・堅魚・蒸し鮑などの干物、鮑と和布の煮物
 干柿・生栗などの果物

 大嘗祭において、お米は特に重要なもので、稲を収穫する田んぼを選定するところから始まる

 毎年の新嘗祭では、直営の官田から収穫されている

 <斎田(さいでん)>
 大嘗祭・新嘗祭の稲が収穫される田んぼ
 亀卜を用いて決定される

 <悠紀(ゆき)・悠紀(すき)>
 大嘗祭は、同じ祭祀が悠紀殿・悠紀殿で2度繰り返され、そのためのご神饌の斎田も2ヵ所選ばれる

 <斎国(いつきのくに)>
 悠紀・主基の田んぼが選ばれた国
 悠紀は東の国から、主基は西の国から選ばれる

 平安時代中期、宇多天皇以降は、
 悠紀は近江国、主基は丹波国と備中国(冷泉天皇の時のみ播磨国)が交互に選ばれ、
その国の中で郡を卜定(占いにより選定)された

 明治時代以降は、全国から選出されるようになる

 平成時代以降は、斎行場所が東京になったため東西の国が変更になり、
悠紀国は新潟県、長野県、静岡県を含む東側の18都道県、主基国は西側の29府県となる


 <斎田点定の儀(さいでんてんていのぎ)>
 亀卜(きぼく)(亀の甲羅を使った占い)によって斎国を選ぶ儀式

 神殿にて掌典職により祭礼が行われ、前庭に設営された斎舎にて行われる
 東京都小笠原で捕られたアオウミガメで行われた
 甲羅を将棋の駒の形に切り取り、薄く削った亀甲を火であぶって、ひび割れを見る

 明治の大嘗祭
 悠紀:甲斐国(現在の甲府市上石田)
 主基:安房国(現在の千葉県鴨川市北小町字仲ノ坪)

 大正の大嘗祭
 悠紀:三河国(現在の岡崎市中島町字上丸ノ内)
    村では、一連の儀式を再現した六ツ美悠紀斎田お田植えまつりが行われるよになった
 主基:讃岐国(現在の香川県綾川町山田上)

 昭和の大嘗祭
 悠紀:近江国(現在の滋賀県野洲市三上 御上神社前)
 主基:筑前国(現在の福岡市早良区脇山)

 平成の大嘗祭
 悠紀:羽後国(秋田県南秋田郡五城目町大川石崎)
 主基:豊後国(大分県玖珠郡玖珠町大字小田)

 令和の大嘗祭
 悠紀:下野国(栃木県塩谷郡高根沢町大谷下原)
 主基:丹波国(南丹市八木町氷所新東畑)


 <斎田の殿舎>
 選ばれた斎国には、抜穂使が遣わされて、斎田が選ばれる
 卜定により、斎場雑色人、造酒童女、物部人、物部女らも選ばれる
 斎田に面した斎場には、神殿、神饌殿、稲実殿が建てられる

 神殿の祭神は延喜式により、八座が祀られている
  御歳神(みとしのかみ)、高御魂神(たかみむすびのかみ)、庭高日神(にわたかびのかみ)、大御食神(おおみけつかみ)
  大宮売神(おおみやめかみ)、事代主神(ことしろぬしのかみ)、阿須波神(あすはのかみ)、波比伎神(はびきのかみ)


 <斎田抜穂前一日大祓>
 収穫前日、斎田の近くの河原において行われる
 抜穂使が大祓の詞を読み、参列者を祓う

 <斎田抜穂の儀>
 抜穂使が祝詞を奏上し、その命を受けた大田主らの奉耕者が順番に斎田で稲穂が抜き取られる
 稲穂は、抜穂使により見分をされ、稲実殿に収められる
 初めに抜いた4束を高萱御倉に納め、御飯(みい)とされる
 あとの稲は、黒酒(くろき)・白酒(しろき)として用いられる

 その後、9月下旬に、新設された大嘗宮の悠紀・主基両地方の斎庫に納められる

 <庭積机代物>
 大正以降の大嘗祭では、全都道府県から精米1.5kgと、精粟750g、各地の特産品各5品が奉納され、
それを大嘗宮の帳殿に奏覧される

【大嘗祭の式次第】

 <大祓(おおはらえ)>
 8月上旬
 平安時代から、  大祓使(おおはらえし)が卜定され、左京・右京に1人、五畿内に1人、七道に各1人が派遣され祓い清められる
 その後、伊勢神宮、各国の天神地祇に幣帛を供えて告文(こうもん)が奏上される

 <御禊(ぎょけい)>
 10月下旬
 天皇陛下が鴨川で身を清められる
 江戸時代中期以降は、皇居内の清涼殿で
 大正、昭和には、京都御苑の小御所で、
 平成、令和には、宮殿 竹の間で行われた


 <大殿祭・御門祭>
 11月上旬
 大嘗宮が建てられると、宮殿に災害がないように祈る大殿祭と、邪神を払うための御門祭が行われる

 <致斎(まいみ)>
 本祭の2日前から当日までの3日間
 物忌とされ、穢れに触れることを戒められる

 <鎮魂祭(ちんこんさい)>
 天皇陛下の霊魂が身体から遊離しないように鎮めるお祭
 神楽の奉納などが行われる


 <大嘗宮の儀>
 一連の本祭の総称
 11月二の卯の日

 当日の巳刻(10時)から準備が行われ、お米などが炊かれる

 <廻立殿の儀(かいりゅうでんのぎ)>
 戌刻(20時)
 天皇陛下は、内裏を出て廻立殿に渡御し、殿内の御湯殿で沐浴「小忌の御湯(おみのおんゆ)」が行われる
 帷(とばり)を着たままお湯に入り、帷を脱いで上がり、他の帷を羽織って肌を祓われ
 生絹の白色の御祭服に着替えられる

