八幡大神(ハチマンダイジン)誉田別尊(ホムタワケノミコト)八幡大菩薩

八幡神社などに祀られる国津神

古事記日本書紀・続日本紀には登場しない

父神:仲哀天皇
母神:息長帯比売命神功皇后の神霊)
性別:男神

別名:誉田別尊(ホムタワケノミコト)・誉田天皇(ホムタノスメラミコト)・胎中天皇(ハラノウチニマシマススメラミノミコト)
大鞆和気命(オオトモワケノミコト)・凡牟都和希王(ホムタワケノミコト)

仏名:八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ)・護国霊験威身神大自在王菩薩(ごこくれいけんいりきじんづうだいじざいおうぼさつ)

神徳:国家鎮護・出世開運・家運隆昌・必勝守護・交通安全・の神・心願成就・武勇長久

 八幡大神(ハチマンダイジン)(ヤハタノオオカミ)は、全国に4万社あるといわれる八幡神社などに祀られる国津神

 誉田別尊(ホムタワケノミコト)とも称され、応神天皇の神霊と同一とされる

 奈良時代には、神仏習合され、八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ)と称され、神社内に神宮寺が作られた

 清和源氏、桓武平氏など、全国の武家から武運の神(武神)「弓矢八幡」として崇敬を集めた

 朝廷からは、託宣の神、国家鎮護の神などとして、天照大御神に次ぐ皇室の守護神とされ、第二の宗廟として崇敬される

【八幡大神の歴史・経緯】

【八幡大神】

 八幡大神を祀る神社は八幡宮(八幡神社・八幡社・若宮神社など)と称され、全国に数万社あるといわれ、
稲荷神社に次いで全国2位とされる

 八幡大神は、武家の神さん、託宣の神さん、国家鎮護の神さんなど、武家から朝廷、庶民にまで広く信仰されている

 <皇祖神>
 八幡大神は、応神天皇の神霊とされることから皇祖神としても位置づけられる

 「承久記」には、
 「日本国の帝位は伊勢天照太神・八幡大菩薩の御計ひ」と記されており、天照大御神に次ぐ皇室の守護神とされ
 皇室も、宇佐神宮(宇佐八幡宮)や石清水八幡宮を、伊勢神宮に次ぐ第二の宗廟として崇敬された

 しかし「古事記」「日本書紀」「続日本紀」には登場しない

 「宇佐託宣集」巻二、巻六によると
 「古へ吾れは震旦国(中国)の霊神なりしが、今は日域(日本国)鎮守の大神なり」と託宣している

 「豊前国風土記」によると
 「昔、新羅国の神、自ら度り到来して、此の河原(香春)に住むり」と記されている


 <八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ)>
 朝廷は、宇佐八幡に鎮護国家・仏教守護の神さんとして八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ)の神号を贈っている
 これにより、全国の寺院の鎮守神として八幡神が勧請されるようになり、八幡大神が全国に広まった

 後に、本地垂迹においては、阿弥陀如来が八幡大神の本地仏とされた
 日蓮宗では、釈迦如来を八幡大神の本地仏とされている

 <僧形八幡神(そうぎょうはちまんしん)>
 僧形で表される八幡大神を、「僧形八幡神」と称される

 <八幡の読み方>
 749年(皇紀1409)天平勝宝元年の宣命には、「広幡乃八幡大神(ひろはたのヤハタオオカミ)」とあり「ヤハタ」と読んだ
 「日本霊異記」には「矢幡神(ヤハタノカミ)」
 「源氏物語」第22帖玉鬘には「ヤハタのみや」と記される

 後に、神仏習合して仏者の読み「ハチマン」という音読に転化したといわれる

 「幡(はた)」とは、神さんが寄りつく「依り代(よりしろ)」としての旗のことといわれる
 八幡(やはた)は8つの旗を意味し、神功皇后は三韓征伐の往復路で対馬に寄ったときには祭壇に8つの旗を祀った
 応神天皇が降誕したときには、家屋の上に8つの旗がひらめいたといわれる


 <弓矢の神>
 八幡大神は、武家との関わりが非常に強く、弓矢の神さんともされる


 <源氏の総氏神>
 源義家が男山の石清水八幡宮にて元服して、「八幡太郎義家」と名乗り、八幡大神を源氏の総氏神とされた


 <誉田別尊(ホムタワケノミコト)>
 応神天皇の名前は、諡号として贈られた名前であり、古事記では「品陀和気」、日本書紀では「誉田別」と記されている

 <住吉大神の子>
 「住吉大社神代記」によると
 「是に皇后 大神と密事あり」と記されており、応神天皇は、住吉大神神功皇后との子供ともいわれる

 <胎中天皇>
 「おしなべてこの国は、皇后(神功皇后)の胎内にいる御子が統治なさる国である」と神託されており、
 神功皇后が三韓征伐に出征したときには、胎内にいながらにして霊威を発揮したといわれ、
「胎中天皇」とも称される


