京都の金属工芸(きょうとのきんぞくこうげい)

京都の金属工芸では、金・銀・銅などの金属材料に様々な細工や加工を施し工芸品が作られる

京都市の伝統産業の一つ

 (写真は京都伝統産業ミュージアムにて撮影)

【金属工芸の歴史・経緯】


【京都の金属工芸】

 金・銀・銅・鉄・錫・真鍮などの金属を、鋳金・鍛金・彫金などの技術により成形、表面加工して仕上げられる工芸品

 京釜・鏡・茶道具・華道具・神具・仏具・建築金具・刀装金具・山鉾・神輿などが伝統的な手工芸技術によって作られる

 現在では、茶道具・花器・食器・装身具・家具・装飾品・建築金具・文房具などで用いられている


 技法的には大きく、鋳金・鍛金・彫金・錺金・象嵌・七宝の6つに分けられる

 <鋳金>
 「いもの」とも称される
 溶解した金属を鋳型に流し込んで造形する技法
 主に、仏像や梵鐘、茶道具、美術工芸品などに用いられる

 <鍛金>
 「うちもの」とも称される
 金属を自在に延ばして、縮め、立体的に造形する
 鋳金に比べて軽く仕上がる
 主に、器などが製作される

 <彫金(ちょうきん)>
 「ほりもの」とも称される
 金属板に模様を彫ったり、浮彫にしたりする技法

 <象嵌>
 金属に金や銀、赤銅などをはめ込んで模様を表現する技法
 京象嵌の技法が用いられる

 <七宝>
 金属の素地にガラス質の釉薬を焼きつけて装飾する技法
 釉薬の種類によりさまざまな発色ができる
 京七宝の技法が用いられる

【金属工芸の用途】

 <京釜>
 大名や三千家などでは、好みの茶釜を作らせるために釜師をかかえ、
 桃山時代には、三条釜座が形成され独自に発展した

 <鏡>
 桃山時代に、青銅・白銅で製作されていた鏡は安価な黄銅製になり、急激に普及した
 鋳造法も、踏み返し鋳物と称される量産技術が発展した
 江戸時代には、鏡の縁にも文様を鋳出したり、巧妙な文様を鋳造する技術が発達する
 現在では、神社における神宝の一つとして用いられている

 <仏具>
 柄香炉・錫杖・鉄鉢・水瓶などに用いられている
 鉄製燈篭・梵鐘などにも用いられるが、戦中の供出により歴史的作品の現存が少ない
 堂内には、彫金・象嵌・七宝技術を用いて飾り立てた荘厳品に用いられている

 <建築金具>
 釘隠・襖(ふすま)の引き手など、細密で華やかな金具として用いられている

 <刀装金具>
 鍔(つば)・目貫(めぬき)・縁頭(ふちがしら)・小柄(こづか)などに用いられている
 小さな部品に、細かな写実的な文様を彫刻・象嵌することが多く、日本独特の多彩な彫金表現技法が発展した
 明治時代になり廃刀令により、多くの職人が職を失ってしまった

 <山鉾・神輿>
 祇園祭山鉾や、八坂神社の神輿などにおける錺金具による豪華な装飾に用いられる
 定期的な新調が繰り返えされ、ありとあらゆる彫金技法を用いて豪華絢爛に装飾されることで発展してきた

 <生活工芸品>
 江戸時代には、特権階級から一般町民階級にまで広がる
 鉄瓶・水注・矢立・筆筒・きせる・煙草入れ・櫛(くし)、簪(かんざし)置物・根付・室内調度品などに用いられている

【金属工芸ゆかり】

 <延暦寺 金銅経箱(国宝)>
 平安時代後期の金属工芸
 横川から発掘されたもの


 <東山花灯路灯りと花の路>
 京焼・清水焼京銘竹北山杉磨丸太京石工芸、金属工芸の5種類の露地行灯約2,400基が、
 東山山麓の、北は青蓮院から知恩院円山公園八坂神社を通って南は清水寺までの散策路約4.6kmに設置された

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