 <悠紀殿供饌の儀(きょうせんのぎ)>
 戌四刻(21時)
 天皇陛下が廻立殿から悠紀殿へ渡御される

 天皇陛下が通る「雨儀の廊下」は、板張りの上に布単(ふたん)、葉薦(はごま)を重ねて敷かれ、
天皇陛下が通る時のみ直前に、真薦(まこも)が広げられ敷かれ
 三種の神器の八尺瓊勾玉と天叢雲剣をそれぞれ奉持した侍従、天皇陛下、天皇陛下の祭服を持つ侍従が通る

 天皇陛下は悠紀殿の外陣に着御され、剣璽はその上座の案上に安置される

 男性皇族は小忌幄舎に、皇后は帳殿、女性皇族は殿外小忌幄舎で控えられる

 <奉納行事>
 国栖・宮内庁楽部の古風
 悠紀国・主基国の国風
 語部の古詞
 隼人司の風俗歌舞


 <八開手の拝(やひらでのはい)>
 皇太子(皇嗣)、皇后、女性皇族などにより、8つかしわ手を打ち拝される

 <神饌行立(しんせんぎょうりゅう)>
 亥一刻(21時30分)
 ご神饌が采女らによって悠紀殿へ運ばれる

 天皇陛下が、神楽が流れるなか内陣へ入り、皇祖 天照大御神の神座と向き合う御座に着御される

 采女により神食薦が神座の前に、御食薦を天皇陛下の御座の前にそれぞれ敷かれ、
御食薦の上に筥(はこ)が並べられ蓋が取られる

 <親供>
 天皇陛下が、自ら箸を取り、古来の法で、規定の数だけ枚手に盛りお供えされる
 約1時間30分ほどかかる

 親供が終わると、国家国民の安泰と五穀豊穣に感謝する御告文(おつげぶみ)が奏上される
 その終、天皇陛下が、自らご神饌を食される

 采女により、ご神饌が下げられる
 その後、天皇陛下が、廻立殿に還御される
 この時点で、深夜0時頃になる


 <主基殿供饌の儀(きょうせんのぎ)>
 主基殿において
 翌日(辰日)の丑刻(2時)から寅4剋(5時)にかけて、悠紀殿供饌の儀と全く同じ祭礼が繰り返される


 <大饗の儀(だいきょうのぎ)>
 辰日、巳日、午日の3日間にわたり
 天皇陛下陛下が、大嘗宮の儀に参列した人たちを招いて行われる饗宴の総称
 大嘗祭の後の「直会」とされる

 <悠紀節会> 
 辰日と巳日の辰刻(8時)
 天皇陛下が悠紀帳へ出御される
 神祇伯の中臣氏により、寿詞が奏上される
 忌部氏により、三種の神器の八咫鏡と天叢雲剣が献じられる
 弁官により、両国の献る供御の物および多米都物(ためつもの)の式目が奏上される
 皇族により、八開手の拝が行われる

 9時から饗宴が行われる


 <主基節会>
 辰日と巳日
 主基帳でも同様の饗宴が行われる

 <豊明節会>
 午の日
 五節舞が披露された後、功績者への叙位の宣命があり、饗宴となる

 大正時代以降の大饗の儀は、縮小して行われている

【その他】

 <新嘗祭(にいなめさい)>
 毎年11月23日に行われる宮中祭祀
 年々の収穫を感謝する秋祭で、一年でもっとも重要とされる

 大嘗祭が行われる年には、新嘗祭は行われない

 毎年の新嘗祭は、宮中祭祀を行っている新嘉殿(しんかでん)で行われている

 お米や粟の稲は、直営の官田から収穫されている


 <山国神社
 御杣御料地(みそまごりょうち)
 平安京遷都にあたり、大内裏の造営の木材を山国郷より納められ、
 それ以来、大嘗祭の悠紀殿・主基殿の祭殿を造営する用材を提供することが恒例となる


 <折上神社
 孝明天皇が、大嘗祭のときに、長橋局(ながはしのつぼね)など女官の病気平癒を祈願し、
長命箸(ちょうめいばし)を奉納した
 以降、毎年12月13日に長命祭が行なわれ、「女性守護のお稲荷さん」と称されるようになる


 <大正天皇御大典(たいしょうてんのうごたいてん)>
 大正天皇の即位式と大嘗祭の2つの儀礼のこと
 即位式は京都御所 紫宸殿で、大嘗祭京都御所 悠紀殿・主基殿で行われた


 <法的根拠>
 令和の現在は、大嘗祭に関する法規はない
 戦前の旧皇室典範には規定されていた

 憲法の政教分離原則「国はいかなる宗教活動もしてはならない」に基づき、大嘗祭を国事行為にはされず、
 「憲法により定められている皇位の世襲に基づき、大嘗祭は7世紀からの伝統的な皇位継承儀礼で、公的性格がある」
として、公的な皇室行事とされ、大嘗祭の費用は公費(宮廷費)から支出された


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