 <神紋>
 宇佐八幡宮や八幡宮などでは、巴紋を神紋としている

【八幡三神】

 応神天皇(誉田別命)を主祭神として、応神天皇の母親である神功皇后息長帯比売命)、比売大神を合わせて
八幡三神として祀られる

 八幡三神のうち、比売大神神功皇后に代えて、仲哀天皇や武内宿禰を祀っている神社もある

 <神功皇后息長帯比売命)>
 応神天皇の母親として多くの武人に崇拝され祀られる
 住吉三神とともに住吉大神の一柱としても祀られる

 父親は、息長宿禰王(オキナガノスクネノミコ)(開化天皇の孫の孫(玄孫)
 母親は、葛城の高額比売(タカヌカヒメ)(天日矛(あめのひぼこ)の玄孫)


 <比売大神
 「比売大神」は、特定の神さんの名前ではなく、神社の主祭神の妻や娘、地元に関係の深い女神のことを示す
 八幡神社では、宗像三女神のことをいい、
 多岐津姫命(たぎつひめのみこと)・市杵嶋姫命(いちきしまひめのみこと)・多紀理姫命(たぎりひめのみこと)の三柱とされる

 筑紫の宇佐嶋(宇佐の御許山)に天降られたといわれる

 宗像三女神は、海人集団の宗像氏らが祀る海の神さんだが、神功皇后の三韓征伐の成功により崇拝されるようになったといわれる

【八幡大神ゆかりの地】

 <三大八幡>
 宇佐神宮(大分県宇佐市)官幣大社勅祭社、名神大社
 石清水八幡宮 官幣大社、二十二社、勅祭社
 筥崎宮(福岡市東区)  官幣大社、名神大社

 最近では、筥崎宮に代わり、
 鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)国幣中社


 <宇佐神宮(宇佐八幡宮)(大分県宇佐市)>
 八幡神社の総本社
 元々は、宇佐地方一円にいた大神氏の農耕神あるいは海の神とされる氏神であったといわれる
 571年(皇紀1231)欽明天皇32年1月1日に「誉田天皇広幡八幡麿」が現れたといわれる


 <石清水八幡宮
 八幡三所大神として祀られている
 大安寺(奈良市)の僧 行教が宇佐八幡宮を参拝したとき、八幡大神より「われ都の近くに移座し国家を鎮護せん」と神託を受ける
 宇佐からの帰りの船上では、金色の鳩が柱に止まり光を放ち、行教の袖に弥勒菩薩の影が映ったといわれる
 神託を受けた男山に、宇佐八幡宮の八幡大神を勧請して祀られたのが由来

 <三宅八幡宮
 八幡大神として祀られている

 <離宮八幡宮
 八幡大神として祀られている

 <高松神明神社
 八幡大神として祀られている

 <平岡八幡宮
 応神天皇が祭神として祀られている
 御神体として僧形八幡神像が安置されている

 <首途八幡宮
 誉田別尊として祀られている

 <板列八幡神社
 誉田別尊として祀られている

 <鍬山神社
 誉田別尊として祀られている

 <篠村八幡宮
 誉田別尊として祀られている

 <六孫王神社
 相殿に、八幡大神が祀られている

 <元祇園梛神社
 誉田別尊が配祀されている

 <伏見稲荷大社
 弓矢八幡宮に弓矢八幡大神が祀られている

 <敷地神社 末社 八幡神社>

 <天穂日命神社 末社 八幡神社>

 <鷺森神社 末社 八幡神社>

 <由岐神社 末社 八幡宮社>

 <崇道神社
 末社に、宇佐八幡大神が祀られている

 <板列稲荷神社
 末社 八幡神社に、誉田別尊が祀られている

 <銀閣寺
 鎮守社に、八幡大神が祀られている

 <東寺
 木造僧形八幡神坐像1躯(国宝)が所蔵される

 <善法律寺
 本堂に本尊の僧形八幡大菩薩坐像が祀られている
 明治時代の神仏分離が行われるまでは、石清水八幡宮の祭神とされていたもの
 等身彩色の座像で、左手に宝珠、右手に錫杖を持つ
 平安時代末頃の作といわれている

 <乙訓寺
 鎮守八幡社(長岡京市指定文化財)に祭神として八幡大神が祀られている
 合体大師像(がったいだいしぞう)は、秘仏の本尊
 首から上のモデルは八幡大菩薩、下は空海という合体大師像
 空海が自分の姿を彫っていると、八幡大神が現れ、「力を貸す、協力して一体の像を造ろう」とお告げになり、
八幡大神は、空海の肩から下の姿を彫り、大師は、八幡大神の首から上の姿を、それぞれ別々に彫り、
出来上がったものを組み合せると、寸分の狂いもなく、上下二つの像は合体したといわれる

 <神護寺
 僧形八幡画像があり、この像を忠実に彫刻化した僧形八幡神像が奈良 東大寺の八幡殿にある

 <瑞光寺
 三十番神社に八幡大菩薩が祀られている


 <亀岡祭の八幡山鉾>
 ご神体として誉田別尊が祀られている

【八幡大神の祭事】

 <勅祭 石清水祭
 日程:9月15日
 石清水八幡宮で行われる日本三大勅祭の一つ
 八幡大神が年に一度、男山山麓の仮宮である頓宮殿に渡御(とぎょ)される

 <祇園祭八幡山
 石清水八幡宮が勧請されて山の上に祀られている

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