曼荼羅(まんだら)(Mandalal) 京都通メンバ
曼荼羅(まんだら)は、仏教(特に密教)における世界観や、仏の悟りの境地などを、
仏像・シンボル・文字などを用いて視覚的・象徴的に表わした絵画など

古代インドを起源として、中央アジア、中国、朝鮮半島、日本へと伝わった

【曼荼羅の種類】

 <大曼荼羅>
 大日如来など諸仏の像を絵画として表現したもの

 <三昧耶曼荼羅(さまやまんだら)>
 仏像の代わりに、金剛杵(煩悩を打ち砕く武器)・蓮華・剣・鈴など、各仏が持つ象徴物(シンボル)で描かれたもの

 <法曼荼羅>
 仏像の代わりに、文字(サンスクリット文字・梵字)で象徴的に描かれたもの
 仏を表わす文字を「種子(しゅじ)」と称し、「種子曼荼羅」とも称される

 <羯磨曼荼羅(かつままんだら)>
 立体的な像(彫刻)として表わしたもの
 東寺の講堂で、空海が構成した大日如来を中心としたの21体の仏像による立体曼荼羅など

【密教系の曼荼羅の種類】

 <両界曼荼羅(りょうかいまんだらず)>
 「両部曼荼羅」とも称される
 「金剛界曼荼羅」「大悲胎蔵生曼荼羅」の2つの世界が表される

 <金剛界曼荼羅>
 密教の根本経典「金剛頂経」にもとづく
 大日如来が中心

 <大悲胎蔵生曼荼羅>
 密教の根本経典「大日経」にもとづく
 大日如来が中心

 <別尊曼荼羅>
 大日如来以外の尊像が中心になった曼荼羅
 仏眼曼荼羅・一字金輪曼荼羅・尊勝曼荼羅・法華曼荼羅・宝楼閣曼荼羅・仁王経曼荼羅など

【密教系以外の曼荼羅の種類】

 <浄土曼荼羅>
 経典「観無量寿経」などの阿弥陀浄土のイメージを具体的に表現したもの
 浄土三曼荼羅(智光曼荼羅・当麻曼荼羅・清海曼荼羅)などがある

 <垂迹曼荼羅>
 神道の神々は、仏教の諸仏が仮に姿を変えて現われたものだとする「本地垂迹説」に基づき、
神社の祭神を、本地仏や垂迹神として曼荼羅風に表現したもの

 <文字曼荼羅(法華曼荼羅)>
 題目や諸尊を文字で書き表したもの
 中央の題字から長く延びた線が引かれることから、「髭曼荼羅」とも称される
 日蓮正宗などでは、日蓮が佐渡で描いた独特なひげ文字の大曼荼羅が本尊とされる
 中央には、大きくひげがはねたような字で題目「南無妙法蓮華経」が書かれている
 四隅には四天王が、その間には、多くの仏・菩薩などの名前が書かれている
 日蓮正宗では、世の中の、地獄界・餓鬼界から菩薩界・仏界まで十の世界で構成されている思想を表し、
「十界曼荼羅(じゅっかいまんだら)」とも称される

 <チベット曼荼羅>
 チベット仏教の曼荼羅
 多くの種類があり、色砂で創られる「砂曼荼羅」などもある

【京都の曼荼羅】

 <紫綾金銀泥両界曼荼羅図(高雄曼荼羅)(国宝)>
 神護寺
 空海が唐から請来した曼荼羅を手本に紺紙金泥で描かれた両界曼荼羅図
 胎蔵界(たいぞうかい)、と金剛界(こんごうかい)が描かれ、世界が数多くの仏によって創られることを表現している
 現在する最古のもので美術史上、仏教史上に貴重な作品
 金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅の2幅とも縦4mを超える大作
 彩色本ではなく、紫色に染めた綾地に金銀泥で描かれている

 <両界曼荼羅図(伝・真言院曼荼羅)(国宝)
 「西院曼荼羅」とも称され、日本に伝わる両界曼荼羅のうち最も著名である
 平安時代初期の作品で、鮮烈な色彩とインド風の濃い諸仏の官能的な肢体が特色

 <立体曼荼羅>
 東寺の講堂
 空海により、大日如来を中心とした日本最古の21体の密教仏像で立体的に曼荼羅が表現されている
 中央の五智如来(重要文化財)と、左側の五菩薩像、右側の五大明王、周りには四天王帝釈天・梵天が置かれている

 <熾盛光如来(しじょうこうにょらい)の光の曼荼羅>
 青蓮院の本尊
 約2m四方の掛軸に描かれ、大日如来の仏頂尊、仏の智慧そのものを表す「ボロン」が梵字(ぼんじ)で記されている
 天台宗最大の秘法といわれる密教の修法「熾盛光法(国家鎮護、皇室の安泰などを祈る修法)」の本尊
 熾盛光如来は、「光の仏」「摂一切佛頂王」「熾盛光佛頂」とも称される
 北極星を偶像化したものともいわれ、大日如来の頭の上に座られ、全身の毛穴から太陽の光にも似た
強烈な無量の光明を発生させる
 天変地異や疫病の鎮静と国家安泰、国民の繁栄などが祈願されてきた
 この如来を本尊とするのは、日本では青蓮院だけといわれる
 創建当初のものは、天台宗第3世天台座主 円仁が中国 唐から持ち帰り、比叡山に法華総寺院を建立し勅許を得て
祀ったものといわれるが、戦乱で焼失する
 現在のものは、桃山時代の作で、豊臣秀吉が奉納したといわれる
 当時、顔料の群青は大変高価なもので、同じ重さの金やプラチナより貴重だったといわれる
 創建以来、非公開
 2005年(皇紀2665)平成17年9月28日
 天台宗開宗1,200年を記念し創建以来初めて、同年12月28日まで一般に公開された
 ご開帳の間は、休むことなく読経が続けられていた

 <絹本着色 浄土曼荼羅図(重要文化財)>
 百萬遍知恩寺
 京都国立博物館に寄託されている

 <その他>
 因幡薬師堂 平等寺 胎蔵曼荼羅
 永観堂  当麻曼荼羅(重要文化財)
 海住山寺 絹本著色 法華曼荼羅図(重要文化財)
 北野天満宮 北野曼荼羅図
 光悦寺  十界曼荼羅(本尊)
 三鈷寺  佛眼曼荼羅(ぶつげんまんだら)(本尊)
 常寂光寺 十界大曼荼羅(本尊)
 聖護院  絹本著色 熊野曼荼羅図(重要文化財)
 随心院  牛皮曼荼羅(ぎゅうひざんまんだら)
 醍醐寺  金銅両界曼荼羅(重要文化財)
 百萬遍知恩寺 絹本着色 浄土曼荼羅図(重要文化財)
 宝塔寺  十界曼荼羅(本尊)
 本能寺  十界大曼荼羅(本尊)
 本法寺  十界曼荼羅(本尊)
 本満寺  十界曼荼羅(本尊)
 本隆寺  十界曼荼羅(本尊)
 妙覚寺 十界曼荼羅(本尊)
 妙満寺  十界曼荼羅(本尊)
 妙蓮寺  十界曼荼羅(本尊)(日蓮の自筆といわれる)
 立本寺  十界曼荼羅(本尊)、法華経宝塔曼荼羅

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【京都検定 第1回3級】

29.東寺は、密教美術の宝庫で多数の国宝を有しているが、最も著名といわれる国宝の曼荼羅図は、何曼荼羅図か?

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