原在中(はらざいちゅう)(Zaicyu Hara)

江戸時代後期の絵師

生年:1750年(皇紀2410)寛延3年
没年:1837年(皇紀2497)天保8年11月15日
享年:88

名:致遠
字:子重
号:在中、臥遊

原派の祖

出身:京都
お墓:天性寺

 原在中(はらざいちゅう)は、江戸時代後期の絵師

 原派と称される一派を自ら形成した

【原在中の歴史・経緯】


【原在中】

 絵師 山本探淵に仕えて仏画を学ぶ

 石田幽汀に師事して画技を学んだ
 同門の円山応挙の写実的表現などからも大きな影響を受けている

 京都の寺院をまわり、中国 元・明の絵画や、狩野元信狩野永徳らの絵画から独学する

 有職故実を研究し、有職人物画も得意にして、寛政造営の御所の障壁画の制作にも携わった

 心学者の手島堵庵とも交流したといわれる

 土佐派・円山派四条派・岸派・古狩野派などを融合した精密で説明的な装飾的画風に特色がある

 江戸時代中期の京都ではすでに、狩野派や土佐派、円山派、岸派、古狩野派などが活躍していたが、
原在中は、自ら一派を築こうとしたといわれる

 長男 原在正(ざいせい)、次男 原在明(ざいめい)、三男 原在善(ざいぜん)(ざいしん)、四男 原在親(ざいしん)(梅戸在親)など、
「在」の一字を受け継いで絵師としての家系を維持させた
 息子たちと合作を多く描き、作品中に落款を入れさせてアピールさせている
 朝廷との関係性も維持させている

【原在中の代表作】

 <紙本著色 百鬼夜行図屏風 六曲一双>
 大倉集古館所蔵
 1778年(皇紀2438)安永7年の作
 227cm x 72cm
 大徳寺塔頭 真珠庵所蔵「百鬼夜行絵巻」を色や形まで忠実になぞりつつ、行列の順序が変えられている

 <板絵著色 神馬図絵馬 1面>
 今宮神社所蔵
 1796年(皇紀2456)寛政8年の作
 176cm x 206.5cm

 <紙本淡彩 東山三十六峯図巻 1巻>
 京都府立総合資料館所蔵
 1803年(皇紀2463)享和3年3月の作

 <紙本淡彩 相国寺方丈障壁画 64面>
 相国寺所蔵
 1819年(皇紀2479)文政2年の作
 「補陀落図」24面、「琴棋書画図」20面、「群仙図」20面


 <三玄院客殿障壁画 31面
 大徳寺塔頭 三玄院所蔵
 1820年(皇紀2480)文政3年の作
 ・「波に虎図(八方睨みの虎)」14面
  虎や龍は、仏法を護持する霊獣とされている
  左側の虎図は、中国の南宋末の禅僧画家 牧渓(もっけい)の絵をもとに描かれたといわれる
  どこから見ても睨んでいるように見え「八方睨み」と称される
  右側の龍図は、龍の動きが早と想像されて頭部などは描かれず、逆巻く波と雲、龍の鱗が溜込技法により描かれている

   ・「猿猴図」5面、「花鳥図」8面、「芦雁図」8面、「雪景山水図」6面
  四季の花鳥風月を、狩野派円山派・阿弥派・土佐派・琳派などの技法を用いて描かれている


 <渓流菊花図 六曲一双>
 醍醐寺所蔵
 1822年(皇紀2482)文政5年の作
 各149cm x 210cm

 <紙本著色 冷泉為章図 1幅>
 冷泉家所蔵
 1822年(皇紀2482)文政5年頃の作
 冷泉為章の寿像、89.4cm x 41.8cm

 <紙本墨画淡彩 舟行訪隠図 襖4面(京都市指定登録文化財)>
 仁和寺奥座敷
 1824年(皇紀2484)文政7年の作
 仁和寺の奥座敷の全20面を、原在中と、谷文晁、東東洋、森徹山、岸駒が4面ずつ制作した

 <四季花鳥図屏風 八曲一隻>
 仁和寺所蔵
 1829年(皇紀2489)文政12年の作

 <紙本著色 花鳥図屏風 六曲一双>
 聖護院門跡所蔵
 1829年(皇紀2489)文政12年の作
 304.5cm x 109cm

 <波に鶴・竹に鶴図 二曲一双>
 大徳寺塔頭 真珠庵所蔵
 1829年(皇紀2489)文政12年の作
 183.5cm x 168.5cm

 <建仁寺開山堂方丈障壁画>
 建仁寺所蔵
 上間二の間の「松鶴波図」16面、二の間の「白梅群禽図」14面、下間一の間の「水墨山水図」10面
 杉戸絵「孔雀図」

 <観音三十三身図 全33幅>
 酬恩庵所蔵
 「法華経」のなかの「観世音菩薩普門品第二十五」(観音経)にもとずき、
観世音菩薩が、三十三の困難な状況に応じて応身して(姿を変えて)衆生を救うさまが描かれてる
 各54cm x 145cm
 お盆の8月15日、16日のみ方丈に掲げられ公開される


 <杉戸絵>
 寛政度御所常御殿の杉戸絵
 現存しない


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