善峯寺(よしみねでら)は、粟生光明寺と楊谷寺とあわせ西山三山の一つ
神経痛、腰痛の祈願所、入学成就の祈願所として信仰を集めている
桂昌院お手植えの枝垂桜など桜の名所
境内は約3万坪あり、秋は、紅葉の名所で、四季折々に花の名所
<山門>
三間一戸の楼門形式
1692年(皇紀2352)元禄5年の桂昌院の寄進により再建されたといわれる
1716年(皇紀2376)正徳6年の現在の山門の再建
楼上の本尊 文殊菩薩と両脇の二天は、現在、文殊寺宝館に安置されている
楼下の金剛力士は、運慶の作で、源頼朝の寄進といわれる
<観音堂(本堂)>
入母屋造
1692年(皇紀2352)元禄5年の桂昌院の寄進により再建された
洛東 鷲尾寺の仁弘法師の作の十一面千手観世音菩薩が本尊として安置され、西国三十三所観音霊場第20番札所となっている
脇立の一面千手観世音菩薩像は、源算上人の作で、洛西三十三ヶ所第1番とされる
<お香水 閼伽井>
仏前に供する水をくむ清浄な井戸
このお香水を飲むと、長寿のご利益があるといわれる
<納札所>
西国三十三所観音霊場巡礼の札打ち場
1691年(皇紀2351)元禄4年の建立
<遊龍松(天然記念物)>
多宝塔の南庭に立つマツ科の五葉松
樹齢600年以上といわれる
高さ2mほど全長37m、境内に長大な枝を伸ばし、臥龍が遊ぶように見える
1857年(皇紀2517)安政4年
前右大臣 花山家厚により「遊龍」と名付けられたといわれる
1893年(皇紀2553)明治26年
鳥尾中将の書の標石が立てられる
1994年(皇紀2654)平成6年
全長54mあったが、松くい虫のため約15mほど切られた
「世々を経て光いやます善峯のその玉松のむかしをぞ思ふ」(大田垣蓮月)
<鐘楼堂(つりがね堂)>
貞享3年(1686)、桂昌院により建立された
桂昌院が5代将軍 徳川綱吉の厄除けのために寄進された「厄除けの鐘」が吊られている
<護摩堂>
1692年(皇紀2352)元禄5年の桂昌院の寄進により建立
本尊に五大明王(不動明王・降三世・軍荼利・大威徳・金剛夜叉の五尊)が祀られている
<多宝塔(重要文化財)>
1621年(皇紀2281)元和7年、賢弘法師による再建
本尊に愛染明王が祀られている
<経堂>
1705年(皇紀2365)宝永2年の桂昌院の寄進による建立
中国南北朝時代の僧 傅大士(ふだいし)が祀られ、桂昌院により、鉄眼の一切経が納められた
祈願成就の絵馬堂にもなっている
<枝垂桜ともみじ>
桜ともみじとの合体木で、二本の古木が絡み合った結び木となっている
桜は、桂昌院が植えられたといわれる樹齢300年以上の樹木
<開山堂>
開山 源算上人のご廟所
117歳のお姿の源算上人が祀られている
1685年(皇紀2345)貞享2年の建立
<白山 桜あじさい苑>
春はしだれ桜、夏は紫陽花が一帯に咲く
<白山社>
白山明神が祀られている
<幸福地蔵(しあわせじぞう)>
桂昌院が幸せを願い祈念された大きなお地蔵さま
自分以外の人の幸せを願うとされる
<白山名水>
白山明神が出現された奇瑞の地
1045年(皇紀1705)寛徳2年2月1日
源算上人は、写経をするために苦心して写経用紙を自らの手で作られた
この夜、白山明神がこの地に現れて、手本となる法華経経巻と浄水を授け、翌日には五色の雪が降ったといわれる
このことにより、この地は「白山」と称され、源算上人は毎年この日に法楽をされたといわれる
<鎮守社>
十三仏堂・弁財天堂・毘沙門堂・護法堂の4社がある
全て1692年(皇紀2352)元禄5年の建立
<宝篋印塔>
鎌倉時代の建立
慈円大僧正(慈鎮和尚)により、伝教大師 最澄の筆の法華経が納められる
