高山寺(こうざんじ)(KouzanJi) 京都通メンバ
所在地:京都市右京区梅ヶ畑栂尾町   卍地図情報卍

単立寺院 (旧真言宗御室派の別格本山)

山号:栂尾山(とがのおさん)

本尊:釈迦如来

創建:光仁天皇

中興開山:明恵上人

世界遺産(古都京都の文化財)の一つ  右矢印次の世界遺産へ右矢印

境内:国の史跡

別称:栂尾

 高山寺(こうざんじ)は、京都市街北西の高雄の山中に建つ寺院で、「栂尾」とも称される

 「鳥獣人物戯画」をはじめ、絵画、典籍、文書など、多くの文化財を所蔵する

 栄西禅師に贈られた茶種で日本で最初にできた茶畑があり、栂尾のお茶が「本茶」と称される

 清滝川に沿った高雄山 神護寺槙尾山 西明寺とともに「三尾」と称される名刹の一つで、いづれも紅葉の名所

 裏山は、明恵上人により「楞伽山(りょうがさん)」と名付けられ、裏山のいたるところで座禅を組んだといわれる


【高山寺の歴史・経緯】



【高山寺の伽藍】

 高山寺の境内は、国の史跡に指定されている

 1230年(皇紀1890)寛喜2年
 「高山寺境内の絵図」(重要文化財)(神護寺所蔵、現存)が作成される
 当時の高山寺には、大門・金堂・三重塔・阿弥陀堂・羅漢堂・鐘楼・経蔵・鎮守社などがあった
 このうち、当時「経蔵」と称された石水院のみが現存している

 <山門>
 高山寺で唯一の小さな門

 <石水院(せきすいいん)(国宝
 「五所堂(ごしょどう)」とも称される
 鎌倉時代の建築で、単層入母屋造、柿葺、寝殿造の面影を残す
 外観は住宅風だが、本来は東経蔵(ひがしきょうぞう)として建立された
 後に、正面に向拝を付して拝殿風に改築されている
 春日・住吉の両神が合祀されている
 1224年(皇紀1884)貞応3年
 後鳥羽上皇の学問所 賀茂別院を下賜されたものといわれ、明恵上人が住居としていた庵ともいわれる
 1637年(皇紀2297)寛永14年にも改修されている
 1889年(皇紀2549)明治22年
 金堂の東側から、現在の地に移された

 <金堂(本堂)
 本尊 釈迦如来坐像が安置されている
 高山寺の最も奥に、老杉に囲まれた中に建つ質素な建物
 1219年(皇紀1879)承久元年
 明恵上人が、仏師運慶が制作した釈迦像を中心に、運慶・湛慶らの四天王像を安置した
 1634年(皇紀2294)寛永11年
 現在の金堂が、仁和寺真光院の古御堂を移築される

 <開山堂>
 明恵上人坐像(重要文化財)が安置されている
 この明恵上人座像には右耳がなく、自分に厳しい明恵上人が、信仰上の迷いを断ち切るために、
本尊の前で耳を切り落したといわれる
 この場所は、明恵上人の晩年の頃の草庵 禅堂院があった跡といわれる
 建物は、近世に建てられたもの

 <明恵上人御廟>
 開山堂の上にある
 明恵上人の遺体が安置されている

 <明恵上人の歌碑>
 明恵上人御廟の横に立てられている
 「山のはにわれも入りなむ月も入れ 夜な夜なごとにまた友とせむ」

 <聖観音菩薩像
 開山堂の西の参道に立ている

 <旧石水院跡>
 金堂の近く
 1889年(皇紀2549)明治22年まで、石水院が立っていた跡地
 石組みが残っている

 <茶室 遺香庵>
 1931年(皇紀2591)昭和6年
 茶祖 明恵上人の七百年遠忌を記念して建てられたもの

 <茶園
 「日本最古之茶園」の石標がある
 鎌倉時代初期、建仁寺栄西禅師から、宋から持ち帰った茶種を明恵上人がもらい受け植えられたのが由来

 <「茶山栂尾」の石標>
 清滝川に架かる白雲橋のたもとに立つ

 <仏足石>
 明恵上人が、釈迦を慕い、足形を刻んだとされる仏足石
 明恵上人御廟の西側の小さな祠の中にある

 <鎮守社>

聖観音菩薩像" Target="_blank"> 高山寺 <A HREF=聖観音菩薩像" /> 聖観音菩薩像


【高山寺の寺宝】

 高山寺は、国宝8点(建物1棟含む)、重要文化財は約1万点の文化財を所蔵するが、
 多くは、京都国立博物館、東京国立博物館に寄託されている

 <紙本墨画 鳥獣人物戯画(国宝)
 甲乙丙丁の4巻からなる絵巻
 甲巻は、、蛙、猿などの動物を擬人化したもので、4巻の中でもっとも著名
 現在は、京都国立博物館・東京国立博物館に寄託されており、高山寺で見られるのは模本品

 <紙本著色 華厳宗祖師絵伝(けごんしゅうそしえでん)7巻(華厳縁起(けごんえんぎ)(国宝)>
 新羅の華厳宗の祖とされる義湘と元暁の伝記絵巻
 鎌倉時代の作品

 <紙本著色 明恵上人樹上坐禅像(じゅじょうざぜんぞう)(国宝)>
 普通の祖師像と異なり、明恵上人の姿が山中の自然の中に小さく描かれている
 山中の樹上で一人静かに坐禅をして、釈迦に随順する明恵上人の姿、心情が描かれている
 明恵上人は高山寺の裏山を楞伽山(りょうがせん)と名づけ、
裏山に入り、木の下、石の上、木の洞、岩窟などで座禅をし、
「すべて此の山の中に、面(おもて)の一尺ともある石に我が坐せぬはよもあらじ」と明恵が語ったといわれる
 絵はこのときのもので、弟子 成忍(じょうにん)によって描かれたといわれる
 鎌倉時代の作品
 京都国立博物館寄託されており、複製画が石水院に掛け軸として架けられている

