神護寺(じんごじ)(JingoJi)


正式名称:神護国祚真言寺(じんごこくそしんごんじ)

所在地:京都市右京区梅ヶ畑高雄町   地図情報

真言宗別格本山の寺院

山号:高雄山

本尊:薬師如来

創建:神願寺と高雄山寺が合併

中興の祖:文覚上人

三尾の一つ
愛宕五坊の一つ

 神護寺(じんごじ)は、京都市街の北西 愛宕山(標高924m)山系の高雄山の中腹に位置する山岳寺院
 清滝川に架かる高雄橋から長い参道から急な石段を上りつめた奥の山中に建つ

 弘法大師 空海が真言密教の礎を築いた寺院

 栂尾山 高山寺槙尾山 西明寺とともに「三尾」と称され、いずれも紅葉の名所
 4月には石楠花の名所




【神護寺の歴史・経緯】




【神護寺の伽藍】

 境内は約20万m2

 <大師堂(重要文化財)
 毘沙門堂、五大堂の奥に建つ
 入母屋造・柿葺(こけらぶき)、蔀戸の住宅風の軽快な仏堂
 空海の住房であった「納涼房(のうりょうぼう)」を復興したもの
 桃山時代の再建
 弘法大師空海)の納涼房」と称され、小さな厨子の中に板彫弘法大師像(重要文化財)が安置されている

 <楼門>
 参道から急な石段を上がったところに建つ正門
 1623年(皇紀2283)元和9年の建立
 楼門をくぐると、広い境内が広がる

 <唐門>
 楼門のすぐ横に立つ

 <金堂>
 楼門から入って境内の右手の石段を上ったところに建つ本格的な密教仏堂
 入母屋造・本瓦葺
 1934年(皇紀2594)昭和9年
 実業家 山口玄洞の寄進で建立される

 <毘沙門堂>
 金堂へと上る石段の下に建つ
 現在の金堂が建つ前の「金堂」で、本尊の薬師如来像もここに安置されていた
 内部の厨子に、平安時代毘沙門天立像(重要文化財)が安置される
 1623年(皇紀2283)元和9年の建立

 <五大堂>
 毘沙門堂の背後に建つ
 1623年(皇紀2283)元和9年の建立

 <和気公霊廟>
 唐門をくぐったところ
 和気清麻呂と姉 和気広虫が祀られていた護王神社跡
 1886年(皇紀2546)明治19年
 護王神社は、明治天皇の勅命により、御所の守護神として、現在の地の京都御所蛤御門前に移される

 <鐘楼>
 楼造の鐘楼
 1623年(皇紀2283)元和9年の建立

 <梵鐘(ぼんしょう)(国宝)>
 「三絶の鐘」と称されている
 平等院・園城寺(三井寺)の鐘とともに、「天下の三名鐘」の一つ
 高さ1.47m、口径80.3cmの銅製の鐘
 平安時代初期
 875年(皇紀1535)貞観17年の鋳造
 鐘の表面に鋳出された長文の銘文は、文人の橘広相(たちばなのひろみ)が序詞をつくり、
菅原是善(菅原道真の父)が銘を選び、歌人・能書家 藤原敏行が字を書いたもの
 「三絶の鐘」とは、この時代の一流の文化人の3人が関わっていることに由来する
 2階建ての鐘楼の楼上に架かっており、非公開

 <多宝塔>
 金堂からさらに石段を上ったところに建つ
 五大虚空蔵菩薩像(国宝)が安置されている
 1934年(皇紀2594)昭和9年
 実業家 山口玄洞の寄進で建立される

 <明王堂>
 <鎮守社>

 <硯石>
 参道の石段を登っていったところ右手
 弘法大師が墨を擦ったといわれる石

 <和気清磨呂公のお墓>
 鐘楼の左奥の山道の奥に塚と墓石がある

 <文覚上人のお墓>

 <閼伽井(あかい)>
 空海が灌頂のために掘られたといわれる

 <地蔵院>
 境内の一番奥、西端
 清滝川の渓谷、錦雲渓の風景が広がる
 錦雲峡へ向かってかわらけ投げができる

 <錦雲峡>
 紅葉の名所
 地蔵院の庭から千仞の渓谷、清滝川の絶景が眺められる

 <高雄橋>
 参道の石段の手前の、清滝川にかかる橋

 <能村登四郎の句碑>
 かわらけ投げの手前に立つ
 「初紅葉せる羞ひを杉囲み」




【神護寺の寺宝】

 密教美術の宝庫
 国宝16点、重要文化財2372点を有している

 <木造 薬師如来立像(国宝)
 金堂の本尊
 檜材の一木造、像高約170cm
 唇に朱を、眉と瞳などに墨を塗るほかは彩色などを施されていない素木仕上げの像
 神護寺の前身の神願寺または高雄山寺のいずれかにあった像といわれる
 衣文などに平安時代初期特有の様式が見られ、平安時代初期に仏教信徒により造立されたといわれる
 無病息災、鎮護国家の仏像とされる