その包紙には「法の花 伝え教へし筆の跡 良峯寺の宝ともなれ」とお書きになったといわれる
<桂昌院廟>
1705年(皇紀2365)宝永2年6月22日に79歳で亡くなられた桂昌院の遺髪が納められている
同年の建立
<釈迦堂>
本尊の石仏釈迦如来は、源算上人の作といわれる
1885年(皇紀2545)明治18年の建立
元々は、釈迦岳(釈迦堂の南嶺)に安置されていたものを移された
その時に奇瑞があり、腰痛神経痛にご利益があるといわれる
<薬師堂>
出世薬師如来が祀られている
桂昌院の両親が祈願したといわれる
1701年(皇紀2361)元禄14年の建立
1988年(皇紀2648)昭和63年に現在の地に移築された
<展望>
薬師堂前より佳景が望める
北方の鞍馬山、東方の三十六峰大和葛城山、山崎の天王山などが望める
洛中を一目で見渡せるということで「絶無の勝地」と称されてきた
<けいしょう殿>
1987年(皇紀2647)昭和62年
花山法皇の西国札所中興1000年を記念して建立される
桂昌院が祀られている
<蓮華寿院旧跡庭>
現在の薬師堂西側にある
源算上人が、「妙法蓮華経」を一字三礼と6年間無言の行によって写経をされ、その地に蓮華寿院が建立された
観性法橋、慈鎮和尚が住まわれて以降、道覚親王、慈道親王、尊円親王、尊道親王が住まわれたことから「御所屋敷」と称される
<青蓮の滝>
滝の竿石は、青蓮院より下賜されたもの
<御陵>
青蓮院親王御陵(宮内庁管轄)
境内の一番奥にある
<御廟所>
善峯寺の住職をされた門跡の御廟所
中央に、善峯寺四祖で浄土宗西山派の祖 証空上人のお墓
右に、北尾往生院(三鈷寺)再建に尽くした宇都宮蓮世房(宇都宮頼綱)のお墓
左に、善峯寺ニ祖 観性上人(観性法橋)のお墓
<稲荷社>
正一位 稲荷大明神が祀られている
<阿弥陀堂>
1673年(皇紀2333)寛文13年の建立
本尊の宝冠阿弥陀如来、徳川家代々と善峯寺の信者の位牌が安置されている
常行三昧道場(阿弥陀如来を讃えて極楽往生を願う勤行を行う場)でもあり、「常行堂」とも称される
<文殊寺宝館>
山門楼上の文殊菩薩と両脇の二天が修復され安置されている
桂昌院のゆかりの品が約1200点ほど納められている
2000年(皇紀2660)平成12年の建立
<善峯坐禅石(よしみねざぜんせき)>
山麓道路から仁王門に向かう参道の山道「阿知坂」の中程の南側にある
「仙翁石(せんおういし)」とも称される
開山の源算上人が、初めて登山したとき、この岩の上で坐禅したといわれる
<絹本著色 大元帥明王軸(重要文化財)>
鎌倉時代の作
<一面千手観世音菩薩像>
源算上人の作の創建時の本尊
<桂昌院ゆかりの品>
徳川五代将軍 徳川綱吉の生母 桂昌院のゆかりの品が、約1200点所蔵されている
<大般若会> 1月2日
<桂昌院忌> 6月22
<施餓鬼会> 8月15日
<除夜の鐘> 12月31日
<薬湯風呂(やくとうぶろ)(現在、中止中)>
夏の縁日(5月と10月の第二日曜日の年2回)に、本 西山で取れる百草で沸かされる
神経痛、腰痛平癒に効能があるといわれる
桂昌院お手植えの枝垂桜など桜の名所
4月中旬:石楠花
5月:芍薬(しゃくやく)
6月上旬〜中旬:遅咲きの皐月(さつき)が、境内の斜面一面に緋、赤紫、薄紅に咲き誇る
6月〜7月上旬:紫陽花(あじさい)
8月:百日紅
9月:秋明菊(しゅうめいぎく)
11月:山茶花(さざんか)
12月:南天
秋は、紅葉の名所
<西山宮門跡>
青蓮院の各法親王が代々住持を務める
覚快、道覚、慈道、尊円、尊道、尊祐、尊真、尊寳、尊證
<西国三十三所観音霊場第20番札所>
御詠歌
「野をもすぎ 山路にむかふ 雨の空 よし峯よりも 晴るる夕立」