 <絹本著色 仏眼仏母像(ぶつげんぶつもず)(絵画)(国宝)>
 鎌倉時代初期の作品で、明恵上人の念持仏の絵
 図中には明恵上人自身による書き込みがある

 <玉篇(ぎょくへん)巻第廿七(国宝)>
 中国梁代成立の漢字辞書「玉篇」の、唐時代の写本
 中国では早くに失われて日本にしか残っていない貴重なもの

 <篆隷万象名義(てんれいばんしょうめいぎ)(国宝)>
 1114年(皇紀1774)永久2年に写本されたもの
 空海の編さんとされる漢字辞書の唯一の古写本として貴重

 <冥報記(国宝)>
 唐代成立の仏教説話集の写本
 成立から2世紀ほど後の唐代末期の写本といわれる
 中国では早くに失われており、現存最古の写本として貴重なもの

 <明恵上人坐像(重要文化財)>
 開山堂に安置されている
 この明恵上人座像は右耳がなく、自分に厳しい明恵上人が、信仰上の迷いを断ち切るために
本尊の前で耳を切り落したといわれる
 鎌倉時代の作

 <善財童子(ぜんざいどうじ)>
 華厳経・入法界品(にゅうほっかいぼん)(菩薩の修行の様子を表したもの)の主人公
 母親の胎に宿ったとき、財宝が家中に満ちたことから名付けられたといわれる
 福城(ダーニヤーカラ)の豪商の子で、福城の東の荘厳幢娑羅林(しようごんどうさらりん)で、
文珠菩醍の説法を聞いて仏道を求める心を発し、文珠菩醍の指導によって南方に53人の指導者を訪ね廻り、
最後に普賢菩薩の教えによって修行を完成したという
 善財童子は修行者の理想とされ、後の仏教文化に大きな影響を与えたといわれる

 <乾漆薬師如来坐像(重要文化財)>
 もとは薬師三尊像の中尊であったが、日光菩薩像・月光菩薩像の両脇侍像は、明治時代に高山寺外に流出した
 奈良時代末期の作

 <木造 鹿1対(重要文化財)>
 雌雄の鹿を狛犬風に作った珍しいもの
 鹿は、春日明神(春日大神)のお使いとされ、高山寺鎮守の春日明神の神前に置かれたものといわれる
 鎌倉時代の作

 <木造 白光神立像(重要文化財)>
 白光神(びゃっこうしん)は、インドの神さんとされ、善妙神・春日明神(春日大神)とともに高山寺の鎮守神として祀られた
 ヒマラヤの雪を象徴して、着衣から台座まで真っ白に塗られている
 善妙神立像とともに、仏師湛慶の作といわれる
 鎌倉時代初期の作

 <木造 善妙神立像(重要文化財)>
 白光神立像とともに、仏師湛慶の作といわれる
 鎌倉時代初期の作

 <高山寺典籍文書類9,293点(重要文化財)>
 高山寺に伝来する平安時代から近世に至る仏典、記録等を一括指定されたもの

 <高弁夢記(こうべんゆめのき)17点(重要文化財)>
 高弁(明恵上人)が自分の見た夢を記録した日記
 1196年(皇紀1856)建久7年の23歳から、1223年(皇紀1883)貞応2年の51歳までのものが残っている


【高山寺の祭事】

 <献茶式>
 11月8日
 宇治の茶業者らが訪れ、開山堂で法要が行われ、その年の自家製の新茶を明恵上人御廟前に供えられる

【その他】

 <日本茶の発祥地>
 臨済宗の開祖 栄西禅師が中国 宋から持ち帰った茶の種子を明恵上人が譲り受け、高山寺山内に植えたのが由来
 日本最古の茶畑となる
 以来、栂尾産のお茶は「本茶(ほんちや)」と称され、栂尾以外の「非茶(ひちゃ)」と区別された
 その後、茶の畑が、仁和寺・醍醐・宇治・葉室(西京区松尾)にも作られ広まった

 <茶寄合闘茶)>
 室町時代に流行した、栂尾の本茶と、栂尾以外の非茶を飲み当てる茶の会

 <明恵上人の歌碑>
 「山のはにわれも入りなむ月も入れ 夜な夜なごとにまた友とせむ」 明恵上人御廟前の苔庭

 「栂山の尾の上の茶の木分け植えて跡ぞ生うべし駒の足影」 萬福寺の総門前

 <歌碑>
 「ひくらしやここにいませし茶の聖」 水原秋桜子 表参道

 「秋更や茶園春よりみどりにて」 富安風生 法鼓台道場前


 <「京騒戯画(きょうそうぎが)」
 東堂いづみ原作のアクションファンタジのテレビアニメ
 紙に描いた絵を実体化させる能力を持つ明恵上人が襖に描いた、外界から隔離され時間が止まった鏡都(京都)が舞台
 明恵上人は、高山寺に隠棲している



【高山寺へのアクセス】

 JRバス 栂ノ尾 徒歩約5分
 (京都駅から約50分、四条大宮から約40分)

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