 <木造 五大虚空蔵菩薩坐像(国宝)>
 空海の没後、弟子の真済(しんぜい)が、宝塔を建て安置した秘像
 塔内向かって右から金剛虚空蔵菩薩坐像(緑青)・蓮華虚空蔵菩薩坐像(赤)・法界虚空蔵菩薩坐像(白)・
業用虚空蔵菩薩坐像(黒)・宝光虚空蔵菩薩坐像(黄)の順に横一列に坐す
 本尊の薬師如来立像と同様に平安時代初期の作品だが、作風は穏やかで、技法も異なっている
 基本的には一木造だが、表面には厚く乾漆を盛り上げ、彩色が行われている

 <紫綾金銀泥 両界曼荼羅図(高雄曼荼羅)(国宝)
 空海が唐から請来した曼荼羅を手本に、紺紙金泥で描かれた両界曼荼羅図
 胎蔵界(たいぞうかい)と、金剛界(こんごうかい)が描かれ、世界が数多くの仏によって創られることを表現している
 現在する最古のもので美術史上、仏教史上に貴重な作品
 金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅の2幅とも縦4mを超える大作
 彩色本ではなく、紫色に染めた綾地に金銀泥で描かれている

 <絹本着色 釈迦如来像(国宝)>
 通称「赤釈迦」と称される
 赤の衣を着た釈迦像を大きく表わし、衣・光背・台座などは繊細な切金文様と彩色で飾られている
 平安時代末期の仏画

 <絹本着色 伝 源頼朝像(国宝)><伝 平重盛像(国宝)><伝 藤原光能像(国宝)
 日本の肖像画史上の傑作とされる
 「神護寺略記」の記述などをもとに、鎌倉幕府初代将軍 源頼朝・平重盛・藤原光能とされているが確証がなく、
国宝の指定名称にも「伝」の字が付されている
 勺(しゃく)を手に、剣を帯し、束帯をつけた公卿姿坐像
 平安時代末頃の作品で、作者は、似絵の名手 藤原隆信とされている

 <絹本着色 山水図六曲屏風二双(国宝)>
 平安時代末から鎌倉時代初期の大和絵の優れた作
 密教修法の際に、道場に立てた屏風といわれる

 <灌頂暦名(かんじょうれきめい)(国宝)
 空海が、神護寺の前身である高雄山寺で灌頂の儀式を行ったときの3回分の受法者の名簿
 空海の自身の筆跡を伝えるものとして、書道史上にも貴重なもの
 第1回の灌頂は、812年(皇紀1472)弘仁3年11月15日の金剛界灌頂で、
受法者は、最澄・和気真網・和気仲世・美濃種人の4名で、それぞれが結縁した仏菩薩名も記されている
 第2回は、12月14日の胎蔵界灌頂で受法者145名、第3回は翌年3月6日の金剛界灌頂で受法者17名
 1108年(皇紀1768)天仁元年、白河院の御所のおまもりに取り上げられる
 その後、鳥羽離宮内の勝光明院宝蔵に収められていた
 1308年(皇紀1968)徳治3年、後宇多法皇によって神護寺に返還された

 <文覚四十五箇条起請文(国宝)>
 平安時代末期の1168年(皇紀1828)仁安3年
 北面武士出身の僧の文覚上人(もんがくしょうにん)が、神護寺の再興をしようとしたときの起請文
 文面には後白河法皇の手形が捺されている

 <毘沙門天立像(重要文化財)>
 金堂の内部の厨子に安置されている
 平安時代の作

 <木造彩色 日光菩薩立像(重要文化財)>
 <木造彩色 月光菩薩立像(重要文化財)>

 <薬師如来坐像(重要文化財)>
 木心乾漆造漆箔
 平安時代初期の作

 <愛染明王坐像(重要文化財)
 木造彩色切金
 1275年(皇紀1935)建治元年の康円の作

 <弘法大師像(重要文化財)>
 板彫彩色
 1302年(皇紀1962)正安4年の定喜の作

 <毘沙門天立像(重要文化財)>
 木造彩色切金

 <高山寺境内の絵図(重要文化財)>
 1230年(皇紀1890)寛喜2年に作成されたもの

 <絹本著色 足利義持像(寺伝足利義満像)一幅(重要文化財)>
 藤原行秀の筆といわれる
 怡雲寂訔の賛「征夷大将軍従一位行内大臣」
 足利義持が29歳のときの肖像画
 寺伝では、足利義満と伝えられていた

 <僧形八幡画像>
 この像を忠実に彫刻化した僧形八幡神像(八幡大神)が奈良 東大寺の八幡殿にある




【神護寺の祭事】

 <虫払定>
 5月1〜5日

【その他】

 <土器投げ(かわらけなげ)
 境内西端、地蔵院から谷に向けて、素焼きの円盤を投げて厄除けがされる

 <JR東海「そうだ 京都、行こう。」
 2004年(皇紀2664)平成16年の夏のキャンペーンで、
 「あの空海だって、自分には「ここの、この夏」が必要だと思ったわけです。」 と紹介される





【神護寺へのアクセス】

 JRバス 山城高雄 参道入口まで徒歩約10分
 市バス 高雄 参道入口まで徒歩約10分

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